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中高生必見!「どんな問題? 共通テスト英語リーディングの特徴」

NHK出版デジタルマガジン

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は2025年1月から新しい学習指導要領に対応した内容に改められます。「外国語(英語)」は、どんなふうに変わるのか、気になっている中高生の皆さんも多いはず!

そこで、大手進学予備校で英語を教える大岩秀樹先生に6回にわたって、共通テストで出題される英語リーディングの特徴と、今日から取り入れたい学習法を解説してもらいます。いま求められている英語の力とは何か、どうすればその力が磨かれるのか。受験を考えている人はもちろん、英語を読む力を上げたいと思っている皆さんにも役立つノウハウをお届けします!

皆さん、こんにちは。私は受験生に英語を教える者として、大学入試ではどんな英語の問題が出されるのか、また、対応するためにはどんな力が必要か、日々研究し、生徒を指導しています。本連載のテーマである共通テストは、2021年1月にそれまでの大学入試センター試験(以下、センター試験)に代わり、始まりました。初年度は、問題の出題傾向が大きく変わったことが話題となりました。

「身についているか」ではなく「活用できるか」を測るテスト

2020年まで実施されていたセンター試験を振り返ってみると、「筆記」と呼ばれていたリーディングでは、発音・アクセントについての問題、単語・熟語・文法などを問われる穴埋め問題、英作文の語句の並べ替え問題、そして長文を読み解く問題で構成されていました。これは問いが進むごとに、一つひとつ学習の習得度(どのくらい身についているか)を試されているテストだったと思います。

一方、共通テストはそれらの英語の知識があることを前提に、「英語を活用できているか」を測る問題になっているのが特徴です。出題された問題を見ると、メールやレビュー、プレゼンテーション用の資料、エッセイなど日常生活でのコミュニケーションを意識したテーマをもとに多種多様な形式で出題され、必ずその目的・場面・状況が設定されています。それらは日常で触れる実用的な文書について、ふだんから情報を取捨選択したり、書き手の意図をていねいに読み込んだり、とその文章に合った読み方ができているかを問われていると思います。新しくなった英語リーディングは、そうした実用的な力を測るため、あの手この手で設問を仕かけてきます。

実は、学校教育の指針となる学習指導要領が約10年ぶりに改訂され、2020年より小学校から順に実施されました(小学校は2020年、中学校は2021年、高等学校は2022年の4月から実施)。共通テストも、学習指導要領がこれからの社会を生きていくために養うべきとする「思考力・判断力・表現力」を問う試験問題に様変わりしたといえます。共通テストを運営する大学入試センターが公表した試作問題(※)を見ると、それが明確にわかります。

※大学入学志願者などが2025年度の大学入学共通テストに向けた検討や準備ができるよう、2022年11月9日、大学入試センターは問題の方向性と具体的なイメージを共有するために試作問題を公表した。

令和7年度共通テストの試作問題はこちらから
大学入試センターホームページ(https://www.dnc.ac.jp/)内に掲載

* 大学入学共通テストとは…

大学受験者の高校までの基礎的な学習の達成度を測る試験として、各大学が大学入試センターと協力して実施。2020年度までの大学入試センター試験に代わって、21年度に導入された。24年度は約50万人が受験。25 年度からは、新しい学習指導要領のもと学習した高校3年生が受験する初めての共通テストとなるため、さらなる改訂が加わる。「英語」は「外国語」の1教科として実施され、リスニング(60分)とリーディング(80分)で構成される。

複数の意見や資料を読み解く

では、試作問題を見てみましょう。第A問は、「高校生が授業でスマートフォンを使うことの是非について自分の意見をまとめる」という目的のもと、三つのStepに分かれ、問題が設けられています。まず同じテーマに関する5人の意見を読み、自分の立場を決めて、それを裏付ける資料を活用しながら、自分の意見を構築するという一連の作業からなる問題です。今は学校の英語の授業の一環として、いろいろなテーマでプレゼンテーションをする機会があるでしょう。情報を集めて整理し、自分の言いたいことをまとめていく。第A 問では、そうした英語でのプレゼンテーションを通して、複数の意見や資料を読み解く能力が問われているといえます。

上はTeacherのスマートフォンの使用についての意見。この他にPsychologist、Parent、Highschool student、School principal の計5人の立場や主張、表現のレベルも異なるAuthorの意見を読み解き、設問に解答する。(令和7 年度共通テストの試作問題『英語(リーディング)第A問』より)

実際に問題を読んで解いてみると、書いてあることの主旨と必要な情報をいかに素早くつかみ取れるかが重要なことがわかります。これも共通テストの大きな特徴の一つです。

80分で6000語。受験生を悩ませる語数

そしてセンター試験との違いはもう一つ、使用語数の多さです。共通テストになった初年度は英語リーディング全体で5000語以上、また2024年までの3年間では6000語を超えました。センター試験は4000 語前後だったことを考えると、驚異的なボリュームです。これを80分で読みこなし、設問に答えていかなくてはなりません。しかも設問や注意事項もすべて英語で書かれています。

「こんなのとうてい、できるようになるとは思えない」と暗い気持ちになる人もいるかもしれません。でも、安心してください。共通テストはセンター試験と同じく、語彙や文法は高校で習うまでの範囲を中心に出題されています。問われる文法も、ふだんの生活や学校で使う英語が中心なので、英文自体は決して難しくありません。

何をおいてもまずは、土台となる英語力を養うこと

だからこそ、大切なのは英語の基礎をしっかり身につけることです。私が考える基礎とは語彙力と文法の知識です。これらの基礎を固めながら、たくさんの英文に触れ、情報をつかみ取る技術を高めていくことで、必ず読みこなせるようになります。ただ、残念ながら一朝一夕にはいきません。これから1 年~ 1 年半くらいかけるイメージで、学習を始めましょう。

次回から、語彙力の高め方や文法の学び方、読む力のつけ方について、私がベストだと考える方法を解説していく予定です。これから私と一緒に、共通テストの英語リーディングを難なく攻略できる力をつけていきましょう!

大岩秀樹

東進ハイスクール・東進衛星予備校の英語科講師。基礎講座から難関大向け講座まで多数担当し、応用問題にもしっかり対応できる「本物の基礎力」にこだわる授業を行う。中学生・大学生向けの講座も多数担当しており、大学入試にとどまらない未来へつながる英語指導を心がけている。著書は50 冊以上。

■「NHKテキスト 中高生の基礎英語 in English 2024年10月号」より
■構成:稲田砂知子 
■イラスト:柿崎こうこ

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