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DURDNがリスペクトするアーティストと繋がり音楽シーンを一緒に盛り上げていく対バン企画『Knot』、tonunとBillyrromを迎えたvol.1公演レポート

SPICE

撮影=Ryotaro Kawashima

DURDNが9月12日(木)に東京キネマ倶楽部で開催した初の対バン企画『Knot vol.1』のオフィシャルレポートが到着した。

日韓3人組プロジェクトのDURDNが9月12日、初の対バン企画となるイベント『Knot vol.1』を東京キネマ倶楽部で開催した。イベント名の「knot」は、「結び目」という意味。ジャンルやスタイルを問わず、DURDNのメンバーが敬愛するアーティストを迎えることで「リスペクトしているアーティストと繋がって、みんなで音楽シーンを一緒に盛り上げていこう」という思いを込め名付けられたという。この日、彼らが招聘したのは広島県出身のシンガーソングライターtonunと、東京都町田市出身のメンバーによって2020年に結成された6人組バンドBillyrrom。どちらもフェスやライブハウスなどでの共演経験があり、プライベートでも交流のある「気心の知れた音楽仲間」だ。それもあり、この日のイベントはお互いのリスペクトや親愛が深く伝わってくる多幸感あふれる一夜だった。

tonun 撮影=Kanta Nakano(SMS)

最初に登場したのはtonun。客電が落ち、馴染みのあるスキャットのリフレインが流れ始めると、フロアから自然発生的にハンドクラップが鳴り響く。曲はもちろん、彼のメジャーデビュー曲「Friday Night」だ。軽やかなギターカッティングに導かれ、ハスキーかつスモーキーな歌声が会場を満たしていく。かと思えば哀愁を帯びたサビのメロディは、抜けるようなファルセットボイスで歌い上げる。続く「東京cruisin'」は、2021年リリースの2ndEP『tonun 2』(2021年)収録曲。ブレスをたっぷりと含んだボーカルスタイルが、洗練されたバンドアンサンブルと相まって心地よいグルーヴを生み出した。

tonun 撮影=Ryotaro Kawashima

その後も、バウンスするリズムが心地よいソウルフルなミドルチューン「バージンヘア」、ボサノバのエッセンスを散りばめた涼しげなメロウナンバー「君は言うかな」、ネオソウル風味のレイドバックしたリズムセクションと、ラップ調のボーカルが映える「Sweet My Lady」など人気曲を畳みかけていく。ほとんどの曲で、tonunが歌心たっぷりのギターソロを披露し、それにオーディエンスがハンズアップで応えていたのも印象的だった。

tonun 撮影=Ryotaro Kawashima

ライブ後半は、疾走感あふれる新曲「沼らせないで♡」やアシッドジャズ風味の「Sugar Magic」でオーディエンスの腰を揺らし、最後はとろけるようなR&Bソング「琥珀色の素肌」を披露。官能的なファルセットでオーディエンスを魅了し、この日のライブに幕を閉じた。

Billyrrom 撮影=Kanta Nakano(SMS)

続いて登場したのは、Mol(Vo)、Rin(Gt)、TaiseiWatabiki(Ba)、Shunsuke(Dr)、Yuta Hara(DJ/MPC)、そしてLeno(Key/Syn)からなるBillyrrom。肩慣らしのセッションを軽くした後、Molが「Billyrromです! 調子はどうですか?」とフロアに呼びかけると大きな歓声が上がる。そのまま「Defunk」へ。歯切れ良いRinのギターカッティング、タイトなShunsukeのドラム、うねりながらグルーヴを生み出すTaiseiwatabikiのベース、高揚感を煽るLenoのオルガンやYuta HaraのDJと、メンバーの持ち味が最大限に生かされたライブの定番曲だ。そして何より圧巻なのは、Molのパフォーマンス。ステップを踏みながらハンドマイクでステージ狭しと練り歩き、ジェスチャーを交えてオーディエンス一人ひとりに語りかけるように歌うその姿はカリスマ性に満ちている。

Billyrrom 撮影=Ryotaro Kawashima

続く「Once Upon a Night」は、今年7月にリリースされた最新曲。思わず体が動き出す軽快なビートの上を、軽やかなギターと甘いボーカルが絡み合う。かと思えばサビでは透き通るような、それでいて力強いMolのファルセットボイスが聴き手の胸を締め付ける。

