「不況が加速していくんですよ」夏休み予算2・6%減 物価高と円安で節約志向
7月18日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、夏休みの予算に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「加速度的にお金が回らなくなるんですよ」
調査会社インテージが17日に発表した夏休みに関する調査によると、予算総額は前の年と比べて2・6%減り、平均5万8561円だった。企業の賃上げや定額減税にかかわらず、長引く物価高や円安で消費者の節約志向が強まっていることを浮き彫りにした。
調査は6月27日~7月1日、インターネットで15~79歳の男女5000人を対象に実施。夏休み期間の過ごし方や予算を聞いた。
予算が減る理由(複数回答)を聞いたところ、「物価高・円安だから」が51・5%で最も多かった。次いで「給料が増えないから」が35・2%、「電気代・ガス代が上がるから」が33・1%と続いた。一方で、予算が増える理由(同)も「物価高・円安だから」が最多の26・9%で、物価高と円安が夏休みの過ごし方に影響を与えている。
寺島アナ「このアンケート結果、藤井さんいかがですか?」
藤井氏「経済学的に非常に面白い。僕がいつも言っていることを証明するミクロ経済学消費者データやなと思ってこれを見てたんですけども。なんでかっていうと、夏休みに使うお金が増える理由と減る理由の1位がどっちも『物価高だから』なんですよ。面白いですよね。
これは要するに、増えると答えた人は『えっ、値段上がんのやろ? ほんなら予算増やせへんかったら、同じもん買われへんやん』。で、減ると答えた人は『物価高やろ? 物高いんやろ? 困るやんかぁ。いろんなもん買わなあかんから、夏休みごときに予算使ってられへん』っていうことで減るわけですよ。
で、物価高だから予算が減るって言ってる人は51.5%だけど、物価高だから予算が増えるって言ってる人は約半分の26.9%なんですよ。っていうことは、『物の値段が上がるから普通に素直にお金使うで』って言ってる人はちょっとしかいなくて、大体の人が物の値段が上がると暮らしを守るために夏休みに使うお金を減らそうとしてるんですよ。物価高になることで、経済学的に言うと、消費性向が低まってるんですよ」
寺島アナ「そうですね、はい」
藤井氏「消費性向っていうのは経済学的に言うと貯蓄性向の逆なので、要するに物の値段が上がると、貯蓄性向が上がっているんですよ。一般的には消費性向が下がるっていうことは貯蓄するようになるっていうことで、実際5つの理由の中に『将来が不安だから』ってあるじゃないですか。将来不安だからお金使わないってことは、お金使わないで『貯蓄しとこう』ってことなんですよ。要するに物価が上がるってことは実質賃金が下がるってことだから、実質賃金が下がれば下がるほど貯蓄するようになるんですよ、人間って」
寺島アナ「賃金が一定だったら下がるわけですもんね?」
藤井氏「そうそうそう、だから貧乏になっていく人っていうのは、貧乏だから使うものが増えて貯金が減っていくんじゃなくて、貯金が増えていくんですよ。貯金率がね。貯金額は変わらないかもしれないけど貯金率が高まる。ということは不況になったらみんなお金を貯めるようになるから加速度的に不況が加速するんですよ、拡大していくんですよ」
寺島アナ「世の中にお金が回らないから?」
藤井氏「そうそう、めっちゃ貯蓄するから、お金を使う量がより少なくなるんですよ。使う量がより少なくなったら、これから将来不安だって言って、より貯蓄するから、より加速度的にお金が回らなくなるんですよ。それを意味しているんですよ」