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「ミクロ気遣い」で夫婦関係がやわらぐ!絆を深める伝え方と7つの対処法【専門家監修】

こそだてまっぷ

「ミクロ気遣い」で夫婦関係がやわらぐ!絆を深める伝え方と7つの対処法

「家事に育児に毎日ヘトヘト。なのに夫はゲームばかりで、ついイライラ」
「掃除の仕方を少し注意しただけで、空気がピリッと険悪に」
そんなふうに、忙しい毎日の中で夫婦関係がギスギスしてしまうことはありませんか?
共働き家庭が増えた今、お互いを思いやる気持ちとともに、円滑なコミュニケーションの“知識やコツ”を持っていることが、とても大切になっています。
ほんのちょっとした「ミクロ気遣い」を意識するだけで、夫婦関係がぐっとやわらかくなる方法について、夫婦カウンセラーの山田奈生子先生に伺いました。

なぜ家事や育児でギスギスしてしまうのか

「そんなの、普通気づくでしょ」「お願いしたのに、なぜまた同じことを繰り返すの?」「ちゃんと伝えたのに、なんでやってくれないの?」そんなふうに、夫へのイライラがつのって、言い方がきつくなってしまうことはありませんか。

それは、あなたが「ちゃんとやろう」「家庭を回そう」と、一生懸命がんばっている証拠です。

でも、がんばればがんばるほど「どうして伝わらないの?」と、どんどんイライラがたまってしまうのです。

なぜ夫婦はギスギスしてしまうのか? 支え合うはずのパートナーなのに、気づけば言い争いやすれ違い…。その背景には、こんな原因があるかもしれません。

無意識の思い込みにとらわれている

「親は家事や育児を優先するのが当然」「言わなくてもわかるはず」といった思い込みがあると、言葉がきつくなり、すれ違いが起きやすくなります。自分の“あたりまえ”が相手にとっても同じとは限りません。思い込みに気づくことが、すれ違いを防ぐ第一歩。お互いに「確認し合う」ことが大切です。

心の余裕がなく、思いやりが後回しに

忙しい共働き家庭では、仕事に家事、育児とやることが多く、時間も心も余裕がなくなりがちです。つい子どもファーストになり、夫への思いやりが後回しに。「夫の協力が足りない」「他の家庭はもっとやってくれているのに」と減点方式の見方をすると、家庭の雰囲気がギスギスしてしまいます。そんなときこそ、夫の立場に想像を向けて、理解する気持ちを大切にしましょう。

夫婦は「勝ち負け」じゃない

「私ばかり大変…」と感じると正しさを主張しがちですが、本当は認めてほしい、寄り添ってほしい気持ちが隠れています。そんなとき、「もう無理」と距離を置く前に、ほんの少し「話し合ってみよう」と意識してみてください。大切なのは、正論をぶつけ合うことではなく、「対話」をすること。

「わかってよ!」ではなく、「どう思う?」と尋ねることで、少しずつ歩み寄るきっかけが生まれます。

夫婦の絆を深める「ミクロ気遣い」

小さな言葉や行動を意識して、すれ違いや誤解を防ぐコミュニケーション方法が「ミクロ気遣い」。ポイントは「期待しすぎない」「自己表現をプラスする」ことです。

たとえば、夫が疲れていると感じたら「今日は先にお風呂に入る?」と聞いたり、忙しそうな夫には「無理しないでね」と声をかけたり、夫がしてくれたことには、小さくても「ありがとう」と伝えたり。

さらに、自己表現も加えてみてください。

「最近忙しそうで、ちょっと心配だよ。大丈夫?」「帰る前にLINEくれると、夕飯の準備がしやすくて助かるな」など、自分の気持ちや感謝を、やわらかい言葉で伝えてみましょう。

「わかってくれない」と感じる夫も、実は無関心なのではなく、「どう伝えたらいいかわからない」「何を求められているのか見えない」「失敗するくらいなら黙っていよう」と考えていることが多いのです。

そんなときにはこんな気遣いを。
・話すときにそっと目を合わせる(アイコンタクト)
・相手の言葉にうなずきながら最後まで耳を傾ける(傾聴)
・「私はこう感じたよ」とやわらかく自分の気持ちを伝える(アイメッセージ)

ミクロなやりとりを積み重ねることで、夫婦の絆が深まっていきます。

アイコンタクト
じっと見つめる必要はありません。話しかけるときに一瞬だけ目を合わせる、うなずくタイミングでチラッと目を見るといった自然なかたちで大丈夫です。そこに優しい笑顔をプラスすると、さらに「聞いているよ」「関心があるよ」という気持ちが伝わりやすくなります。

