Yahoo! JAPAN

不登校や療育のケアと仕事を両立するために。「夫婦交互に在宅勤務」を選び、子どもをサポート

りっすん

共働きをしながらの子育ては、常に時間に追われてバタバタしがち。さらに「子どもへのサポート」が必要な状況になると、両立の難易度はいっそう上がります。

3人の子どもを育てるヨリさんは、共働きをしながら、お子さんの不登校や療育などのサポートを続けてきました。その過程では、夫婦で連携するための話し合いを重ね、働き方を見直す機会もあったといいます。

今回は「共働きを続けるための協力体制の築き方」について振り返っていただきました。

***

「え! お母さん、その状況で働いているの?」

1年前、長女が不登校になった時に駆け込んだクリニックで、主治医が目を丸くして私に言いました。「その状況」とは、ずっと家にいる長女と、知的障害があり週2回療育に通う次男のサポートを同時にしていたことです。

わが家は、会社員の40代夫婦と、長女(小4)、長男(小2)、次男(年長)の5人家族。

子どもが生まれて以降も、夫とは「家事、育児、仕事をどちらか一方に頼らず、夫婦で分担したいね」と話し、共働きを続けてきました。しかし、共働き育児は決して平坦な道ではなく、前述した長女の不登校などもあり、「退職」の二文字が何度も頭の中をよぎりました。

それでも仕事を続けられたのは、夫と協力体制を築くことができたから。

驚く主治医に、私は「夫婦交互に在宅勤務をして、何とかやっています!」と答えました。

夫婦いずれかがダウンしても回るよう「お互いがワンオペ育児できる」体制に


以前、数日間の出張が決まったときに上司から「家のことは大丈夫なの?」と聞かれ、「夫が家事育児をしてくれます」と答えたところ、とても驚かれました。

わが家では数年前から「お互いがワンオペ育児できる」体制作りをしています。その結果、何の心配もなく出張に行けるようになりましたが、そこに至るまでは紆余曲折がありました。

二人とも働き、帰宅後は家事をする。子どもがいない間は難なく保てていたこのバランスが崩れたのは、1人目の育休中でした。

育休は夫婦で取得しましたが、夫が休んだ期間は最初の3週間のみ。その後の病院や保育園探し、離乳食の対応など、赤ちゃんを育てる上で必要な環境整備は、家にいる私が全て担っていました。必然的に「仕事は夫」で「家事育児は私」に分かれましたが、「子どものお風呂をお願い!」と頼めば快く引き受けてくれる夫に対し、当時は特に不満を感じませんでした。

そんな中「今のままじゃダメかもしれない」と思ったのが、インフルエンザで私がダウンしてしまった時のこと。長女も発熱したため「病院に連れていって」と夫に頼むと、「どの病院に行けばいいの?」「どうやって予約するの?」と不安げな様子。あたふたする姿を見て、私の指示がないと子どもの世話ができない状況はマズいのでは? と気付いたのです。

高熱で頭がボーっとする中、リスクヘッジのためにお互いがワンオペ育児できるようにしなければ……と思いました。

しかしその後、長女と2歳差で長男が産まれたことで2人目の育休に入り、私が家事育児に専念する時間はより長くなってしまいました。「育児の主担当はあくまで私で、夫はサポートする立場」という体制に復職後の生活に不安が募り、まずは家事の時短と育児しやすい部屋作りから始めようと、育休中に次のようなことに取り組みました。

•すぐに片付く「おもちゃ収納」を構築
•おもちゃ、絵本が「元に戻しやすい」収納家具を設置

•献立決め~片付けまでが、より簡単な食事作りを模索
•夕食は一汁二菜(ご飯、味噌汁、主菜、副菜)に固定

•時短家電(ドラム式乾燥機、食洗機)の導入

《画像:部屋にはなるべく家具を置かず、遊びのためのスペースを確保》

せっかくなので、家事育児の試行錯誤は「ブログ」( https://yorimichi-kazoku.com/2023/12/25/post-13636/ )に記録しました。夫にもブログを始めたと伝え、共有したいことを記事に書きました。直接話すと角が立つような話題でも、ブログを通すことでやんわり伝わるかなと思ったのです。夫は、時々まとめ読みしているようで、たまに感想を教えてくれます。

