ヨドバシ進出の余波?「エルメス」に見捨てられた西武池袋本店のラグジュアリー戦略に逆風
高級ブランド「エルメス(HERMÈS)」が、約半世紀にわたり出店していた西武池袋本店から撤退する。現在の「エルメス 西武池袋本店」は、2025年8月31日をもって閉店する。これにより、池袋エリアは「エルメス」店舗が存在しない「空白地帯」となる。
西武池袋本店を運営するそごう・西武は、売場面積を従来の約8万8000平方メートルから約4万8000平方メートルへと大幅に縮小。そのうえで、ラグジュアリーや化粧品、食品フロア(いわゆる「デパ地下」)に注力し、特にラグジュアリー領域では売場面積を約1.3倍に拡大するとしている。
しかし、ラグジュアリーを象徴する「エルメス」の撤退は、その方針と逆行する印象を与える。百貨店の高級路線を支えてきたブランドが離れることは、今後の集客やイメージ戦略にも影響を及ぼしかねず、西武池袋本店のラグジュアリー戦略にとっては逆風となる。
そごう・西武は2023年、親会社であるセブン&アイ・ホールディングスから、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却された。その後、「ヨドバシカメラ」の入居が発表され、外資系高級ブランドの撤退が当時から懸念されていた。
その対策として、プラダジャパン元社長のダヴィデ・セシア氏が2023年11月、そごう・西武の副社長に就任。外資系ラグジュアリーブランドとのパイプとして、関係の再構築にあたっているが、今回の「エルメス」撤退は大きな痛手となりそうだ。