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ダースレイダー「投票に行くのは自分たちが自分たちであるための必要条件」

TBSラジオ

武田砂鉄のプレ金ナイト
2024/2/2(金)放送

今回のゲストは、ラッパーのダースレイダーさんでした。

ダースさんと砂鉄さんはイベントでご一緒になることはあっても、砂鉄さんが担当するラジオ番組に出るのは初めてでした。今回は東京オリンピック問題に加え、大阪・関西万博について語ります。

僕らが倫理的であるっていうのは忘れないことに尽きる

ここ数ヶ月、政界を大きく揺るがしている政治資金問題。ダースさんはどのようにご覧になっているのでしょうか?

砂鉄:ありとあらゆるお金の隠し方のパターンが今、あの人たちから出てきているから、日常生活にそのまま移行させると、本当に無法地帯ですよね。

ダース:自民党の議員さんの言い訳を実践に移すっていうアクションって、これデモとかと一緒で、“だってあの人たちがやってたことですよね”っていうのは、ロジックとしては成立するわけじゃないですか。でも、多くの市民はやらないですよね。それは、倫理感があるからですよね。だって丸川さんみたいなこととか、岸田さんみたいに使ってないから大丈夫とかって、倫理感があると言えないですもんね。

砂鉄:この時期に個人の方なんかは確定申告の準備を始めると、頭の中にこの裏金問題がチラつくと思うんですけど、僕もそういう整理をしてますけど、やっぱりね、倫理感が勝っちゃうんです。

ダース:ちゃんとやろうと思うじゃないですか。(中略)いろいろな意味で離れ技をしているなと思うんですけど、1人がやっていると目立つけど、みんなそれぞれに離れ技をやっていると集中出来なくて、どうでもよくなると。ここが狙いですからね。タイミング的にも一斉に不記載を訂正しますっていう。みんなで渡れば怖くない論法ですから。

また、“プレミアムフライデー”を言い続けるこの番組に通ずる、こんなことも仰っていました。

ダース:呆れたり飽きたりしているよりは、もう少し突っつく方向はいろいろあるんですけれども、自民党の問題とされている議員の人たちは、たぶん僕らが忘れるだそうと踏んでいると思うんですよね。そことの謎の勝負が始まっていて。

砂鉄:あらゆる問題ってそうですよね。

(中略)

ダース:忘れないっていうことがいよいよ意味を持ってきていると思いますから、今僕らが倫理的であるっていうのは、忘れないってことに尽きると思うんですよね。1人で全部覚えるの大変なんで、みんなで会話の際に“そういえば東京五輪の時、天笠ってあったよね”とか、“そういえば下村さんって、都選が終わったら説明するって言った200万円の件、まだ説明してないよね”とか。

砂鉄:“レインボーブリッジ赤く染まったよね”みたいな話とかね。

ダース:“小池アラートって言ってたよね”とか、“大阪ワクチンってあったよね”とか。そういうのを忘れずに会話で繰り広げるっていうのは、大事だと思いますよ。

投票に行くのは自分たちが自分たちであるための必要条件

ダースさんは、TBSラジオで毎週土曜26:00 - 27:00で放送している『東京ポッド許可局』に出演のプチ鹿島さんと、YouTube番組『ヒルカラナンデス』をやっています。そして、ダースさんと鹿島さんは、1月13日に投開票が行われた台湾総統選挙の取材へ行かれました。

砂鉄:彼らの投票への意識…投票率は71%でしたね。数値を見ると驚きますけれども、現地へ行って投票への気持ちっていうのは、どういうふうに受け止められました?

ダース:美味しいルーロー飯屋さんへ行ったんですよ。満席でルーロー飯を食べているですけど、この店にいる人たちの10人の内7人は投票へ行くのかと。そういう景色から、その日常性を支えているのは、みんな投票へ行っていて、この日常が実は担保されているっていう感覚。この人たちみんな自分でこういう日常を送りたいっていうことをある種考えて投票して、この日常を維持してるんだなっていう、その事実の生き生きとした感じっていうのはすごく感じられた。

(中略)

ダース:でも、なんでみんなここまで投票するのかなって。もちろん国際的な地政学的な台湾の位置づけ、中国との関係性もあるんですけど、自分たちの日常っていうものをどう維持していくかっていうことと、自分たちが民主的な制度で社会を運営しているってことを示すことが、その社会を続けていく条件だってことがわかってるんですよね。民主制的な手続きを放棄した瞬間に、ある種それは権威主義的な体制とかに飲み込まれてしまったりする。

砂鉄:どの党に入れる…それはもちろん大事なんだけれど、意思を示す人たちが、我々は意思を示すんだぞっていうことがたくさんいるっていう、この状態を維持するっていうことを見せるってことが大事なんですかね?

ダース:よく台湾の政策は現状維持だって言われて。現状維持ってどういう意味かっていうと、自分たちが民主的な体制であり続けるっていう現状を維持する。そのためには民主的な手続きを取るっていうことを実際にアクションとして行わなければならず、そしてそのアクションっていうのがちゃんと政治に反映されて、民主的に決められた民意っていうものが政治に反映されるっていう状況を作らないと現状が維持できない。そういった意味で現状維持っていうのはすごく明確な政治的なスタンスでもあり、だからこそ投票に行くっていうのは自分たちが自分たちであるための必要条件であるっていうことが、特に台湾の人たちみんなわかっている。これはどこを支持するとか、多様な考え方もある。けどそれをちゃんと投票という行為を通じて明らかにするっていうことが、ある種の生存条件でもあるっていうふうに考えてると思うんですよね。

僕がこう思う、あなたがこう思うが積み重なった先に何か開けてくるんじゃないかな

若くして脳梗塞と糖尿病、腎不全を発症し、片目の視力も失い、医師からは余命5年の宣告を受けたダースさん。2023年11月には新刊『イル・コミュニケーション 余命5年のラッパーが病気を哲学する』を発売されました。

砂鉄:今回のご本でラッパーとしてのこれまでのキャリアであるとか、脳梗塞になられたり、いろんなご病気をされてるっていうことを掛け合わせながら半生を書かれた本だと思うんですけれども、その中で通底するのは…ラッパーとしてのスタンスもそうだと思うんですが、とにかく俺はこう思うんだと。自分はこう思うんだっていうことを言い続けるし、自分がご病気になったことによって、“あれ、もしかしたらこの世の中っていうのは、何か破綻してるんじゃないか、出鱈目なんじゃないか“っていう立脚点に立って、その上で俺はこう思うってのを言い続けてらっしゃいますもんね。

ダース:僕は“自分がこう思うっていうことを言う”ってことはすごく大事だと思っているのと、あとバランス的には、それを他人に対して“こう思え”とは言わない。なぜなら、”僕はこう思う”っていうことと同等に、”あなたはこう思う”っていうことが両方あるはずだと。だから僕は病気のことについて考えているけど、病気についてこう対処しなさいっていう話は実はしてなくて。で、“イルコミュニケーション”ってタイトルにしているですけども、コミュニケーションって一方通行ではなく、”僕がこう思う”、”あなたがこう思う”っていうことが積み重なっていった先に何か開けてくるんじゃないかな。イルって病気の話なんですけど、病気だったり、病んでいる状態・壊れている状態っていうものについてのコミュニケーションを重ねることが、大変な社会ですけど、その中で生きていくヒントが見つかっていくんじゃないかなっていうふうに考えてますね。

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