万博会場にアートマイル壁画 会期中に計158か国展示
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに世界158の国・地域が参加して今月13日に開幕した「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の会場に、大町の塩飽隆子さん(69)が理事長を務める「一般財団法人ジャパンアートマイル」がアートマイル壁画を出展。
日本と参加国の子どもたちが平和やSDGsをテーマに共同制作した作品を万博開催期間中3期に分けて展示する。
塩飽さんは、日本と海外のパートナー校がインターネットを使って「貧困」「教育」「平等」「環境」など世界共通の課題について対話的・協働的に学び合う国際協働学習プロジェクトを2006年に開始。学習成果として両校の子どもたちが世界に訴えるメッセージを込めて共同制作した「アートマイル壁画」(縦1・5メートル、横3・6メートル)を発表する取り組みを続けている。これまでに完成した壁画は1100点を超え、207の国・地域の壁画が揃っている(戦災や混乱などで参加できない一部の国・地域については趣旨に賛同した国内の学校等がその国を想い単独制作)。
「アートマイル壁画を万博会場に展示できないか」。同団体の副理事長として隆子さんとともにプロジェクトの普及振興に尽力してきた夫の康正さん(75)が関西経済同友会常任幹事の協力を得て主催者に要望。協議を重ねた結果、ウォータープラザの人工芝エリアに初日から最終日まで通期で展示できることが決定した。一つの国・地域につき1点ずつ作品を選び出し、第1期は56点を展示。原小が昨年度、ポーランドと共同制作した1枚もさっそく飾られている。今後作品を入れ替え、計158点を披露する計画だ。
展示場所のウォータープラザでは、日中は噴水ショー、夜は人気イベント「アオと夜の虹のパレード」が連日催され、初日から大勢の観客が訪れた。大屋根リングからは多種多様なパビリオンを背にずらりと並ぶ色鮮やかなアートマイル作品を見ることができ、光景を写真に収める来場者の姿もみられた。
プロジェクトを始めて、今年でちょうど20年。「壁画を制作した子どもたちには、万博に来て『自分も世界の一部になれる』ということを感じて欲しい」と隆子さん。康正さんは「東京オリンピック公式イベントとして新宿御苑で開催の『わっさい』での壁画展示が中止となったが大阪万博で実現できてよかったです」とコメントした。