ただ、家事育児の効率は向上しても「育児の主担当はあくまで私」である限り、負担は大きくは変わらない。夫にも育児の主担当を担ってもらいたくて、2人目の育休からの復職に合わせ、保育園の緊急連絡先を「夫」にしました

子どもの体調不良時の初動をまるっと夫に任せたことで「誰がお迎えにいくか」「病院の予約は必要か」を判断し、必要に応じて私に連絡を取り、調整できるようになったのです。次第に私自身も「夫に育児を任せても大丈夫」と思えるようになりました。

すると3人目が産まれる際、夫が「単独で育休を取りたい」と言い出しました。過去2回の出産時も夫は育休を取りましたが、ともに生まれてからの3週間のみ。ですが今回は、私が復職するタイミングで育休を取り、ワンオペ家事育児をやってみたいとのこと。

夫の申し出には驚きましたが、実際に私が仕事、夫が家事育児と、これまでとは逆の立場を経験できたのはとてもよかったと思います。お互いの大変さが分かり、協力体制が強まりました。

《画像:おもちゃを広げて遊ぶ次男。最近はさまざまなものに興味を示すように》

「小1の壁」を乗り越えるために、夫婦の働き方を考え直した


協力体制はできましたが、共働き育児を続ける上での次のハードルは「長女(第一子)の小1の壁」でした。

それまでわが家は、7時半から18時半まで保育園に子どもを預けて通勤していましたが、小学校の登下校の時間に合わせるとなると、朝30分遅く出発し、夜30分早く帰宅する必要がありました。

一方、夫婦とも通勤に片道1時間かかる上、お互いの職場は家を中心に真逆のエリア。どちらかの通勤負担を減らすための引っ越しは難しい状況です。働き方を変える必要に迫られ「夫婦会議」を開きました。

お互いの会社制度を確認したところ、生活サイクルを変えるために利用できそうな制度は「時短勤務」「時差出勤」の2つ。まずはそれぞれのメリット・デメリットを検討しました。

「時短勤務」
•メリット
•小学生のスケジュールに合わせて勤務時間を短縮できる。(「時短勤務」の期間は法律では「3歳に達する日(※1)」までだが、私と夫の会社ではいずれも「小学校卒業」まで認められていた)

•デメリット
•タスクの状況によっては、勤務時間が減っても仕事量が減らない可能性がある(私自身、育休復帰時に時短勤務でその状況を経験した)
•勤務時間が短くなる分、収入が減る

(※1)「育児・介護休業法」第23条により、事業主は、3歳未満の子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならない

参考:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」


「時差出勤」
•メリット
•フレックス制度を利用し、夫婦の働く時間を朝型と夜型に分ける方法。勤務の開始・終了時間がずれるだけで勤務時間は減らない。仕事に集中しやすい

•デメリット
•毎日の朝夜どちらかに、ワンオペで家事や育児をこなす必要がある

「時短勤務」と「時差出勤」のどちらを選択してもそれなりのデメリットがあり、思い切って「職住近接」がかなう職場に転職するべきか……としばらく悩んでいました。

そんな中、第三の選択肢として急浮上してきたのが、勤務時間を減らさずとも、家庭の事情で柔軟な対応がしやすい「在宅勤務」です。

「在宅勤務」はもともと夫婦それぞれの会社の制度にありましたが、利用は難しいと感じていました。在宅勤務の設備が整っておらず、制度を利用する同僚もいなかったからです。ところが、長女の小学校入学前に新型コロナの影響で思いがけず在宅勤務がスタンダードになり「この流れに乗ろう!」と夫婦で意見が一致。

仕事柄、お互いフルリモートこそできませんが、週3日程度の在宅勤務なら業務に支障をきたすほどではありません。夫婦交互に在宅勤務にすれば、毎日どちらかは家庭のことに対応できます。

早速上司との面談時に、育児との両立のために夫婦どちらかが家にいる必要があること、今後は在宅勤務メインで働きたいこと、そして、必要に応じて出勤や出張はできることを伝えました。上司からは快く了承いただき、ひと安心できました。

「交互の在宅勤務」には、夫との密なスケジュール調整が必須です。わが家では予定共有アプリ「TimeTree」で管理しています。どうしても出勤や出張をしたい日があれば先に予定をブロックして共有。すると夫が「在宅勤務」を予定に入れてくれます。

