ドローン国家資格 国士舘大学が講習機関に 都内大学で初認定
永山や南野などにキャンパスを構える国士舘大学(佐藤圭一学長)はこのほど、ドローンの国家資格である無人航空機操縦士資格の実技試験実施機関に認定された。都内の大学では初めて。最初の試験が9月18日に多摩南野キャンパスで行われ、受験者は合格し国家資格を取得した。
ドローンの国家資格講習機関に認定後、初めて行われた試験に臨んだのはスポーツ医科学科4年生の高橋亜樹良さん。将来、救急救命士になることをめざしている高橋さんは「実際、災害現場に出た際にドローン操縦ができると便利だと思った。災害時、人が行くことができない場所でも、状況を映像で見ることができたら災害の役に立てる」と資格取得を決めたという。
試験は机上試験・実技試験・口述審査がある。講師は同大学防災・救急救助総合研究所の講師で、救急救命士でもある都城治さんが務めた。実技試験はキャンパスの中庭に設置された試験場で、高橋さんが機体のチェックや操作を行い、決められた工程でドローンを操作しながら行われた。自動車の運転免許のように、一対一での試験は緊張感に包まれていたが、高橋さんは合格し、国家資格を取得することができた。都さんも「事故がなく無事に終えることができて良かった」と安堵の表情を浮かべた。
都さんは「これまでは民間資格を取得することしかできなかったが、体制を整えたことで国家資格が得られるようになった」と話す。広い中庭の上空にはネットをはり広い屋内に見立てるという環境を整えたこと、新たにドローンの機体を揃えたこと、講師ができる人的リソースがあることなどが認定の基準にあてはまったという。
同大学がドローン活用に関する資格取得などを推進するのは、2014年から続く防災教育に始まる。東日本大震災を教訓に、大学に防災・救急救助総合研究所を設置。14年度から全新入学生に防災基礎教育の導入などをしてきた。昨年度には全学共通教育科目として「災害とドローン」を開講した。そして、受講者から国家資格の取得希望の声が多く寄せられたことから体制整備を続けてきた。
受験を受けられるのは大学に在籍するすべての学部生、大学院生、教職員を含む関係者。今後、「災害とドローン」の修了生が続けて試験を受けていく予定になっている。同大学では、地域や社会の防災リーダー人材の育成・輩出をとおした社会貢献をめざしている。卒業生には民間資格を取得し報道やインフラ整備、ライフセービングなどの仕事で活用している人が多いという。