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甲子園で被本塁打わずか「2」、地の利を最大限に活かす阪神投手陣の驚異的なHR/9

SPAIA

阪神の藤川球児監督,ⒸSPAIA

38試合で被本塁打8本、HR/9は驚異の0.21

広島に敗れて2位に転落した阪神だが、それでも投手陣が球界屈指なのは論を待たない。中でも飛び抜けている数字が被本塁打数だ。

5月16日終了時点で38試合を消化して、被本塁打は12球団最少の8本。2位の広島でも12本、12球団ワーストのソフトバンクは30本だからいかに少ないか分かるだろう。

1試合で打たれる本塁打数を示す「HR/9」は驚異の0.21。もちろん12球団トップだ。

これがどれくらい凄いかということを示すために最近の数字と比較してみよう。2019年以降の年度別チーム投手成績は下の通りとなっている。

阪神も含めて計6本塁打しか出ていない甲子園

最近で最も被本塁打が少なかった2024年でも51本、HR/9は0.36だった。単純計算すると、今季は143試合で30本ペースとなる。

さらに詳しく見ていこう。ここまでの被本塁打内訳は以下の通り。

才木浩人 4月1日DeNA戦(京セラドーム大阪)牧秀悟1号ソロ
岩崎優 4月5巨人戦(東京ドーム)岡本和真2号2ラン
村上頌樹 4月11日中日戦(甲子園)上林誠知1号2ラン
才木浩人 4月29日中日戦(バンテリンドーム)細川成也2号ソロ
門別啓人 4月30日中日戦(バンテリンドーム)木下拓哉1号ソロ
石黒佑弥 5月6日巨人戦(東京ドーム)甲斐拓也3号ソロ
門別啓人 5月7日巨人戦(東京ドーム)若林楽人2号2ラン
村上頌樹 5月16日広島戦(甲子園)秋山翔吾1号ソロ

ホーム甲子園では村上頌樹の2本のみ。左中間、右中間が深く、左打者にとっては逆風となる浜風が強い甲子園の「地の利」も味方している。

ちなみに甲子園では阪神打線も佐藤輝明が3本、森下翔太が1本の計4本しか本塁打を打っておらず、計6本塁打は12球団の本拠地で最少。広くてフェンスが高く、本塁打が出にくいとたびたび話題になっている中日の本拠地バンテリンドームでも計12本、被本塁打数が阪神に次いで少ない広島の本拠地マツダスタジアムでも13本塁打が記録されている。

逆に本塁打が出やすいとされる東京ドームは計29本、エスコンフィールドは計40本が飛び出している。もちろん、ホームチームの長打力によるところも大きいとはいえ、球場による違いも小さくない。

奪三振率はセ・リーグ4位でも防御率は12球団トップ

阪神投手陣が優秀であることに疑いの余地はないが、被打率.226は広島(.209)、西武(.216)に次いで12球団中3位。奪三振率7.14はDeNA(7.93)、巨人(7.53)、オリックス(7.26)、ヤクルト(7.21)に次いで12球団中5位、セ・リーグ4位となっている。

それでも12球団トップの防御率2.28を記録しているのは、日本ハム(2.02)に次いで2位の与四球率2.46が示す通り無駄な走者を許していないことも一因だろう。その上、本塁打を打たれないため大量失点するリスクが低いわけだ。

ちなみに昨季の高橋宏斗(中日)は143.2回で1本塁打しか許さず、HR/9は驚異の0.07を記録。2021年から3シーズンは、当時オリックスの山本由伸(現ドジャース)が12球団トップのHR/9(2021年=0.33、2022年=0.28、2023年=0.11)をマークしていた。

今季の規定投球回到達者では、アンドレ・ジャクソン(DeNA)がいまだ被本塁打0を継続しているが、阪神投手陣はチームとして甲子園の「地の利」を最大限に活かしながら“奮投”している。驚異的なHR/9はシーズンが終わる頃にどうなっているだろうか。チーム順位の推移とともに注視していきたい。

※成績は2025年5月16日終了時点

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記事:SPAIA編集部

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