広がる「骨髄バンクドナー休暇制度」 健康経営と社員の社会貢献支援のために895の企業など導入
健康経営の側面から骨髄移植の「ドナー休暇制度」が注目を集めている。日本骨髄バンク(東京都千代田区)によると、2025年4月時点で895の企業・団体が「骨髄バンクドナー休暇制度」の導入をしており、社員の社会貢献を支える動きが広がりを見せている。
ロジザード、最大10日の「ドナー休暇制度」を導入 社員の意思と行動を制度で支援
クラウド型在庫管理システムのロジザード(東京都中央区)は5月14日に「ドナー休暇制度」の導入開始を発表した。
社員が骨髄バンクのドナー登録やドナー提供を行う際には面談、検査、入院が必要になるが、同制度ではこれらにかかる日程に対して特別有給休暇を付与する。開始日は5月1日で、該当する社員には最大10日の特別有給休暇が与えられる。
骨髄移植は、移植を必要とする患者が毎年全国に2000人近くいる反面、ドナー登録者の数や提供割合が不足しており、ドナー候補者の43%が仕事都合で骨髄移植を断念しているといった社会課題がある。
同社の「ドナー休暇制度」は社員からの発案をきっかけに導入の検討が始まったといい、企業として何ができるのかを考えた結果、「有給でのドナー休暇」で社員の意思と行動を支えることを制度化する決断をした。
同社は「社会に必要とされる善意の行動を、社員一人に任せるのではなく会社として支えるこの制度は、ロジザードが目指す『やさしさ』と『誇りを持てる職場』の象徴となる」とコメントしている。
ドナー登録・提供で仕事を休まなければいけない日数は10日以上に
日本骨髄バンクによると、骨髄のドナー登録や提供は、説明や検査のために平日の日中に医療機関に出向く必要がある。
病院に出向く回数は多い場合で8回前後にもなるといい、提供時の入院や採取後の健康診断を含めると、仕事を休む日数が10日以上に及ぶことも珍しくない。
このため、日本骨髄バンクではドナー自身の有給休暇を使うのではなく、勤務先が特別休暇として認める「骨髄バンクドナー休暇制度」の導入を企業・団体に要請しており、制度について公式ホームページで紹介している。
TECO Design、最大12日を「ドナー休暇」に
企業のバックオフィス業務の支援サービスを提供するTECO Design(東京都新宿区)も、3月に福利厚生の一環で「ドナー休暇制度」の導入を発表した。
社会に必要とされる善意の行動を社員個人に任せるのではなく、会社として応援できる体制を整えることが狙いだ。
同社では、実際にドナー登録をしている従業員からの提案でドナー休暇制度導入の検討を開始。骨髄提供時に使用する上限12日をドナー休暇とし、有給休暇とは異なる特別休暇とするとともに、休暇を取得する際に円滑に業務を引き継ぐことができるよう、会社としてサポートする制度にした。
ドナー休暇の対象となるのは以下を想定している。
・骨髄提供前説明
・確認検査
・最終同意
・術前検診
・採取準備(通院)
・採取(入院)
同社は「今後も従業員の声を基に働きやすい職場環境を整え、社会貢献につながる制度の導入を進めていく」としている。
ロジザードの発表の詳細は同社のプレスリリースで確認できる。
TECO Designの発表の詳細も同社の公式プレスリリースで確認できる。