人体からプラスチックが検出される。どういうルートで入ってくる?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、8月29日の放送に日刊スポーツ元編集局長で編集委員の久保勇人が出演。「環境問題」をテーマに、今年、ニュースとなった人体とプラスチックの関係について解説した。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「今年に入って、人体から微小なプラスチックや、プラスチックに由来するとみられる有害化学物質が検出された、との研究報告が世界で相次いでいます。いったい何が起こっているのでしょうか」
久保勇人「この上半期に、プラスチックと人体の関係にかかわるニュースがけっこうあったんです。主なものを紹介しますと、3月には日本のプラスチック問題の代表的な研究者である東京農工大の高田(秀重)先生らのグループが、日本国内の複数の人から採取した血液の中に、ナノプラスチックと呼ばれる1000分の1ミリ以下の極めて小さなプラスチック粒子が含まれていた、という研究成果を発表しました」
鈴木「はい」
久保「そのプラスチックだけではなく、プラスチックに添加する有害な化学物質、紫外線吸収剤といった呼ばれ方をします。そういうものの痕跡も発見されました。海外に目を移すと4月にイタリアなどの研究チームが、頸動脈疾患の患者の血液の中から、ナノプラスチック、もしくは5ミリ以下のマイクロプラスチックが検出された、と。この因果関係は解明途中ですが、頸動脈疾患と心臓や脳神経の病気に対するリスクが、発見された人たちは、されなかった人たちの4倍あったということです」
長野智子「あら……」
鈴木「5ミリ以下ってけっこう大きいですね」
長野「人体にプラスチックが入っているということですか?」
久保「そう。プラスチック、もしくはプラスチックに由来する化学物質が見つかった、という段階です。では人体にどのような影響を与えるのか、因果関係がどうあるのか、どういう病気を引き起こすのか、というのは研究途中の部分があります」
長野「因果関係は調査中でしょうけど、人体にどのようなルートで入るのでしょう?」
久保「その前にプラスチックというのがどういうものだったか簡単に言いますと、プラスチックって日本で年間900万トンぐらい使われているんですが、45%ぐらいがスーパーで食べ物を包む包装であるとか、レジ袋、ペットボトルみたいなものです。これがゴミとして川や海に流れ出すと光、日光などで分解されてどんどん小さくなる。だけど自然界で消えないらしいんです。かなり微細なプラスチックになっても永遠に残り続けると」
長野「はあ~……!」
鈴木「それを魚やイルカやクジラが飲み込んでしまう」
久保「そういうものだということで、かなり前から世界の海洋汚染が問題になっていまして。このままでは2050年には海の中のプラスチックゴミと魚の重さが同じになって、量的にはプラスチックゴミのほうが魚の数より多くなるだろう、といわれています。魚が飲み込んで、そこの残留物を人間が食べることによって体内に入ってくる、と」
番組ではほかにもある、体内へのルートについても久保が解説した。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。