「あなたのため」と言ってない?子どものためにならない“3つのNG理由”
「あなたのためを思って言ってるんだよ」子育てをしていると、ついそう言いたくなることがあります。親としては子どもに失敗して欲しくなかったり、学んで欲しいという気持ちから出てしまう言葉でしょう。でも、この言葉は「呪の言葉」と言われることもあるほどのタブーワード。今日は「あなたのため」の代わりに「一緒に考えよう」と伝えることで、子どもが自分の意思で成長していける関わり方について考えてみたいと思います。
「あなたのため」の何が悪いの?
僕自身は、たまに親からこの言葉を言われてきました。ですが、そのときに芽生えた反発心から、自分の子どもには「絶対」に言わないようにしています。そして、これは個人的なこだわりというだけでなく、家事育児や教育に関する仕事に携わっていると、色んなところから「あなたのため」という言葉の問題点を耳にします。
子どもの主体性が奪われる
子どもは「あなたのため」と言われれば、内心はともかく受け入れざるを得なくなります。1回、2回言っただけならまだしも、いつもいつも言い続けているとあたかも自分は間違っていて、親が正しいのだという思考にとらわれてしまう。
とくに何かを決断するときに「あなたのためには〇〇がいいよ」と言われると、子どもはどう感じるでしょうか? たとえば塾を選ぶときや志望校を選ぶとき。身近なところでは、洋服やレストランでのメニューを選ぶとき。なんでも親が「こっちがいいよ」と勝手に決めていれば、子どもの自分で何かを選べる、決断できるという思考が育まれるはずもありません。
ギクシャクした親子関係
いろんなご家庭を見ていると、親からの押しつけが強いほど、子どもの反発も大きくなるように感じます。中には、何も言い返せずにただ親の言いなりになる、というケースもありますが。いずれにせよ、外から見ていてとても健全な親子関係には見えないケースがあります。そういう話って、べつに専門家じゃなくても、ママ友やパパ友の間で広まっていったりするものです。「あそこの家は、親が厳しすぎるよね」って具合に。
ただ、「あなたのため」と無理強いされ続けることで、やりたくないことを、「自分のため」じゃなく「親の期待に応えるため」にやり続けてなくてはいけないと感じてしまうかもしれません。結果として、子どもは「自分のため」に言ってくれているんじゃなくて「親がそうしたいからでしょ」と思うようになってしまいます。
実は「親のため」になっている
子どもが「あなたのため」と言われたことを「親のため」にやるという、とんでもない悪循環。こんなサイクルにハマりたくはないものです。
ですが、よく考えてみると実は子どもが感じている「親のため」という感覚は正しいのかもしれません。つまり「あなたのため」と言いながら本当は「自分が安心したいだけ」ということもあるでしょう。
「いい学校に行けば安心」「英語が話せれば将来の選択肢が広がる」これらの言葉は、一見子どものためのように聞こえますが、実は「親が安心したい」という気持ちが含まれていることも少なくありません。
***
思い当たることはありましたか? 次回の記事では、「あなたのため」と決めつけず「一緒に考えよう」にシフトする方法をご紹介します。
三木智有/家事シェア研究家