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空から見るニッポン。ただいま、埼玉県川越市の上空です!

さんたつ

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川越周辺にはかつて、舟運によって江戸と結ばれる河川の流通網があった。奥武蔵、奥秩父の木材を江戸に送っていた荒川をはじめ、入間川(いるまがわ)や川越市内の中心部を流れる新河岸川(しんがしがわ)で、明治時代中期まで農産物に建材、織物など商いの品々が行き交っていたという。こうした川では、治水や農業用水としての利水のため、川の形状や流れを変える大規模な改修工事が行われてきた。

空から見える土地の歴史

練習や機材のテストでは、埼玉県の荒川河川敷から飛ぶことが多い。いつも近場を飛んですぐ降りることが多いのだが、今回は荒川沿いをしばらく飛んでみることにした。

山や海の上とは違い、周辺には民家も多いため、川からそれないように飛んでゆく。

しばらくすると荒川と入間川が合流する地点に辿り着いた。その上流側は堤防できれいに分けられた二つの川が並行に流れている。

むかし二つの川はもっと上流で合流していたのだが、水害が多かったため、川と川の間を背割堤という堤防で区切ってゆるやかに合流させた。川の改修工事の開始は大正7年(1918)。100年以上前に地形を変えるような大きな工事をしていたことに驚く。

荒川と入間川の合流地点。人工的に作られた地形ではあるが、自然となじんでいるように感じた。

飛んでいるときはそんなことは知らずに不思議な形だなあと思いながら通り過ぎるだけだった。川の合流地点から入間川のほうに入り、北西方面へと進む。川越中心地を左方向に見ながら回り込むように飛んでいくとまた川が二つに分かれる。

越辺川(おっぺがわ)と入間川の合流地点だ。ここも治水工事で、むかしとは地形が変わっている。

“小江戸”の別名をもつ川越はその歴史の中で川をうまく利用してきたのだろうか。

散歩をするように飛び、いつもとちょっと違う景色の見方をしてみる。そして気になった場所をあとで調べてちょっとだけ勉強になる。

空から見た景色を思い出しながら、その土地の歴史を考えてみるのもなかなかおもしろい。

入間川上空から川越市街地方向を望む。左奥のほうに、うっすらとさいたま新都心のビル群も見える。

取材・文・撮影=山本直洋
『旅の手帖』2024年12月号より

山本直洋
空飛ぶ写真家
1978年、東京生まれ。モーターパラグライダーによる空撮を得意とする”空飛ぶ写真家”。現在、世界七大陸最高峰を空撮する、成功すれば世界初のプロジェクト「Above the Seven Summits Project」を計画中。

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