Billyrrom 撮影=Ryotaro Kawashima

轟くようなベースリフにフロアから感嘆の声が上がった「Noidleap」では、壮大かつドラマティックなサウンドスケープを展開。「Natural Sense」では、「途中みんなで一緒に歌うパートがあるので、よかったら歌って!」とMolがフロアに呼びかけ、中盤のシンガロングで会場が一体となる。ライブ後半はジャズファンクなセッションを経て「Solotrip」へと繋げ、ダンスホールと化したフロアのボルテージは最高潮に。最後は2021年の1st EP『Frontier』より「Magnet」。メンバーそれぞれが自由にインプロビゼーションを繰り広げ、まるで生き物のように形を変えていくアンサンブルにオーディエンスが圧倒されるなか、フィナーレを迎えた。

DURDN 撮影=Kanta Nakano(SMS)

最後に登場したのは、もちろんDURDN。馴染みのサポートメンバーである友田ジュン(Key)、臼井岳(Ba)、そして井上瑠哉(Dr)とともにSHINTA(Gt Mani)がステージに現れ、ウォーミングアップがてらヘヴィなアンサンブルを奏で始める。遅れてキャップを被ったBaku(Vo)が、フロアに向かってピースサインをしながら登場すると会場は一気にヒートアップ。「こんばんは、DURDNです。今夜は楽しんでいきましょう」そう言って披露したのは「イカしてる」。2021年に8ヶ月連続リリースされた配信シングルのうちの一つで、〈「はい、せーの」「はい、せーの」大好きな言葉です〉〈なんかそれ なんかそれ ちょーCool イカしてる〉という、トップライナーのyacco(ライブには不参加)が紡ぐ独特のワードセンスとリフレインするメロディライン、そして「シグネチャー」とも言うべきBakuの歌声が放たれると、その場は一瞬にしてDURDNワールドに。

DURDN 撮影=Ryotaro Kawashima

続く「Palm」は、今年4月にリリースされたコンセプチャルなEP『Komorebi』収録曲。SHINTAがラップトップを操作しながら、バレアリックハウス風のトラックを繰り出し会場を「深夜のダンスフロア」に。そのサウンドが、グランドキャバレーを改装した東京キネマ倶楽部の「昭和」な雰囲気と融合し、まさしくヴェイパーウェイヴ〜フューチャーファンクな空間を作り出していた。

DURDN 撮影=Kanta Nakano(SMS)

この日DURDNは、未発表の新曲を2曲セットリストに加えるというチャレンジングな姿勢を見せた。そのうちの1曲「Summer Jumbo」は、すでにSNSで「リリースする予定ないけど好きな曲出来たから載せる」と題して披露していた楽曲で、バウンスするリズムに乗せ、たった1音で構成されたメロディラインが2小節続くというシンプルかつ攻めた楽曲。〈スーパー完全剽軽funny funny〉というユニークなフレーズも健在だし、ワウを効果的に用いたSHINTAの歌心たっぷりのギターソロも印象的だ。

DURDN 撮影=Ryotaro Kawashima

夏らしい爽やかなサウンドと、ひと夏の後悔を描く歌詞のギャップが秀逸な「Regrets」を挟み、次に披露されたのは本日2曲目となる新曲で、シンコペーションを強調した中南米風のリズムが聴き手の高揚感を上げていく。DURDN得意のリフレインするサビと、抑揚のある平歌のメリハリも効いていて、初めて聴く曲にもかかわらずフロアは一体感に包まれる。エンディングではBakuが超ハイトーンのファルセットでフェイクをすると、ひときわ大きな歓声が湧き上がった。

さらに「DURDN印」ともいうべき「apart」、エイティーズ風味の疾走感あふれる「Runner's High」とラストスパートをかけ、本編最後は「All of you」のリミックスヴァージョン(2022年のEP『306』収録)を演奏。鳴り止まぬアンコールに応えて「忘れたいね」を披露し、この日のイベントに幕を下ろした。

DURDN 撮影=Ryotaro Kawashima

DURDN初の主催対バンイベント『Knot vol.1』は、彼らの「ライブバンド」としての飛躍的な成長と、音楽を通して人々をつなぐ力、その尊さを改めて感じさせる特別な一夜となった。なお、DURDNは今年11月から来年1月にかけて『DURDN Live Tour 2024-2025 GET ON THE BOAT』と題した全国ツアーが控えている。ライブをやるたびに大きく進化を遂げている彼らが、このバンド史上最大規模となるツアーを経てどう進化するのか。今から楽しみだ。

取材・文=黒田隆憲
撮影=Ryotaro Kawashima、Kanta Nakano(SMS)

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