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レスパイトケアとは?その意味と目的、介護・認知症ケアの具体例を交えて簡単に解説!

「みんなの介護」ニュース

古賀 優美子

レスパイトケアの意味と目的を簡単に理解しよう

レスパイトケアとは?介護する側の休養を目的としたサービス

レスパイトケアとは、一時的に介護者から要介護者が離れる時間を持つことで、介護者の休養を図るためのサービスです。レスパイトとは「休息、息抜き」を意味する英語で、レスパイトケアは文字通り、介護者に休息を提供するためのケアといえるでしょう。

介護は身体的にも精神的にも負担が大きく、介護者の心身の健康を損なうリスクがあります。長時間の介護を続けることで、慢性的な疲労や睡眠不足、ストレスが蓄積し、介護者の生活の質が低下してしまうこともあるのです。

実際、厚生労働省の調査によると、在宅介護をしている約20%が終日介護に時間を使っている結果も出ています。

こうした介護者の負担を軽減し、心身の健康を維持するために、レスパイトケアの重要性が注目されています。

レスパイトケアを利用することで、介護者は一時的に介護から離れ、自分の時間を持つことができます。この休息の時間が、介護者のストレス解消やリフレッシュにつながるのです。

また、レスパイトケアは介護者だけでなく、要介護者にとってもメリットがあります。介護者が休養を取ることで、より質の高いケアを提供できるようになるからです。

介護者が心身ともに健康な状態で介護に臨むことで、要介護者との良好な関係を築くことができるでしょう。

このように、レスパイトケアは介護者と要介護者双方の生活の質の向上を目的としたサービスなのです。介護保険制度の中でも重要な位置づけがなされており、さまざまな形態のレスパイトケアが用意されています。

介護者のメリット【心と体のリフレッシュで介護の質が向上】

レスパイトケアを利用することで、介護者は心身のリフレッシュを図ることができます。日々の介護から解放され、自分の時間を持つことで、ストレスが軽減され、心身の健康が維持されます。

具体的には、レスパイトケアを利用している間、介護者は自分の趣味や興味のある活動に時間を使うことができます。友人と会って交流を楽しんだり、旅行に出かけたり、普段の介護では難しい時間の使い方ができるのです。

また、介護から一時的に離れることで、客観的に介護を振り返る機会にもなります。普段の介護を続けていると、目の前のことに追われ、全体を見渡す余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。

しかし、レスパイトケアを利用することで、一歩引いた視点から介護を見直すことができます。

どのような点に気を付ければより良いケアができるのか、どのようにコミュニケーションを取れば要介護者との関係が改善するのかなど、立ち止まって考える時間を持つことができるのです。

レスパイトケアによって介護者がリフレッシュすることは、要介護者へのケアの質の向上にもつながります。介護者の心身の健康が維持され、前向きな気持ちで介護に臨めるようになるからです。

ストレスを抱えたまま介護を続けるのと、リラックスした状態で介護に当たるのとでは、要介護者への接し方や態度もおのずと変わってくるでしょう。

また、レスパイトケアを利用して得た気づきや学びを、日常の介護に活かすこともできます。

例えば、レスパイトケア先で要介護者が楽しそうに活動している様子を聞いて、自宅でも同じような活動を取り入れてみるなど、新しいアイデアを得ることもあるでしょう。

このように、レスパイトケアは介護者の心身の健康を維持し、質の高い介護を提供するために欠かせない存在なのです。介護者自身が健やかでいることが、要介護者の生活の質の向上にもつながるのです。

要介護者のメリット【新しい環境での刺激が認知症ケアにも効果的】

レスパイトケアを利用することで、要介護者は普段とは異なる環境を体験することができます。自宅での生活とは違う場所で過ごすことで、新しい刺激を受けることができるのです。

