『愛猫への虐待』につながる4つのNG行為 傷つける意図がなくても、猫には苦痛なこと
1.体に傷を負わせる
猫を含む『動物虐待』には、「積極的(意図的)虐待」と「消極的虐待」があります。「積極的(意図的)虐待」とは猫に対して暴力をはたらきケガを負わせることです。
法律でも、「猫をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられます」とあります。
理不尽な暴力はもちろん、しつけと称して猫を傷つけることも虐待です。昨今では、動画撮影やSNS投稿のために猫に身体的負荷をかけるケースも増加しています。
中でも猫特有なものとして理解しておきたいのが、ヒゲを切ったり抜いたりする行為です。猫にとってヒゲは体のバランスを保つための大切な器官であり、わざと損傷を与える行為が虐待と判断される場合もあります。
現在は獣医師による通報が義務化されているため、動物病院を経由して虐待が発覚することも多いようです。
2.心に傷を負わせる
「積極的(意図的)虐待」には、心に傷を負わせることも含まれています。意図的に強いトラウマを植え付けたり、ストレスを感じさせたりする行為は虐待です。これらは目に見えないため、傷つける意図なく行われている可能性もあります。
例えば、猫が粗相をしたときやイタズラをしたときに大声で叱るなどの行為は要注意。注意する程度であれば問題ありませんが、猫が恐怖を感じるほど叱ることはよくありません。
そもそも、一般的に『猫は訓練できない動物』とされており、恐怖を与えて問題行為を解決することは難しいといえます。
ちなみに、同居している猫嫌いな家族が、こっそり暴言を吐いて苦痛を与えているケースもあるようです。
心理的暴力は、身体的暴力に付随するものでもあります。殴ったり蹴ったりして猫の体を傷つけると、体と同時に心も傷つくということです。
3.必要な世話をしない
「積極的(意図的)虐待」に対して、必要なことをせずに猫に苦痛を与える行為を「消極的虐待」と呼びます。一般的に「ネグレクト」と呼ばれるもので、「積極的(意図的)虐待」以上に無自覚で行われている可能性が高いものになります。
猫を飼養するにあたり、「飲食」「排泄」「健康管理」は必ず必要になるお世話です。お世話を怠ったことで猫が健康状態を損なうとき、これは虐待となります。
例えば、エサが足りないために骨が浮き出るほど痩せている、ブラッシングをしないために毛玉だらけになっている、怪我しているのに病院に連れて行かず放置されているなどの行為です。
動物愛護の概念は数十年前とは様変わりしており、行為が意図的かどうかは重視されなくなってきています。人間の知識不足や怠慢による虐待行為であっても、動物の心身の状態や置かれている環境の状態によって、虐待かどうかが判断されるのです。
4.適切な環境を確保しない
適切な環境を確保できない飼養状態も、「消極的虐待」のひとつです。身体的・心理的に安全を保てない場所で猫を飼養することは虐待とされています。
例えば、狭いサークルの中に入れっぱなしにすることは心身ともに猫の苦痛となるため、虐待と判断される場合があります。
また、トイレ環境が著しく汚れていたり、家そのものが不衛生であることも、猫にとっては虐待です。過去には、多頭飼いの猫の遺体を放置したまま飼養を続けていて問題になったケースもありました。
環境の確保は、ともすると飼い主自身がその異常性にまったく気が付いていない場合もあります。同情心から野良猫を次々に招き入れ、管理が行き届かなくなり飼育崩壊してしまうパターンもあるでしょう。綺麗でのびのびと暮らせる環境を確保することは、猫を飼う上でとても大切なことです。
まとめ
令和2年6月1日に『動物の愛護及び管理に関する法律』が施行され、動物虐待に対する対応が大きく変わりました。
例えば、今までは「多数頭の不適切飼養」に対して勧告や立ち入り検査を行っていましたが、現在ではわずか1頭でもその可能性があれば検査を行えます。
また、動物殺傷罪等の厳罰も強化されているそうです。
動物虐待には無自覚なものもありますので、今一度猫の飼養状態を振り返ってみてはいかがですか。
(獣医師監修:平松育子)