“ピリオド” の向こう側に行ってみた! 渋谷編:意外な人物との出会い
誰もがアツい青春を送った時代があった。そう、50代の私(佐藤)にもそんな時代があったのだよ。ガムシャラに駆け抜けたあの日々は、もう2度と戻ってこない。それでもいつかはたどり着けると信じていた、ピリオドの向こうに……。
もうたどり着けないのだろうか? その問いかけに、縦に首を振りたくない自分がいる。歳も歳だけど、「諦め」という名の傘で雨をしのぎたくない!
そこで! 思い切ってピリオドの向こう側に行ってみることにしたぞ! そこで私を待ち構えていたのは、意外な人物との出会いだった……。
・憧れの渋谷
ピリオドを求めて、私がやってきたのは渋谷である。
地方(島根)出身の私にとって、渋谷はずっと憧れの街だった。まだ上京前の20歳頃、島根から夜行バスで12時間を費やして、遊びに来ていたんだよな。
早朝7時に渋谷駅に到着すると、どこにも行く場所がなかった。あの頃はネットカフェがまだなくて、大抵のお店は10時や11時に営業に始まるから、入れるお店もなかった、頼れる友達がいるでもなく、あてもなく駅周辺をさまよい歩いたっけな。
不慣れな街で荷物を抱えて歩いているもんだから、知らないおじさんに「仕事あるよ」って言われたこともあったなあ。家出してきたかと思われたんだろう。
あれから30年以上を経て、都内でそれほど不自由なく暮らせている。東京にも多少は詳しくなった。あの頃思い描いた未来に、今の私はいるのだろか?
いたずらに歳だけ重ねて、妙に聞き分けの良い大人になっていないか? 胸の内からあふれるような思いは、どこかに置き忘れた気がする……。
・ピリオドの向こう側から
東京について、とくに印象に残っている年がある。それは今から32年前の1992年、季節は今頃だ。その年は10月と11月に2度も上京していた。
なぜそこまでハッキリ覚えているかというと、ロックバンド「スキッド・ロウ」の日本武道館公演を10月に観に来ている。その翌月には、「ガンズ・アンド・ローゼズ」の東京ドーム公演にも来ていた。
スキッド・ロウは自分でチケットを取って千葉の友達と観に行ったんじゃないかな。ガンズの方は、東京の友達が「見に行けなくなった」とかで譲ってもらったはず。その時はガンズに一切興味のなかった先輩を無理やり連れていって、3時間見知らぬバンドの曲を立ちっぱなしで聞かせる苦行を与えてしまった。私は存分に楽しめたが……。
あの時の興奮は今でも脳裏にある。しかしながら、片道12時間夜行バスに乗ってでも何かを観たいと思うような情熱は、この胸にはもうない。
ずいぶんちっぽけな人間になっちまったな。
東急百貨店の跡地もサッパリしたもんだ。
目に映るものは白い塀だけ。いずれは新しい百貨店が建つとはいえ、今この瞬間、希望を感じさせるものは何もない。この景色はまるで……、いや、止そう。むなしくなるだけだ。
そんな諦念にも似た心持ちの私は、たどり着いてしまった。
ピリオド(Period)に
ここで俺の人生に終止符が打たれるのか!? 違う! ここから始まるんだ、ガムシャラに駆け抜けた頃のように、アツい気持ちで心を燃やして、今、走り出せ!!
と、その時! 「佐藤さん」と呼ぶ声が向こう側からする。誰だ!?
「佐藤さん、まだ何も始まっちゃいないですよ」
星児か!?
星児「佐藤さん、しょぼくれた顔して、何やってんですか?」
佐藤「星児ーーーーーーーッ!!」
星児「俺たち、これからッスよ」
佐藤「そうだな、行こうぜ。さらなるピリオドの向こう側へ」
……こうして、我々は共に駆けていくのだった。次のピリオドを目指して……
~ 完 ~
参考リンク:Personal Gym Period.
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24