若者より50代以上が熱い? “シニア起業”が増加 副業やリタイア後の1人法人
■昨年の新設法人数は2000年以降で最多 60代と70代は過去最多
“シニア起業”の動きが加速している。全国で昨年新たに設立された法人の数が過去最多を更新した。中でも、50代以上のシニア層や早期リタイア層の割合が上昇している。
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帝国データバンクの「2024年新設法人動向調査」によると、全国で昨年設立された法人は15万3789社に上り、前年から0.6%増えた。2年連続の増加で、2000年以降で年間最多を更新した。
注目すべきは、起業する人の年齢層が大きく変化している点だ。新設法人の代表者の平均年齢は前年から0.7歳上昇して48.4歳となり、調査開始以来で最も高くなった。
特に60代以上のいわゆる「シニア起業」が増えている。60代が13.2%、70代が4.7%を占め、いずれも過去最高を記録している。50代も25.2%で20年ぶりの高水準となっている。人生100年時代と言われる中、定年後の「第二のキャリア」として起業を選ぶ傾向が高まっていると言える。
一方で、若年層の起業は減少傾向にある。20代以下の起業割合は5.2%にとどまり、2016年以来8年ぶりの低水準となった。起業に対するリスク回避、スタートアップ支援の地域格差や資金調達の難しさが背景にあるとみられる。
地域別では、東京都が最多の4万7779社で、全国の約3割を占める。次いで大阪府(1万6272社)、神奈川県(9913社)で、いずれも前年から10%以上増えた。興味深いのは石川県の動向で、前年比18.0%増と全国で最も高い伸び率を記録。能登半島地震の復興需要による新たなビジネスチャンスの創出が影響した可能性がある。帝国データバンクは今回の調査結果について、次のようにまとめている。
「近年は新しいビジネスを展開する起業に加え、給与収入の延長線上で副業的に事業活動を行うパートタイム起業、定年退職でリタイアしたシニア層の1人起業など、起業の中身はスモールビジネス化の進行がみられる」
社会構造や働き方の変化を背景に、企業設立のあり方が多様化している。「老後の起業」、「地域密着型ビジネス」、「合同会社の活用」など、これまでとは異なる起業トレンドが新たな日本経済の原動力となっている。
(SHIZUOKA Life編集部)