傾聴
相手の話をうなずきながら、途中でさえぎらず、最後まで聴くのが「傾聴」です。話をすべて受け入れる必要はありません。
タイミングよくうなずき、「そうなんだね」と相づちを打つだけでも、「ちゃんと聴いてくれている」と感じてもらえます。
さらに、「疲れた」と言われたら「疲れたんだね」とそのまま返す「オウム返し」も効果的。
また、「それは大変だったね」「私もそういうとき不安になるよ」など、気持ちに寄り添う一言を添えることで、相手の心の中に、少しずつ安心感や信頼感が育っていきます。

アイメッセージ
「アイ(I)メッセージ」とは、主語を「私」にして、自分の気持ちや考えを伝える方法です。
例えば、
・「(私は)連絡がなくて、さびしい」
・「(私は)そう言われると、悲しい」

このように、自分の感情にフォーカスして伝えることで、相手を責めることなく、自分の思いを届けることができます。

一方で、相手を主語にした伝え方は「ユー(You)メッセージ」と呼ばれます。
例えば、
・「(あなたは)なんでいつも手伝ってくれないの?」

このような言い方をされると、責められているように感じやすいです。

また、「○○してほしい」といった一見やわらかい言い方も、相手によっては「コントロールされている」と感じることがあります。

だからこそ、「私はこう感じている」と伝えるアイメッセージは、相手を尊重しながらも、自分の気持ちを率直に伝えられる、やわらかくて受け入れてもらいやすいコミュニケーション方法なのです。

すれ違いを防ぐ!気持ちが伝わる話し方

コミュニケーションは「相互作用」で成り立っています。自分の言葉が相手に影響し、その反応がまた自分に返ってくる、そんなやり取りの積み重ねが、心が通い合う夫婦関係を育てていきます。だからこそ、自分の行動を少し変える「ミクロ気遣い」で、関係性も少しずつ変わっていくのです。

夫婦関係がやわらかくなる5つのコツをご紹介します。

1 呼びかける

話しかける前に、まずは夫の名前や「パパ」「お父さん」と呼びかけてみましょう。突然話しかけられると、人はびっくりしたり防御モードに入りがちです。最初に呼びかけてから話すと、スムーズに伝わりますよ。

2 クッション言葉を添える

呼びかけたあと、「お願いがあるんだけど」「ちょっといいかな」などの「クッション言葉」を添えると、伝わりやすくなります。ちょっとした礼儀が、思いやりのサインになります。

3 お願いには「理由」をセットに

ただ「子どもをお風呂に入れて」ではなく、
「今ちょっと夕飯作ってて手が離せなくて…お風呂お願いできる?」
と理由を添えることで、相手も状況を理解しやすくなり、協力してもらいやすくなります。

4 感謝の言葉はその場で伝える

「ゴミを出してくれてありがとう」
感謝の言葉は、相手の気持ちを温かくし、良い関係を築くきっかけになります。相手の行動に対してすぐに“ありがとう”と伝えることで、助け合いの気持ちが育ちます。

5 ほめ言葉はエネルギーになる

「ありがとう」「助かった」「頼りにしてる」「さすが」「すごい」「素敵」「かっこいい」など、夫が喜ぶ言葉を意識して選び、伝えてみましょう。ちょっと照れくさいかもしれませんが、こうしたポジティブな言葉は、夫の自信とやる気につながるエネルギーになります。

「なんで私ばっかりこんなに気を遣わなきゃいけないの?」と思う気持ちがあっても大丈夫。

ミクロ気遣いは「我慢」ではなく、自分の気持ちをちゃんと届けるための伝え方の工夫です。ほんの少し言い方を変えるだけで、

・気持ちが伝わりやすくなる
・相手も優しく返してくれる
・関係が楽になる

そんな変化が生まれてきます。相手を変えようとするのではなく、自分の心を守るための「優しい工夫」だと思ってみてください。

「これは今じゃなくていいかも」「深呼吸してから話そう」そんな小さな間や言葉の選び方が、あなたを楽にしてくれます。慣れるまでは少しとまどうことがあるかもしれませんが、少しずつ自然にできるようになりますよ。

ギスギスしがちな「7つの場面」での伝え方のコツ 

1 家事分担でやってほしいことを伝えるとき

◎「お疲れのところ申し訳ないんだけど、今ちょっと手が離せなくて…。明日燃えるごみの日だから、各部屋のごみ箱のゴミを集めて、ごみ袋に入れてもらえると助かるんだけど、お願いしてもいい?」