《画像:「TimeTree」の様子。予定は人別に色分けして管理》

在宅勤務だからこそ、子どものサポートもしやすい


子育てをする中では、それまで仕事に充てていた時間を、さまざまな事情から子どものケアに回さないといけなくなることがあります。

わが家の場合、次男が3歳になる直前に知的障害・発達障害と診断され、療育に通わせると決めた時がそうでした。現在は送迎をヘルパーさんにお願いしていますが、それまでの1年間は週2回、それぞれ10時と14時の2回の送迎を夫婦で行う必要がありました。

子どもを療育に通わせている方の中には、この「勤務時間中の送迎」が理由で退職した方も多いと聞きます。わが家は幸いにも、在宅勤務中に1時間ほど中抜けするだけで対応できました。

また、長女が小3の時に突然学校に行かなくなった時も「交互に在宅勤務」していたおかげで、サポートと仕事の両立ができました(もちろん、それでも大変でしたが……)。

子どもが不登校になると、親は「時間」と「心」の余裕を両方削られると思います。私自身、毎朝長女に「今日学校に行かない」と泣かれ、どんどん心が消耗していきました。それでも「通勤時間を気にしなくてよい」「何かあれば長女と一緒に家にいられる」という状況で、「時間」の焦りはさほど感じなかったため、なんとか持ちこたえることができました。

《画像:長女が不登校のときは、よく一緒に料理を作りました》


また、「交互で在宅勤務」という体制を選択して何よりよかったのは、子どものケアを一人で抱え込まずに済んだことです。相手に全てを任せて「出勤」する日を作ることで、お互いに気分転換できる日を作ることができました。辛いことも、幸せなことも夫婦で共有することで、次第に「心」の余裕も取り戻していきました。

共働き育児11年目。これからも仕事とプライベートのバランスを大切に


共働き育児は11年目に突入しました。両立のために、その時々に応じて「体制」をどんどん変えてきました。

一方でずっと変わらないのは、「仕事とプライベートとのバランス」です。夫婦とも、基本的には定時退社をして、家族との時間を多く持ちたいと考えています。ですが、仕事もプライベートと同じくらい大切。

自分の仕事の踏ん張りどきは、相手に家事育児をお願いして仕事に集中したい。また、相手にもさせてあげたい。それがかなうようになったのは、お互いワンオペ育児ができ、交互に在宅勤務をする体制が構築できたからだと思っています。

《画像:小学生になり、机に向かう時間が増えた長女と長男》


2025年には、次男が特別支援学校に入学します。学校生活のケアや、放課後の過ごし方など、考えることは山積みです。でも、夫婦で積み重ねてきた経験から、共働きを続けながらでも何とかなるかなと、気楽に構えているこの頃です。

編集:はてな編集部

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【四日市市長選2024】森智広さん3選、市街地再開発、全小中学校体育館の空調整備など推進へ

    YOUよっかいち
  2. 親子で行きたい♡ 子どもも簡単に作れる「ミニツリー」のワークショップ開催【京都市下京区】

    きょうとくらす
  3. コシノジュンコ「東京ってすごい!」MC・テリー伊藤&白濱亜嵐も感激! 都民一人ひとりが創り上げるファッションショー「TOKYO FASHION CROSSING 2024」開催

    舌肥
  4. 北九州市トップスポーツチームの試合結果(2024年11月18日~24日)

    キタキュースタイル
  5. 佐久間宣行プロデュースアイドル・ラフ×ラフ、新曲「超めっちゃ“キュン”でしょ?」リリース決定!

    Pop’n’Roll
  6. 新たな乱歩論に触れて 生誕130周年イベント 30日に名張で

    伊賀タウン情報YOU
  7. 神戸電鉄が期間限定の『クリスマス装飾列車』を運行するみたい。クリスマス気分が味わえる「車内イベント」も

    神戸ジャーナル
  8. 90分食べ放題!兵庫のグランピング施設に「牡蠣小屋」期間限定オープン

    PrettyOnline
  9. 着太りしない!痩せて見える!気になる体型をカバーする「アウター」5選

    4yuuu
  10. カルディで和食革命!?時短で本格的な味を再現できるアイテムを発見!

    ウレぴあ総研