【死ぬほど暑い夏に聴く特撮ソング5選】子門真人、串田アキラ、水木一郎が大絶唱!
気温が40度に迫る日に、汗だくになりながら激辛のカレーや赤々とした担々麺を食べるよう、“熱量の高い音楽” にどっぷりと身を委ねてみるのはどうだろう。暑すぎる季節を避けるのではなく、むしろ、味わい尽くす── そんな体験に最適なのが、特撮やアニメの主題歌だ。
なかでも、1970〜1980年代は “激アツ” な楽曲の宝庫。当時のアニメソング&特撮ソングには、マグマのような熱と、稲妻のように感情を直撃するパワーが込められている。 そこで、【死ぬほど暑い夏に聴く特撮ソング】と題して4つの部門から全5曲を厳選して紹介する。
赤道直下の密林の鬱蒼とした熱気を放っている「アマゾンライダーここにあり」
▶「仮面ライダー」シリーズ部門
・『仮面ライダーアマゾン』主題歌
・「アマゾンライダーここにあり」
子門真人(作詞:石森章太郎 / 作曲・編曲:菊池俊輔)
『仮面ライダー』の主題歌といえば、菊池俊輔による哀愁を帯びたメロディが代名詞だ。どれも熱量は高いが、1曲選ぶならこれに尽きる。『仮面ライダーアマゾン』の主人公・山本大介は、アマゾン川流域の奥地で、古代インカの末裔・長老バゴーに育てられたという設定だ。
この曲は、菊池サウンドらしい戦う者の孤独や、背負ったものの重さを描きつつ、赤道直下の密林の鬱蒼とした熱気を放っている。そして、子門真人のシャウトは、怒り、そして復讐の念を燃え上がらせる慟哭のようでもある。これを三連チャンで聴けば、誰もが “ア〜マ〜ゾ〜ン!” と叫びたくなる。 山本大介を演じた岡崎徹(76)が、『ウルトラセブン』のアンヌ隊員役で知られるひし美ゆり子(78)と最近(2025年5月)結婚したことも、激アツ要素の1つだろう。
聴く者にマックスの高揚感をもたらす串田アキラの原点
▶「スーパー戦隊」シリーズ部門
・『太陽戦隊サンバルカン』主題歌
・「太陽戦隊サンバルカン」
串田アキラ+こおろぎ’73(作詞:山川啓介 / 作曲・編曲:渡辺宙明)
スーパー戦隊シリーズからは、50年に及ぶ歴史のなかで唯一 “熱い太陽” そのものをモチーフに据えた『太陽戦隊サンバルカン』の主題歌を選びたい。1曲に絞るならば、ベタであっても、やはりこれになる。
シリーズの音楽を作り続けた渡辺宙明による、メリハリのある構成が圧巻だ。Aメロは短調(マイナー)で進行し、哀感を帯びた旋律のなかに “太陽が失われた世界” の絶望をイメージさせる。しかしBメロでは一転して長調(メジャー)へと転じ、輝く太陽がもたらす希望を描き出す。そしてサビでは戦隊名を高らかに歌い上げ、聴く者にマックスの高揚感をもたらす。
ボーカルの串田アキラは、当時はまだ無名の歌手だった。たまたまその歌声を聴いた渡辺宙明に抜擢されて、この曲を歌うことになった。つまり「太陽戦隊サンバルカン」は、稀代の特ソンシンガーの原点なのである。メロディやボーカルもさることながら、歌詞の力強さも際立っている。とくに2コーラス目がいい。
悲しみの夜が つづいても
君は 負けずに朝を待て
太陽はオー みんなのものだ
誰にでもオー 光をくれる
イーグル!シャーク!パンサー!
おれたちも輝いて 生きようぜ
作詞家の山川啓介は、すべての人間に同じように幾多の恵みを与える、太陽の持つ包容力と無償性を的確に言語化している。そこには、分断も、排外主義も存在しない。あるのは、平等であり、公平であり、未来への希望である。
太陽がギラギラと照りつける季節にぴったりハマる「宇宙刑事ギャバン」
▶「メタルヒーロー」シリーズ部門
・『宇宙刑事ギャバン』主題歌
・「宇宙刑事ギャバン」
串田アキラ+こおろぎ’73(作詞:山川啓介 / 作曲:渡辺宙明 / 編曲:馬飼野康二)
アレンジャー以外は『太陽戦隊サンバルカン』と同じ布陣だ。“メタルヒーロー” という語感から連想されるのは、冷たく硬質なマスクとボディ、そして非人間的な強さである。しかしシリーズ第1作『宇宙刑事ギャバン』は、主人公・一条寺烈を演じた大葉健二の野性的な魅力も手伝い、人間味と情熱にあふれた作品になっている。
渡辺宙明による主題歌もまた、作品に濃密な血を通わせている。ブラスとシンセが重層的に鳴り響くハードなサウンドの中で、串田アキラがしゃがれたヴォーカルで、「♪若さって何だ?」「♪愛って何だ?」と問いかける。今の特ソンにはない、泥臭いほどの熱気が、太陽がギラギラと照りつける季節にぴったりハマる。
怒りと悲しみの入り混じった咆哮のようでもある水木一郎のボーカル
▶「アニキ」部門 その1
・『変身忍者 嵐』主題歌
・「嵐よ叫べ」水木一郎(作詞:石森章太郎 / 作曲・編曲:菊池俊輔)
全身に熱気をまとった “アニキ” こと水木一郎の歌唱曲をひとつの部門として独立させたい。で、まずはこの曲だ。『変身忍者 嵐』の主人公・ハヤテは、父の過ちを償うため、平和を守るために戦う哀しきヒーローである。苦難のなかにある母を思いやり、その存在を胸に刻みながら悪と対峙する。作品の内容にあわせ、主題歌もまた、哀しく熱い菊池サウンドだ。時代劇のテイストを織り交ぜつつ、冒頭から重厚なブラスと打楽器が容赦なく突き刺さる。そして水木一郎のボーカルは怒りと悲しみの入り混じった咆哮のようでもある。
クソ暑い季節をズババババーンと乗り切ろう
▶「アニキ」部門 その2
・『超人バロム・1』主題歌
・「ぼくらのバロム1」
水木一郎+コロムビアゆりかご会(作詞:八手三郎 / 作曲・編曲:菊池俊輔)
これも、菊池俊輔が得意とする “ヒーローの背負う哀しみ” を感じさせる旋律だ。
マッハロッドで
ブロロロロー ブロロロロー ブロロロロー
ぶっとばすんだ ギュンギュギュン
魔神ドルゲをルロルロロ
やっつけるんだ
ズババババーン
しかし、このような意味不明な歌詞と狂熱的な水木一郎のボーカルが、悲哀とは逆方向に突き抜ける印象を与えている。この曲を毎朝目覚めとともに聴けば、日常のストレスはルロルロロである。クソ暑い季節をズババババーンと乗り切ろう。