例えば、デイサービスでは、要介護者は他の利用者と交流を持つ機会があります。同じような境遇の人と話をすることで、社会とのつながりを感じることができるでしょう。

また、レクリエーションやイベントに参加することで、楽しみや喜びを感じることもできます。

こうした新しい環境での刺激は、要介護者の心身の活性化につながります。特に認知症ケアにおいては、新しい刺激が効果的であるといわれています。

注意したいのが、認知症の方は、慣れ親しんだ環境から離れると混乱する可能性があるということ。本人の様子を見ながら、適切に利用していくことが望ましいです。

また、レスパイトケアを利用中の様子から、普段の生活では気づきにくい変化や課題を発見できることもあります。例えば、デイサービスでの食事の様子から、自宅での食事介助の工夫点が見えてくるかもしれません。

こうした気づきを、日常のケアに活かしていくことが大切です。

レスパイトケアで利用できる3つのサービスと使い方

デイサービスの使い方【日帰りで利用できる介護サービス】

デイサービスは、日帰りで利用できる介護サービスです。介護施設などに通い、日中の活動を支援してもらいます。

食事、入浴、排泄などの基本的な介護から、機能訓練やレクリエーションなど、さまざまなサービスが受けられます。

デイサービスには、介護職員だけでなく、看護師や機能訓練指導員などの専門職も配置されています。要介護者の健康管理や医療面での対応も行われるため、安心して利用できるサービスです。

デイサービスの平均的な利用時間は6~8時間程度ですが、事業所によってはもっと長い時間のサービスを提供しているところもあります。

利用者負担は、介護保険の自己負担割合や要介護度に応じて変わりますが、1割負担の場合は1回当たり1000~2000円程度が目安となります。

デイサービスを選ぶ際は、本人の状態や好みに合ったサービスを探すことが大切です。認知症の人向けのプログラムを実施しているデイサービスや、リハビリに力を入れているデイサービスなど、特色のあるサービスを提供しているところもあります。

ショートステイの使い方【宿泊を伴う短期入所生活介護】

ショートステイは、介護施設に短期間宿泊しながら、介護サービスを受けられる制度です。短期入所生活介護ともよばれ、日帰りのデイサービスとは異なり、宿泊を伴うサービスです。

ショートステイは、介護者が病気や出張、冠婚葬祭などで、一時的に介護ができなくなった場合に利用されることが多いサービスです。また、介護者の休養目的で定期的に利用されることもあります。

ショートステイの利用期間は、原則として連続30日以内、もしくは要介護度の限度額以内とされています。ただし、介護者の病気などやむを得ない理由がある場合は、延長することも可能です。30日を超えて利用したい場合は事前にケアマネジャーに相談するようにしましょう。

ショートステイを利用することで、介護者は数日間、介護から完全に離れることができます。この間、要介護者は施設内で24時間の介護を受けることができるため、介護者は安心して休養を取ることができるのです。

ショートステイの平均的な利用日数は7日間程度ですが、施設によっては1ヵ月程度の長期利用も可能なところがあります。

利用者負担は、介護保険の自己負担割合や要介護度に応じて変わりますが、1日当たり1000~3000円程度が目安となります。

ショートステイを選ぶ際は、施設の雰囲気や設備、スタッフの対応など、要介護者が快適に過ごせる環境かどうかを確認することが大切です。また、体の状態に合わせた適切なケアが提供されるかどうかも重要なポイントです。

施設見学や体験利用などを活用して、事前に施設の様子を知っておくと良いでしょう。また、ケアプランに沿ったサービス提供がなされるよう、ケアマネジャーとの連携も欠かせません。

訪問介護の使い方【ホームヘルパーによる自宅での介護支援】

訪問介護は、自宅にホームヘルパーが訪問し、介護サービスを提供する制度です。食事や入浴、排泄などの身体介護から、掃除や洗濯、買い物などの生活援助まで、幅広いサービスが受けられます。

