日本生命、健康経営や人的資本投資に取り組む企業向け商品を提供 スタートアップ2社と連携
日本生命(大阪府大阪市)は4月10日、バリューHR(東京都渋谷区)との協業を通じ「健康経営支援プラン」を、HQ(東京都千代田区)との協業を通じ「人的資本投資プラン」を、全国の企業・団体向けに提供すると発表した。
日本生命は「健康経営支援プラン」で健康管理の効率化・高度化を、「人的資本投資プラン」で企業・団体の「健康経営」「人的資本経営」の支援をそれぞれ強化していく方針だ。
バリューHRと連携、健康診断の予約、結果を一元管理 健保組合設立もサポート
健康診断は健康課題の早期発見や治療に向けた健康管理の土台となるが、紙での管理や人手不足などが原因となってさまざまな課題を抱えている一方、外部環境の変化に伴う組織再編などが活発化しているため、健康保険組合も新設されるケースも増加している。
このような状況を踏まえ、「健康経営支援プラン」では、バリューHRが提供する健康診断の予約、結果の管理、特定保健指導といった事務BPOがパッケージになった「各種健康管理サービス」や「健康保険組合の設立支援・BPOサービス」を、同社のヘルスケアサービス「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス」に組み入れて提供する。
プランは企業・団体は健診実務の効率化をはかり、業務負担の軽減や人手不足の解消につなげることに寄与できるほか、従業員の健康状態をより正確に把握するこができるようになるため、健康増進や疾病予防の取り組みも高度化され、生産性向上や働きやすい職場環境を作りにも貢献できるという。
具体的には、従業員や加入者の健診予約から健康管理、就業判定といったさまざまな情報を一元管理し、健康診断の実務フローを途切れなく提供する体制を構築する。
また、健康保険組合の新規設立についても、設立に向けたコンサルティングや設立後の事務局運営支援などの委託を請け負うことで、健保運営を多角的に支援する。
HQと連携の人的資本投資プラン、AIで個別最適化された福利厚生を提供
企業団体の福利厚生は、「自社の福利厚生に満足していない」「福利厚生が多すぎて運用が複雑化している」などの課題がある。HQと連携した人的資本投資プランでは、AIを活用し、従業員それぞれに個別最適な福利厚生制度をレコメンドし、企業ごとの人事戦略に合わせたカスタマイズでオーダーメイドの制度設計を可能にした。
具体的には、AIが一人ひとりに合わせたレコメンドをすることで、従業員は多くの福利厚生サービスの中から、必要な制度を簡単に利用することが可能になるほか、多数の福利厚生制度を一元管理することで、現在の福利厚生制度を含めたあらゆる福利厚生サービスをワンストップで提供することができるようになる。
さらに、導入効果や利用状況の詳細の可視化で、制度のPDCAを回すことができるため、投資対効果の最大化、企業の人的資本経営の後押しをすることが可能になる。
日本生命としては、同プランの提供で、人事戦略上の効果や利用率の高い、企業・従業員双方の理想的な福利厚生制度の構築を通じて、コストから投資に変える福利厚生を提案していきたい考えだ。
HQのサービスは当メディアでも詳細を解説している。
企業の福利厚生、管理に負担の声も スタートアップに注目
クラウド型人事労務システムを提供するjinjer(東京都新宿区)が2024年6月に発表した、経営層・人事担当者539人を対象にした「福利厚生を通した人的資本への投資に関する実態調査」によると、70%以上の企業が福利厚生(法定外福利)を実施しているが、管理者側は、「管理の負担」(34.7%)、「コストがかかる」(33.6%)、「利用率が低い」(28.4%)といった課題を感じている。
こうした課題を解消するため、HQのように、新しい福利厚生の形を提供するスタートアップも増えており、HQは2024年12月に実施した資金調達で日本生命グループのCVCであるニッセイ・キャピタルから出資も受けるなど、福利厚生を進化させるスタートアップに注目が集まっている。
日本生命の発表の詳細は同社の公式プレスリリースで確認できる。