緊張を生む「間」とは?【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】
NO.22 緊張【きんちょう】[英:Nervous]
【意味】
ある物事が気がかりで、心身が張り詰めて興奮状態になること。
【類語】
引き締まる こわばる 張り詰める 切羽詰まる ナーバス ナイーブなど
体(フィジカル)の反応
口のなかが異様に乾く食欲がなくなる全身が粟立つじっとしていられない動作がせわしなくなる手悪さをする相手への返事がしどろもどろになる声が震えるいつもより早口になる震える手をぎゅっと握る咳払いをするまばたきが多くなる顔や耳が赤くなる呼吸が速く、浅くなる手汗をかく頭が締めつけられるように痛む息苦しさを感じるみぞおちの痛み気分が悪くなる物音や匂いに敏感になる身震いがする
心(メンタル)の反応
心臓が口から飛び出そうになる意識が遠のいていく感覚些細なことにいら立つ時間の経過が遅く感じる言動がぎくしゃくする始まる前から失敗した姿を想像するまわりの人に緊張を悟られたくないと感じる
「緊張」した場面を描くコツは〝間〟を自在に支配する筆力
張り詰めた空気感の描写力が問われるのは、ミステリー、サスペンス、ホラーの分野です。登場人物の心理状態や性格や動作や言葉遣いなど、ただ伝えたい内容を平坦に書くだけでは面白味に欠けます。「緊張」した状態を自在に描けてこそ、緩急をつけたメリハリある展開で読者をハラハラ・ドキドキさせられます。
ところが「緊張」を描くのは難易度が高いうえ、労多くして報われないケースが多いもの。「緊張」した場面を描くコツは〝間〟を自在に支配する筆力にあります。具体的には現在進行形のストーリーでの〝瞬間〟や〝一瞬〟といった刹那、時間が止まった〝静止〟の一拍、〝直前〟〝直後〟といった前後の時の流れを、会話文であれ地の文であれ、リズム感を意識して盛り込むことです。
名作と呼ばれる怖い映画の名シーンを自分なりに文章で表現する練習を積むと「緊張」の〝間〟を描くコツがわかってきます。
ぜひトライしてみてください。
「緊張」するシーンを映像並みに文章化してみよう
【出典】『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』著:秀島迅