特に、家族の介護力だけでは対応が難しい場合に、訪問介護を利用することで、在宅での生活を継続することができます。

また、介護者が仕事で日中不在になる場合も活用することができます。ホームヘルパーが自宅に訪問して見守りを行うことで、介護者は安心して外出することができるのです。

訪問介護の利用時間や頻度は、要介護者の状態や必要性に応じて決められますが、1回の訪問時間は30分から1時間程度が一般的です。

訪問介護の利用者負担は、1割負担の場合、30分未満のサービスで400円程度、30分以上1時間未満のサービスで800円程度が目安となります。

訪問介護は、プライベートな空間で介護サービスを提供します。そのため、本人や家族との良好なコミュニケーションが欠かせません。事前に要介護者の好みや習慣を伝えておくことで、スムーズなサービス提供につながるでしょう。

レスパイトケアを上手に活用するコツ

事前の情報収集とサービス担当者との連携が鍵

レスパイトケアを利用する前には、サービス内容や利用方法について十分な情報収集が大切です。

まずは、お住まいの地域でどのようなレスパイトケアサービスが利用できるのか、ケアマネージャーに相談して情報を集めることから始めましょう。地域包括支援センターでも相談することができます。

事前の情報収集を通じて、いくつかの選択肢を絞ったら、実際にサービス提供事業所を訪問し、見学や体験利用を行うことをおすすめします。実際の雰囲気を感じることで、本人に合ったサービスを選びやすくなります。

また、ケアマネジャーやサービス担当者との連携も欠かせません。要介護者の状態や生活環境、家族の状況などを正確に伝え、適切なケアプランを作成してもらうことが重要です。

認知症の方であれば、症状や行動の特徴、コミュニケーションの取り方などを事前に伝えておくことが大切です。好みや習慣、これまでの生活歴なども共有することで、より適切なケアにつなげることができるでしょう。

また、レスパイトケアの利用目的や期待することを明確に伝えることも重要です。介護者の休養なのか、要介護者の心身の維持・向上なのか、目的に応じて適切なサービスを選ぶことができます。

サービス利用中は自分の時間を大切にする

レスパイトケアの利用中は、介護から完全に離れ、自分の時間を大切にすることが何より重要です。自由な時間を楽しみ、リフレッシュしましょう。

趣味の時間を楽しむほか、読書や映画鑑賞、運動やスポーツなど、自分の好きなことに没頭することで、日頃の疲れを癒やすことができるでしょう。

友人や知人との交流も大切です。介護をしていると、人付き合いが疎遠になりがちですが、レスパイトケアの利用中は、積極的に人と会う機会を持つことをおすすめします。友人との会話は、気分転換にもつながります。

また、レスパイトケアの利用中は、自分の健康にも気を配ることが大切です。ゆっくりと休息を取ったり、バランスの取れた食事を心がけたりすることで、心身の健康を維持することができます。

介護者自身が心身ともに健康でいることが、質の高い介護の提供につながります。レスパイトケアを利用して自分の時間を大切にすることは、介護者・要介護者のどちらにとってもプラスになるのです。

利用後はサービス担当者との振り返りでケアの質を向上

レスパイトケアの利用後は、サービス担当者と振り返りを行いましょう。利用中の様子や、サービス内容についての感想を伝え、情報を共有することが重要です。

特に認知症の方の場合、振り返りを通じて得られる情報は貴重です。レスパイトケア中の行動や反応、コミュニケーションの様子は、より良い認知症ケアにつなげることができます。

例えば、「音楽療法の時間は、いつも以上に笑顔が見られた」「散歩の際に、昔の思い出話をたくさんしてくれた」など、本人の様子を具体的に聞いておきましょう。そこで得られた気づきを、日常の介護に活かすことも重要です。

振り返りの機会を定期的に設けることは、介護者とサービス担当者との信頼関係も深まります。お互いの立場や思いを理解し合うことで、より連携の取れたケアを提供することができるでしょう。

レスパイトケアは、介護者の休養だけでなく、要介護者への質の高いケアを提供するためのサービスでもあります。サービス担当者との振り返りを通じて、認知症ケアの質の向上を図っていくことが重要です。

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