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どうして現場に血が流れるんだ!踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

Re:minder

2003年07月19日 映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」公開日

現在も日本実写映画歴代興行収入第1位を誇る「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 」


“どうして現場に血が流れるんだ!”

ーーと聞いて、あの音楽が聴こえてくる人も多いだろう。

♪ ジャン! ジャン! ジャンジャ、ジャン!

これは2003年7月19日から公開され、興行収入173.5億円をたたき出し、現在も日本の実写映画歴代興行収入第1位の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の台詞だ。邦画の興行収入上位作品は1位の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を筆頭にアニメばかりが並ぶが、上位15作品の中で唯一、実写映画で7位にランクインしているのが本作である。

『踊る大捜査線』は1997年1月からフジテレビでスタートした連続ドラマだ。主人公・青島俊作刑事を演じるのは、当時30歳の織田裕二。他に柳葉敏郎、深津絵里、水野美紀、ユースケ・サンタマリア、いかりや長介などが脇を固めた。いわゆる刑事ものだが、特徴的だったのは、警察という組織に属する公務員としてのリアルな刑事像を描いたこと。派手なカーチェイスも、息詰まる銃撃戦もない。刑事のことは “デカ” ではなく “捜査員” 、犯人のことは “ホシ” ではなく “被疑者" と呼ぶといった、現実味のある描写を徹底したことが、従来の刑事ドラマとは違う点だった。

事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてんだ!


雇われの身の辛さだけでなく、警察が抱えるさまざまな内部矛盾や、キャリア制度、官僚主義、縦割り行政の問題や民事不介入の問題なども、大きなテーマとして描いた。徐々に人気が上がり、最終回の視聴率が20%を超えたことで映画化が決定。1998年『踊る大捜査線 THE MOVIE』として公開されることとなった。この時のキラーフレーズが “事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてんだ!” であり、覚えている人も多いことだろう。

予告が何度もテレビCMとして流され、それまで観たことがなかった人たちにも広く認知されるようになった。映画第1作目は興行収入101億円を記録し、日本実写映画歴代興行収入としては当時『南極物語』(1983年公開)に次ぐ第2位となった。そして2003年、これら全ての記録を抜いて1位になったのが、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』である。

捜査員に関わらず、役職や階級も忘れてくれ


1993年にレインボーブリッジが開通してから10年、お台場は東京の人気観光スポットと化した。“空き地署” などと揶揄されていたのは過去の話で、今や湾岸署は道案内や迷子、交通整理などで大忙しだ。そんな中、管内で猟奇殺人事件が起こる。やがて判明した犯人はリーダーを持たない集団であり、旧来型の警察のピラミッド型官僚組織はゲリラ的な犯罪に翻弄され混乱に陥ることに。今回の作品における “組織” の象徴は、真矢ミキ演じる女性キャリア・沖田管理官だ。彼女は所轄を見下し上からの命令は絶対だとして君臨するが、命令の鎖に縛られた捜査員たちは混乱し、やがて現場の刑事が銃で撃たれる悲劇を招くことになる。

その彼女に代わって新たな本部長となった室井管理官が発した言葉は “捜査員に関わらず、役職や階級も忘れてくれ” であった。捜査員たちは、各自の判断で捜査に向かう。“青島、被疑者を見つけ次第確保だ。本部の命令を待たなくてもいい” “全捜査員、聞こえるか。自分の判断で動いてくれ。本部への連絡は厳守。現場の君たちを信じる” と室井管理官は告げる。サブタイトルの「レインボーブリッジを封鎖せよ!」とは、お台場に潜伏した犯人を逃がさないようにするための命令だが、監督省庁が複数にまたがるとされるこの橋をいかに封鎖するか、つまり縦割りの官僚主義をいかに超えるかという意味が込められているのである。最終的には、監督省庁の許可を待たずして橋は封鎖された。青島刑事は室井管理官に告げる。“しびれるような命令、ありがとうございました” 。

ちなみに当時、ドラマとともに流行したのが青島刑事が来ていたコート、通称 “青島コート”だ。これはヒューストン社製のM-51パーカーで、モッズコートやフィッシュテールなどと呼ばれていたもの。定価は2万円ほどと安く、街ではこれを着る若者が大量発生した。このコートは映画第1作において犯人に刺され穴が開いてしまったが、続く『THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』では穴を修繕して着ているほど、青島にとって大切な一着だ。現実世界においても一時的な流行で終わることなく、今も、アウターの定番コートとなっている。

続編、スピンオフなど、広がり続ける「踊る大捜査線」の世界


映画の大ヒットをきっかけに『踊る大捜査線』の世界はさらに広がる。本編のスピンオフ企画として2005年、ユースケ・サンタマリアを主役とした映画『交渉人 真下正義』が公開。その冒頭に繋がる物語として、寺島進主演による『逃亡者 木島丈一郎』が同年、テレビスペシャルで放映。さらに高橋克実主演『警護官 内田晋三』、柳葉敏郎主演『容疑者 室井慎次』、八嶋智人主演『弁護士 灰島秀樹』など、テレビスペシャルや映画などでさまざまなストーリーが描かれることとなった。

2010年には、映画第3作『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』が、2012年には映画第4作『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』が公開され、いずれもスマッシュヒット。さらに2024年には映画『室井慎次 敗れざる者』(10月)『室井慎次 生き続ける者』(11月)も公開される運びだ。

『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』は、老刑事、和久平八郎を演じたいかりや長介のシリーズ最期の出演作品であるというその一点だけでも、十分に観る価値のある映画と言えよう。また本作は20年ぶりに実写邦画の興行記録を塗り替え1位となったが、その公開から20年以上がたった今も、その金字塔は打ち倒されていない。

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