【ピエール瀧が行く ファンキー!公園】杉並区「玉川上水第二公園」で上水の面影とともにたくさんのコンクリ遊具に遭遇!
ピエール瀧さんと一緒に公園の魅力を探求していく「ファンキー!公園」!今回は、東京都杉並区の「玉川上水第二公園」敷地内からお届けします。
ピエール瀧
1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。近著は『ピエール瀧の23区23時 2020-2022』(産業編集センター)。
たくさんのコンクリ遊具に遭遇!
今いるこの広い道路は、甲州街道でいいんだよね?
—— そうです。今回はここから一本裏道に入って、玉川上水第二公園から玉川上水公園までを歩きます。江戸時代に作られた玉川上水ですが、現在は一部暗渠(あんきょ)になっているんです。その暗渠の土地を杉並区が東京都水道局から借地して公園にしているそうです。古くからのユニークな遊具も設置してあるみたいです。距離的には京王線上北沢駅から明大前駅間を散歩する感じですね。
3駅分じゃんか。まあまあ歩くんだね(笑)。ここがまず玉川上水第二公園ね。
「玉川上水の変遷」の説明の碑があるよ。「園内に小さな流れを作り、シダレザクラを植えて上水の面影をここに残しました」だってさ。今は春先だから桜が咲いてるし、なんか黄色い花とかも咲いてくれてるから雰囲気良いね。
早速コンクリート遊具があった。これはラッコ? アザラシかな?
うわ見てよ! イノシシは初めて見たわ。イノシシって他であんま見かけなくない? なるほどこういう昭和のコンクリ遊具がまだまだ残ってる公園なんだな。
—— 一回道路を渡ります。今回はこうやって道中横断歩道を渡りますが、玉川上水第二公園はまだまだ続きます。
道路部分は上水にかかってた橋の名残なんだろうね。しかし今は4月上旬だけどさ、この公園はこの時期が一番いいんじゃないの? 遊具の色彩と道端の花のおかげで色彩にあふれてる。明るい感じするもんね。
そしてまた例のコンクリ遊具シリーズが出てきた。まあオットセイとカバは定番じゃんか。これまで何度も見てきたよ。でもこのカメと、こっちはシロクマかな? こいつらも初めて見た。当時の業者用のカタログには全種類載ってたのかな? どっかに保存されてたら見てみたいな。ここはいつ開園なの?
—— 1968年10月開園だそうです。
そうか。その時代に子供に人気があった動物とかが載ってたんだろうな。見てよ、凄い花壇が整備されてる。「花咲かせ隊の皆さんが植えております」だって。野鳥も結構いるのは、こうやってきれいに整備してるからなんだろうな。色んな種類植えてるもんね。
そんでまたコンクリ遊具だ(笑)。しかもなぜか円形に配置。今気づいたけどさ、ここの公園のコンクリ遊具は目を描いていくスタイルなんだね。これはバンビかも。足を折って座ってる感じとか細工が細かいもんね。ちゃんとバンビっぽい感じ出てる。
「上水路上の公園」という特殊な立地条件
—— また道路を横断しますが、あちらに渡ると次は玉川上水第三公園です。
玉川上水公園てさ、今歩いてきたところはちょっと高くなってるよね。遠く(現在の羽村市)から水を引くために小堤を作って、そこにちゃんと川の流れを作りだしたってことはさ、高さをちゃんと計算してるわけじゃん。それもすごいよね。このぐらいの角度だったら水が一方向に流れるって計算できるのは、当時の測量技術がちゃんとしてるってことじゃん。
そしてまた花咲かせ隊の皆さんが、がんばってらっしゃるエリアだね(笑)。ちゃんと配色を考えて植えてるよね、黄色でまず外縁を作って、その中に別の色をあしらうっていう風に。
で、チビッ子大好き、機関車か。
けっこうデカいな。最近の遊具と違って、コンクリートのヤツは大人が乗っても良い感じがするからありがたいよね。この機関車ってさ、ほかで作って持ってこれないじゃんね? 俺はここで枠を組み立てて、その中にコンクリートを流し込んで作ったんじゃないかと踏んでるだけど、どう思う?
—— う~ん、僕は工場で作って持ってきたに一票です。
そう? それだとクレーンが必要になると思うけど、公園の脇の道にクレーン車が入ってこれるスペース無いと思うけどな。
そしてまたしてもコンクリ遊具が登場(笑)。シロクマはこっちの方がいいね、ちゃんと白く塗ってあるもん。それでこのイタチもまあまあ珍しいんだけど、サイと、このワニも見たことないよ。初めて見たわ。
—— あっちにもコンクリ遊具固まってますね。
数も余ってるし、もうなんとなく配置するの飽きたんで、円形に並べて見せちゃおうぜ! って感じだ。でもなんでキリンだけ向きを変えたんだろうな、謎だわ(笑)。
で、大型船のコンクリ遊具のお出ましだ。仕方がないから俺も今からやるけどさ、ここでこうやってタイタニックごっこやった人、今年だけでもすでに100人は超えていると思う(笑)。延べ人数で行ったら万単位になってると思うな。
—— 夜中喋しゃべりにきた付き合いたてのカップルとかはやっちゃうでしょうね(笑)。
そうそう、こんなやりやすいとこないじゃん。花見のときに酔っ払ってご近所の奥さんと、とかさ。
—— さて、ここで第三は終わりです。ここから先は暗渠が上下水道の巨大な管になって歩けないので、甲州街道沿いを歩いて玉川上水公園に向かいます。
(割と歩く)
結構歩いたなあ(笑)。そして明治大学前に来た。で、これがさっき言ってたリアル上下水道か。今まで歩いた公園の地下にはこれが埋まってたってことだよね。
そして謎のクジラコンクリ遊具、子供めっちゃ遊んでんね。玉川上水公園には水車がついた最近の滑り台に、謎の樹木エリアか。急に役所の仕事っぽくなったな(笑)。
—— はい。だいぶ駆け足でしたが、ここでおしまいです。お散歩お疲れさまでした。
うん、もう井の頭通りまで来たんだね。いや俺さ、この公園企画に限らず、今までいろんなまたがりコンクリ遊具を見てきたけど、ここでコンプリートできた気がする! こんだけ公園に行き倒した俺たちが驚くモノがまだあったんだね。多分ワニが最終兵器だった気がするな!
『玉川上水第二公園』詳細
コンクリ遊具カタログ度 ★★★★★
春先ブルーム度 ★★★★
甲州街度 ★★★★★
水飲み場:あり トイレ:あり
自販機:なし 灰皿:なし
玉川上水第二公園(たまがわじょうすいだいにこうえん)
住所:東京都杉並区下高井戸3-1-14 ほか/アクセス:京王電鉄京王線桜上水駅から徒歩10分
構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2025年6月号より