不朽の反戦漫画「はだしのゲン」の“誕生”から“現在”を見つめるドキュメンタリー映画『はだしのゲンはまだ怒っている』
不朽の反戦漫画「はだしのゲン」の“誕生”から“現在”を見つめるドキュメンタリー映画『はだしのゲンはまだ怒っている』が、は11月15日(土)より公開される。このたび、予告編が解禁となった。また、内田也哉子、ライムスター宇多丸、武田砂鉄ら著名人より本作への熱いコメントが到着した。
「はだしのゲン」はなぜ、いまなお私たちを熱くするのか?
アメリカが広島に落とした原子爆弾で被爆し、家族を失った少年ゲンが、貧困や偏見に苦しみながらも力強く生き抜く姿を描いた漫画「はだしのゲン」。主人公・ゲンのモデルは6歳で原爆を体験した作者の中沢啓治さん自身だ。「週刊少年ジャンプ」での連載が始まった1973年から半世紀、25ヶ国で翻訳出版され世界中で読まれ続けてきた。しかし近年は、「描写が過激」「間違った歴史認識を植え付ける」と、学校図書館での閲覧制限を求める声が上がったり、広島市の平和教材から消えるなどして、大きな議論を呼んだ。なぜ、いまなお一作の漫画がこれほどまでに私たちを熱くするのか—?
本作は、メディア・アンビシャス映像部門大賞、第15回衛星放送協会オリジナル番組アワード番組部門(ドキュメ ンタリー)最優秀賞などを受賞したBS12スペシャル「『はだしのゲン』の熱伝導 ~原爆漫画を伝える人々~」(2024年9月放送)の映画化。監督は、数々の傑作ドキュメンタリー番組の演出を手がけ、本作が映画初監督となる込山正徳。制作は、テレビ番組と同じく東京サウンド・プロダクション。映画化に際して、込山監督を敬愛してや まない大島新(『香川1区』『国葬の日』)と前田亜紀(『NO選挙,NO LIFE』)が共同プロデューサーとして参加。戦後80年を迎えるいま、映画は不朽の反戦漫画の誕生から現在を見つめ、私たちが生きているこの世界に溢れる、怒りや悲しみ、そして優しさを映し出していく。
予告編は、アメリカが広島に落とした原子爆弾で被爆し貧困や偏見に苦しみながらも力強く生き、多くの人々を魅了し続けてきた漫画の主人公・少年ゲンを象徴するかのような明るい音楽とともに始まる。
そして、映画に登場する人々が漫画や作者の中沢啓治さんへの熱い思いを語る姿や、戦後80年を迎えたいま現在の漫画をとりまく不穏な空気感を映し出していく。映画の核となるシーンや漫画「はだしのゲン」のカットをふんだんに使用した予告編には、このドキュメンタリー映画が漫画「はだしのゲン」を読んだことのない人にとってはゲンと出会うきっかけに、かつて読んだことがあるという人にとっては、ゲンと出会い直すきっかけになればとの願いが込められているという。
<コメント>
内田也哉子(文筆家)
「6歳の中沢さんが見た地獄」から、私たち大人は何を学べるでしょうか。小さなゲンを常に心に抱くことで、平和ある未来は自ずと形作られるのだと思います。
ライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティ)
もし、『はだしのゲン』がこれほど広く読まれていなければ……核兵器というものに対して、日本人の多くもまた、いまだにハリウッド映画レベルの呑気な認識しか持てていなかったかもしれない。不愉快な現実=歴史をこそ直視し語り継ごうとするこの真の「国⺠的マンガ」を、つまり我々は決して、手放してはならないのだ。
武田砂鉄(ライター)
まだ怒っているゲンが、ずっと問いかけてくる。歴史とは都合よく捻じ曲げられるものだと予見していたのかもしれない。
宮崎園子(フリーランス記者)
軍国主義と核兵器の犠牲になった人々の声を背負って、怒り続けたゲン。その居場所が、広島にすらなくなりつつある。ゲンの怒りは嘆きにもなり、今、わたしたちに向けられている。もう忘れてしまったのか、再び繰り返すのか、と。
信友直子(ドキュメンタリー映画監督)
30年来の盟友が、平和への祈りを込めて、凄い熱量で「被曝80年」に発信する傑作。後世に残すべき貴重な証言の数々は、監督の人柄が引き出したものだろう。そして思わずニヤリとさせる毒も忘れない。さすが込山監督!
森達也(映画監督/作家)
プーチンの脅しによって核抑止論がまやかしであることが明らかになったはずなのに、いまだに日本は核兵器禁止条約に加盟しない。イスラエルを⻄側世界は止められない。歴史修正やヘイトは増えている。ゲンは「まだ怒っている」のではなく、「もっと怒っている」はずだ。
『はだしのゲンはまだ怒っている』は11月15日(土)より東京ポレポレ東中野ほか全国公開