秋彩るイチョウ 伊賀・射手神社
三重県伊賀市長田の射手神社には、高さ十数メートルのイチョウの大木がある。11月に入って黄に色付いた葉は、無数のギンナンとともに少しずつ舞い落ち、伊賀盆地を見渡せる石段を染めている。
神紋「三つ銀杏」
同神社は元々、西に約2キロ離れた長田の三軒家地区の「射手山」にあり、天正伊賀の乱(1581年)で焼失後、かつて寺院があった現在地に移されたと伝わる。棟札には「慶長十年」(1605年)と記され、神紋は「三つ銀杏」だが、詳しい樹齢などは分かっていないそうだ。
鎌倉時代の作とされる境内の石造十三重塔は重要文化財で、秋にはイチョウ、春には拝殿脇のシダレザクラが季節の移ろいを感じさせる。氏子の男性は「枝が折れるなど老木になってきたが、毎年葉が色付くのを楽しみにしている人も多く、神社の象徴の一つであることに変わりはない」と木を見上げていた。