世界初の「そこにあるべきではない三線」HY SKY Fes 2025前夜祭で初披露!HYとAnlyの特別な一夜
2025年3月14日(金)18時より「HY SKY Fes 2025 &前夜祭」の前夜祭が沖縄県総合運動公園多目的広場で開催された。HYによるアコースティックライブのほか、沖縄生まれのシンガーソングライターAnlyが楽曲を披露。SKY Fesが掲げるテーマである「みなさん、今日の夜も明日の朝から晩まで、そして明後日まで全部楽しんできてね!」というメッセージを添えて、14日から始まる3日間のスタートを切った。本レポートでは、メインの2日間とは少し雰囲気が変わる、前夜祭の特別な夜の様子をお届けする。
HYとAnlyが登壇しSKY Fesの始まりやコンセプトについて紹介
ステージとの距離感がないのが前夜祭の魅力で、前夜祭が開催されるグリーンステージは、高さ50センチメートルほど、前列の観客との距離はわずか1メートルほどと、まるでショッピングモールのイベントステージのような舞台だ。その物理的な距離の近さに加え、ステージからの語りかけとそれに応える来場者の心の距離が近いのが前夜祭の大きな魅力である。 まずはHYとAnlyが登壇し、SKY Fesの始まりやコンセプトについて紹介した。今年で6回目を迎えたSKY Fesの特徴は、世界一クリーンなFesをめざしたさまざまな取り組みにある。HYメンバー自らが廃材をリユースして一つひとつ想いを込めて手作りした装飾は、毎年フォトスポットとして注目を浴びている。特に今年はHY結成25周年の節目であり、装飾のテーマを春節に見立てて赤で統一。アジアンな雰囲気をイメージし、会場内のいたるところにアジアンレッドが散りばめられている。 ほかにも楽器作りワークショップで廃材を使用したり、ゴミ拾い活動にHYメンバーも参加したりなど毎年続けている活動がある。フェス終了後の月曜日にHYメンバーが最後のゴミ拾いを行い、「来たときよりもきれいな状態」で会場を去るのも、SKY Fesの特徴だ。そして今年から新たに古着の回収が加わり、できることから少しずつ世界一クリーンなFesをめざしている。
実は沖縄県では100年以上も前からコーヒー栽培はされていた
パネルディスカッションではネスカフェ沖縄生産プロジェクトを迎え、沖縄県産のコーヒー豆生産への挑戦を紹介。沖縄は日本のなかで唯一コーヒー栽培ができる特別な地域であることから、沖縄県の農業の課題解決としてスタートしたプロジェクトだ。それに賛同したHYが2024年に作ったテーマソングが「明日種〜アシタネ〜」である。 実は沖縄県では100年以上も前からコーヒー栽培はされていたのだが、大規模に特産品化をめざしたのは2019年からである。本格始動してから5年が経ち、台風や温暖化などの影響で収穫量を安定させるのにたくさんの苦労を重ねている。そこで苗木から収穫までかかる期間や大変さを知ってもらいたいと、コーヒーの苗木植え体験を企画。参加者は苗木植え体験に加えてHYメンバーとともに写真が撮れる特典がついてくるので、ぜひ興味がある人は参加してほしい。
和楽器全体が存続の危機。世界初の「そこにあるべきではない三線」
2つめのパネルディスカッションでは、沖縄の三線の生産課題について紹介。沖縄の伝統的な楽器である三線だけでなく、和楽器全体が存続の危機にある。そこで「そこにあるべきではない三線」を作るプロジェクトをスタートさせた。 三線の材料の調達が難しくなっていることから、白化したサンゴの粉を材料のひとつとして起用。本来白化したサンゴ自体存在してはならないものであり、それを材料として使用するのは本望ではない。「そこにあるべきではない三線」を生み出すことで問題を提起し、さまざまな課題に語りかけるプロジェクトだ。 また、HYを通して多くの人に漆の可能性を届けたいと、白化サンゴに漆を塗るという挑戦も加えた。さまざまな人の想いと魂を込めて作り出された、世界初の「そこにあるべきではない三線」がこの前夜祭で初披露となった。加えてHYの「そこにあるべきではないもの」をこのプロジェクトに重ね、PVを新たに撮り直すなど、HYもともに課題解決へのさまざまな一歩を踏み出していることを伝えた。
