宇宙開発や人類に役立つ?人間にとって月にはどんな魅力があるのか【眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話】
月にある資源とは?
月には地球でもよく使われる資源が豊富にあることがわかっています。たとえば、アルミニウムは月の高地にある鉱物斜長石に、またチタンは月の表側の月の海の部分の玄武岩に含まれています。また、鉄も月の岩石などに存在していることがわかっています。
月面でこれらの金属を採取精製できれば、宇宙探査に必要な建設材料やロケットの部品などに用いることができるでしょう。気体の形ではないものの、酸素もあります。それは月の岩石に含まれるイルメナイトで、チタンと鉄、酸素の化合酸化鉱物です。ここから酸素を抽出できれば、将来人間が月で生活するために必要な酸素が手に入るだけでなく、酸素を化合物として利用し、アルミニウムからロケット燃料や、水をつくることもできるのです。
また、月の表面にある砂(レゴリス)に含まれるヘリウム3という物質も要注目です。ヘリウム3は太陽のなかの核融合反応ででき、太陽風に乗って月へ届きます。月には大気がないため、そのままレゴリスに吸着されています。このヘリウム3を水素の一種である重水素と核融合すると大きなエネルギーが発生するのです。
もし、これが実現できれば放射性廃棄物もなく、原子力より大きいエネルギーを生み出せることになります。この莫大なエネルギーを地球に送ったり、月面で活用したりすれば、大きなエネルギー源を手に入れられると注目されています。このように、将来、人間が月で生活するために、また限りある地球の資源を補完するためにも、月の資源は大きな魅力なのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』 著:渡部潤一