2 掃除など、相手の担当作業ができていないときの伝え方

◎「庭の木、先週剪定をお願いしたけれど、もう少し切ってもらえると助かるな。枝が伸びて洗濯物を干すときに引っかかるんだ。よかったら週末、一緒にやらない?」

不満や正論ではなく、「困っていること」として伝えるのがポイント。さらに「一緒にやる」という姿勢を見せることで、相手の気持ちが動きやすくなります。

3 大事な共有を忘れるなど、相手のミスを指摘するとき

✕「なんで言ってくれなかったの? いつもそうだよね!」

◎「今日の予定、聞いてなかったから焦っちゃったよ。ちょっとバタバタしちゃって…今度から前もって言ってもらえると、安心できるし助かるな」

また、関係性が落ち着いている時は

◎「残念なお知らせがあります…今日の予定、実は聞いてなかったんです!(笑)次は教えてくれると、私、超安心です!」

と、ユーモアを添えることで、場の雰囲気をやわらかくするのもおすすめです。

4 疲れていて手伝ってほしいとき

✕「なんで手伝ってくれないの?」

◎「今日はちょっとしんどくて…早く休みたいから、お皿を洗ってもらえるとすごく助かる。」

妻がヘトヘトの状態で食器を洗っているとき、夫がソファでのんびりテレビを見ていると、ついイライラして「気づいてよ!」と無言で訴えたくなりますよね。しかし、そうした態度は相手に真意が伝わりにくいものです。

そこで、ガチャガチャと音を立てたり無言でため息をつく代わりに、まず夫の名前や「パパ」「お父さん」と呼びかけてから、「ちょっとお願いがあるんだけど」とやわらかく話しかけてみましょう。

そして、もしお皿を洗ってくれたら、翌朝「昨日はありがとう」と感謝の気持ちを伝えてみてくださいね。

5 夫が自分の時間を楽しんでいる様子にイラッとしたとき

✕「なんで私ばっかり家事をしてるの?」

✕(ため息・無言の怒りアピール)

◎「あなたがゲームでリラックスしてるのはわかるんだけど、私がひとりで家のことをしていると、ちょっと虚しくなるんだ。時間を決めて、一緒に家事できたらうれしいな」

夫がゲームを楽しんでいるのを見て「ずるいな…」と思うのは自然なこと。でも、不機嫌になったり我慢したりし続けると、心の距離が広がってしまいます。そんなときは、こう伝えてみましょう:

◎「リラックスしてるのいいね。私も少し一人時間がほしいな。あとで30分くらいもらえるとうれしい」

相手を責めずに「私はこうしたい」と伝えるのがポイント。お互いに心地よく過ごすために、遠慮せず気持ちをシェアしてみてくださいね。

6  夫をほめるとき

「さっきの子どもへの声かけ、さすがだね。よく見てるなって思ったよ。頼りになります。ありがとう」

具体的な行動+自分の感想で、まっすぐ伝えましょう。

7 LINEメッセージでの伝え方

「お疲れさま。今日のごはんはカレーだよ。一緒に食べようね🍛」

LINEは連絡ツールとして割り切りつつ、かわいいスタンプや一言を添えて温かみをプラスしましょう。

夫の返信が「了解」だけでモヤモヤしたら、タイミングを見て「もう少しリアクションしてくれるとうれしいな」と素直に伝えるのもおすすめです。

でも、いちばん大切なのは、自分の気持ちを、夫の目を見てまっすぐに伝えること。

「了解だけじゃ寂しいな…」と思ったときは、そっと目を合わせて、やさしくアイメッセージで伝えてみてくださいね。

最後に ~家事・育児でギスギスしないために大切なこと~

大切なのは、相手を思いやる気持ちです。

夫婦とはいえ、育った環境も価値観も違うふたり。結婚前はその違いが魅力的に感じられても、生活を共にする中でとまどうことも増えてきますよね。

「私ばかり大変…」と感じたときは、ひとりで抱え込まずに、少し勇気を出して夫に素直な気持ちを伝えてみましょう。

お互いの気持ちを共有することが、夫婦関係をよりよくする第一歩です。

ちょっとした言葉や行動を意識する「ミクロ気遣い」を積み重ねることで、関係は少しずつ変わっていきます。夫婦の絆が深まると、子どもも安心して笑顔で過ごせます。

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