磯魚を使って美味しい「魚の水炊き」を作ろう 本家の鶏にも負けない美味しさ
シンプルながら素材の味が楽しめる究極の鍋料理の一つ「水炊き」。鶏で作るのが一般的ですが、魚で作っても美味しく楽しめます。
鍋の代表格「水炊き」
徐々に肌寒くなり、上着を手にすることも増えるこの季節。鍋料理が恋しくなってくる時期ですが、皆様はどんな鍋がお好きでしょうか。
筆者は福岡に長く住んでいたので、寒くなるとまず食べたくなるのは「水炊き」です。当地を代表する料理のひとつで、専門店がいくつもあり、人気を競っています。
水炊きとはどんな鍋かというと「鶏を煮て取ったスープで野菜を煮て食べる」もの。上質な骨付き鶏を水からじっくりと煮て取った上品な出汁はそれだけでも絶品で、その出汁がしみた野菜や柔らかくなった鶏を好みのポン酢で食べると最高です。
魚で作っても美味しい
そんな水炊きですが、人によっては「鶏肉以外」を使って作ることがあります。水炊きは読んで字のごとく「水で炊け」ば良いので、出汁が出るものなら鶏である必要はないとも言えます。
鶏肉以外の水炊きの材料で良く使われるのは「魚」です。骨付きの魚を煮ると素晴らしい出汁が取れるため、鶏肉と同じような鍋にすることができます。
他には貝柱等の貝類や、エビ・カニなどの甲殻類を使う例もあるようですが、こうなると水炊きというより「寄せ鍋」のイメージに近くなるかもしれません。
水炊きに合うのは「磯魚」
筆者も、しばしばこの「魚の水炊き」を作ります。材料に使うのはタイやスズキ……ではなく、カサゴやソイ、カジカなどの磯魚。
彼らは骨ばっていて身が少なく、小型のものはあまり値段もつきません。しかしそのような魚こそ、水から炊いたときに素晴らしい出汁が出て、鍋が美味しくなるのです。
最近ではこれらの魚に加え、ハマフエフキやイトフエフキといったフエフキダイの仲間を使うことも多くなっています。これらの魚はタイ型ゆえの肉量の多さと、磯魚ゆえの皮の分厚さ(=ゼラチン質の多さ)を併せ持ち、水炊きにピッタリの魚です。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>