沖縄県伊江島生まれのシンガーソングライターAnly
日が沈みはじめた19時ごろ、雨が降るなかいよいよ前夜祭のライブステージがはじまった。 ゲストアーティストは、沖縄県伊江島生まれのシンガーソングライターAnly。“Hello Hello Hello Hello 君だけの空を見上げて Hello Hello Hello Hello 羽を広げ飛んでゆこう”の歌い出しから「Freebird」をスタート。「HY SKY Fes 2025 & 前夜祭、楽しんでいきましょう」と高らかに叫び、勢いよくライブが始まった。「前夜祭という特別なステージで歌わせてもらえることをめちゃくちゃ光栄に思っています。そして、沖縄に来てくれてありがとう。そんな気持ちを込めて歌います。」とアカペラで歌い始めたのは「Welcome to my island」。アコースティックギターの音色と力強い歌声に、会場が一気に引き込まれた。 続く「カラノココロ」は、前夜祭特別バージョンとして夜の雰囲気にあわせ、しっとりと歌いあげ、「エトランゼ」では会場にコール&レスをリクエスト。アップテンポなサウンドと圧倒的な歌唱力ですっかりあたたまった会場で最後に歌ったのは、メッセージ性の強い楽曲「好きにしなよ」。 「なにか迷ったときの魔法の言葉を教えます。好きにしなよ」の言葉を添えてスタートした「好きにしなよ」に会場が「好きにしなよ」で応え、優しさが広がるひとときとなった。指笛と拍手が湧くなか締めくくられたAnlyのステージは、とてもあたたかくそして元気を与えられるものだった。
前夜祭最後のステージは、HYによるアコースティックライブ
前夜祭最後のステージは、HYによるアコースティックライブ。「HY SKY Fes 2025 & 前夜祭へようこそ!雨は降っているけど、僕たち全力でみなさんの心を晴れさせたいと思います。僕らの音楽、全力でからだ全身で受けとってくれますか?」と新里が叫び、大きな喝采が起きた。1曲目に披露したのは「LOVE」。愛のあたたかさを感じながら聞けば雨なんてどっか吹っ飛ぶから、とのメッセージを添えてしっとりと歌いあげる。いつの間にか月が顔を出しはじめ雨音が止み、静かになった会場でバラード「あなたを想う風」を披露した。
続いて、現在大ヒット中の映画『366日』の主題歌であり、代表曲「366日」のアンサーソングである「恋をして」をアコースティックバージョンで歌いあげ、それぞれの胸に秘めたあのときのあの情景が溢れ、とてもエモーショナルな時間となった。新里が最後に「最高だね」と呟き、静かに終えたのが印象的だった。 「この三線を使って僕らの願いも音色に変えて、未来にこの想いが届くように一つひとつの弦を気持ちを込めて弾いて、届けていきたいと思います」と「そこにあるべきではない三線」とともに楽曲「そこにあるべきではないもの」をスタート。沖縄らしいサウンドと三線の音色が響き渡り、大きな拍手と指笛を浴びるパフォーマンスとなった。最後は「明日種〜アシタネ〜」でこの日1番の盛り上がりをみせ、元気にみんなで歌って踊り、前夜祭というスペシャルな時間を終えた。
本編は2日間に渡り、HY含む14組のアーティストが舞台を盛り上げる。 SKY Fesの魅力は、なんといってもHY自身にある。彼らの感謝を忘れない気持ちややさしさ・あたたかさが、SKY Fesに参加するたびに伝わり、すっかり好きになった人も多いはず。その魅力にまだ気がついていない人は、ぜひ参加してほしい。 HY SKY Fes 2025 Day1については3/16(日) 18時ごろ公開予定、Day2には3/17(月) 18時ごろ公開予定