「めがね舎 ストライク福岡店」に併設したスタンダードなバーで、香り高いコーヒーカクテルの余韻に浸る
かける人の個性に合わせた"ビスポーク"(カスタムメイド)スタイルの眼鏡を製造販売する「めがね舎 ストライク」。顧客との対話をもとに専門職人がデザインから製造までを手がけ、ど真ん中(ストライク)のアイウェアを提案しています。本店は神戸にあり、京都に続く3号店として「めがね舎 ストライク BASEMAN 福岡」を出店したのが、2021年10月。福岡進出以来、既製品の眼鏡に満足できない高感度な人々から人気を集めてきました。その店舗の一角に併設するかたちで今年6月にオープンしたのが、「BAR ストライク」です。
場所は赤坂けやき通り沿いにあるビルの1階。コロナの影響もあり、ここ数年赤坂エリアでバーの新店がオープンしたのは記憶にありません。短い階段を上ってドアを開けると道路側は「めがね舎 ストライク」のショップスペースで、その奥に向かって階段を数段下りるとロングカウンターが設えられたバー空間になっています。
実はここ、後から店内を改装したのではなく、3年前のオープン当初からバーを開業する前提で店が造られていました。ところがバーを任せられる人材がなかなか見つからず、その間は眼鏡のフィッティングやウェイティング用のスペースとして使っていたそうです。店舗のおよそ3分の2を占める空間をいわば寝かせていたわけですから、なんとも贅沢な話ですね。
カウンターに座ってまず目に付いたのは、特注のキャビネットに収められた「山水」(SANSUI)ブランドのスピーカー。実は筆者も1980年代からずっとSANSUIのアンプを愛用していますが、漢字ロゴの「山水」は初めて見ました。おそらく1970年代製と思われるヴィンテージもので、オーディオ好きには堪らない逸品。初めての店なのに、なんだか懐かしい気分になりました。
開店にあたり、バーテンダーとしてカウンターに立つようになったのが柴田晴生さん。以前は福岡市内のコーヒーショップでバリスタとして働いていたそうで、まずは得意とするコーヒーカクテルを注文しました。
柴田さんが作ってくれたのはコーヒーカクテルの定番「アイリッシュコーヒー」(1400円)で、エスプレッソマシーンで抽出するのは神戸の「ビヨンドコーヒーロースターズ」のコーヒー豆。カクテルの種類によって、浅煎り、中深煎り、深煎りを変えているそうで、ウイスキーとコーヒーの香りがバランス良くミックスされた1杯でした。
お酒が弱い人、まったく飲めない人には、ノンアルコールのコーヒーカクテルも用意されています。写真は「カフェラテ・シェケラート」で、カフェラテに氷を入れてシェイクすることで適度な空気が含まれ、まろやかでエアリーな味わいに。午後3時の開店から柴田さんが淹れるハンドドリップのコーヒー(700円)だけでも飲むことができるので、昼飲みやカフェ使いもOKです。
ここでしか飲めないオリジナルカクテルも見逃せません。「ストライクハイボール」は、2種類のアイリッシュウイスキーをあらかじめ小さな樽でブレンドしたもので、シナジー効果によって香りがさらに引き立つようです。
定番カクテルのジントニックも、ロンドンジンの最高峰「タンカレー No.TEN」と国産ジンの「桜尾」をミックスした「ストライクジントニック」(1000円)で提供。和洋のボタニカルが融合した、芳醇なアロマを楽しむことができます。
深めに刻まれたカウンターの肘置きや特注のスツールなど、細部にわたって緻密に計算された造りは、福岡の新店バーでは白眉といえる出来映え。飲食店が集中する大名、今泉、警固エリアからも徒歩圏内なので、これからの季節は夜風に当たりながら歩いていくのにちょうど良い距離感です。
BARストライク 福岡
福岡市中央区赤坂2-3-2アルファシオ赤坂1F
092-726-0880