「熟年離婚」のその後…親子関係が壊れないためには?経験者たちに聞いた #3「歓迎できないのは普通のこと。だから…」
40代後半や50代に入ってから選択する「熟年離婚」は、子どもがいてもすでに社会人として自立している場合が多く、「迷惑をかけない」と思えることが、決断の後押しをすることもあります。
それでも、子にとって親の離婚は無関係ではなく、離婚自体に反対だったり、独身となった親たちとどう関わっていいかわからず悩んだりするケースも、少なくないと感じます。
熟年離婚の後、子どもの葛藤とどう向き合ったのか、親子関係が上手くいっている人たちのリアルをご紹介します。
「元夫と離婚したのは、向こうの親族に働かない人間がいて、元夫にお金の無心をしているのがわかったからです。
渡していると言うので『やめてほしい』とお願いしたら、『お前の稼ぎもあるのだし、助けるのが家族だろう』と返されて、子どもがふたりもいるのにどうして無職の人間を助けないといけないのか、本当に腹が立ちました。
渡す金額が増えていくのは目に見えているし、私の稼ぎをあてにされるなんて真っ平ごめんと思いました。
長男は就職して、次男の進学が決まったとき、学費はそれぞれの収入から折半することを提案したら案の定『無理』『お前が出せ』と言い出して、私が払うのを条件に離婚を切り出しました。
夫は大反対したけれど、離婚しなくても別居すること、その人間と離れない限り戻る気はないことを伝えたら、最後は自分の身内を選びましたね……。
問題は息子たちで、親の仲が上手くいっていないのはとうに気付いていたと思うのですが、離婚するからと言ったらやはり驚いていました。
正直に父親がしていることと、次男の学費も出す気がないのを伝えたら、長男は『それでも親か』とつぶやきました。
一方で、次男のほうは『俺に迷惑がかからないなら』と自分のことしか頭にない様子で、それはショックだったけれど、元夫のストレスがきつくてもうどうでもいいと思ったのも事実です。
正社員で働いているので離婚後はひとり暮らしを始めましたが、次男も体調などの心配はして連絡をよこして、クルマの免許を取るためにアルバイトをしていると教えてくれました。
離婚して仕送りを増やせない私を暗に責めているのは伝わるのですが、それは次男の気持ちであって、親の勝手に巻き込まれたらそうなるのも無理はないと、父親の悪口や生活の大変さは絶対に言わないようにしています。
先日、『給料が入るのってうれしいね』と報告してくれて、お金を稼ぐことの大変さと大切さを、学んでくれたらいいなと思います。アルバイトのことやお金について、会話が増えたのはうれしいですね。
親の離婚なんて歓迎できないのは普通のことだと思うし、子の気持ちを尊重することも、忘れたくないと思います」(女性/40代/保険)
親の都合がわからず、自分が損をすることを嫌う子どもの姿を見れば、「父親の血を引いていると感じる」とこちらの女性は話していました。
離婚について、正しく理解してもらえるとは限らないのが現実です。
引け目を感じるとしても、親である事実を忘れず向き合おうとする姿勢は、子どもにも通じるはず。
コミュニケーションを諦めないことが、離婚後の親子関係を良くしていくには欠かせないと実感します。
(ハピママ*/弘田 香)