上司の指示が部長と嚙み合わない。無駄な気遣いで疲弊する38歳男性にプロが勧める立ち回り術
「直属の上司の指示が部長の意図と合致しない」「部長からはそんなこといっていないといわれた」組織内で指示がズレていると、現場の担当者は徒労感を感じ、板挟みになってしまいます。今回は、IT企業へ転職した38歳男性から寄せられた、「指示の歪み」に関する悩みに回答します。
※本記事は、Podcast「5分で整うキャリア思考」の一部を抜粋・編集したものです。
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相談内容
38歳/男性
前職は非IT企業を12年、現在はIT企業3年目です。直属の上司との関係性に悩んでおり、相談にのっていただきたいです。直属の上司のいっていることが、部長(直属の上司の上司)のいっていることと整合しないように感じており、自分の担当業務に徒労感を感じることもしばしばあります。以前困ったときに、部長に「本当にこういう指示で合ってますか?」とコッソリ裏取りしたところ、「私はそんなこといっていない」といわれ、どうやら直属の上司は、部長の指示の意図をうまく咀嚼できていないようでした。だからといって直属の上司に対して、「部長と整合性が取れないようです、裏取りもしています」と面と向かっていいづらいこともあり、頭を抱えています。
「指示の歪み」が起こる本当の理由
直属の上司の指示と、その上の部長の指示が噛み合わないという状況は、組織では「よくある」と坂井さんは共感を示します。
この歪みが発生する原因は、直属の上司が単純に指示を理解していないだけでなく「 わかっているけどいえなかった 」というケースもあると坂井さんは指摘します。
部長クラスの推進を任された直属の上司が、「自分がこんなこといったらメンバーがついてきてくれないのでは」と不安になり指示をごまかしたり、違う指示を出したりすることがあるのです。
「この状況で一番辛いのって、もしくは自信がないのって、この直属の上司の可能性があって」と坂井さん。
また、坂井さんは「裏取りもしています」と面と向かって上司にいうことは、避けるべきだと強く勧めます。
なぜなら、この行為は上司のリーダーとしての自信をさらに失わせ、認知的不協和を起こさせてしまうためです。
巻き込むべきは「部長」である
この状況を打開するために坂井さんが提案するのは、 部長を巻き込むという解決策 です。
1.部長に協力をお願いする
部長に「認識齟齬が起きていると思うので、直属の上司も一緒にいる場で部長の方針を改めて話していただく方がスムーズかと思うのですが、協力してもらえませんか?」と依頼し、部長を巻き込んでいく。
2.上司の面子を立てる
部長が方針を発表してくれた際に、直属の上司がいる前で「私、ここをわかってなくて申し訳なかったんですけど」と上司の面子を立てる言葉を添える。
課長の面子を潰さないことが重要です。面子を潰してしまうとさらに自信をなくし「自分が舵取りしていいのか」と、指示を出すことに消極的になってしまうからです。
まとめ:指示の歪みを解消する3つのステップ
✓指示の歪みは、上司の不安や自信のなさから生じる場合がある
✓上司に裏取りを突きつけるのは逆効果で、自信を失わせる
✓部長を巻き込み上司の面子を立てながら、部長から方針を共有してもらう
坂井さんは最後に、 問題の根源である直属の上司の面子を潰さずに解決する ことが、チームの円滑な運営と、上司のリーダーとしての自信を取り戻すための鍵だと締めくくりました。
プロフィール
坂井風太
早稲田大学法学部卒業後、2015年DeNAに新卒入社。旅行事業部(現エアトリ)に配属後、ゲーム事業部、小説投稿サービス「エブリスタ」に異動。2020年にエブリスタ代表取締役社長に就任。M&Aや経営改革などを行うと同時に、DeNAの人材育成責任者として人材育成プログラムを開発。2022年にDeNAとデライト・ベンチャーズ(Delight Ventures)から出資を受け、株式会社Momentorを設立。組織効力感や心理学をもとにした人材育成と組織基盤構築の支援を行っている。
企業サイト 株式会社Momentor X(旧Twitter) 坂井風太
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