顔に墨を塗って病魔を退散!群馬県玉村町の上福島地区で「すみつけ祭」が2月11日に開催
約300年前から続く伝統行事「すみつけ祭」が2月11日(火・祝)に群馬県玉村町の『上福島公民館』で開催される。町の重要無形民俗文化財に指定されるこの祭りは、無病息災を願って人々の顔に墨を塗りつけるという奇祭。希望すればだれでも墨を塗ってもらえるので、参加してみては。
玉村町の早春三大祭りのひとつ
群馬県南部に位置し、高崎市や伊勢崎市などに隣接している玉村町。その小さな町では毎年2月11日に「早春の三大祭り」が行われている。上新田地区の「稲荷神社獅子舞」、樋越(ひごし)地区の「春鍬(はるくわ)祭」に並ぶもう一つの祭りが、上福島地区の「すみつけ祭」だ。
すみつけ祭の起源は江戸時代の元禄年間(1688~1704)といわれ、300年以上の歴史を誇る。「江戸時代に疫病が流行した際に、鍋を持って転びその墨が顔についてしまった女性が病気にならなかったという言い伝えから、無病息災を願って行われるようになりました」と教えてくれたのは玉村町教育委員会生涯学習課文化財係の永井さん。早春の三大祭りのひとつ、「春鍬祭」が豊作を祈願する祭りであることから、それに合わせて農業の閑散期であるこの時期に行われるようになったと考えられる。
墨をつけた顔で無病息災を祈願!
当日は埼玉県加須市にある玉敷神社から御神体と天狗(猿田彦)の面を借り受け、天狗の面をつけた人を先頭に御神体や太鼓を持った人々、顔に墨を塗った大人や子供たちが朝から夕方まで上福島地区の家々を回って輪切りの大根につけた墨を人々の顔に塗りつけるというのがコロナ禍以前の通例だった。
しかしコロナ禍以降は縮小傾向にあり、2025年は『上福島公民館』の敷地内で午前のみの実施となる。8時30分から上福島公民館での祈願の後、公民館の敷地内を練り歩いて輪切りの大根につけた墨を顔に塗りつける。墨をつけてもらうとその年は風邪や悪病にかからないといわれている。
「私も実際に墨を塗ってもらったことがありますが、その年は風邪をひきませんでした(笑)。地元関係者も精一杯祭りを盛り上げようとしていて、今年は豚汁の振る舞いも行いますのでぜひいらしてください」と永井さん。町民でなくても希望すれば顔に墨を塗ってもらえるので、玉村町に伝わる伝統行事に参加して今年一年を元気に過ごそう!
開催概要
「すみつけ祭」
開催日:2025年2月11日(火・祝)
開催時間:8:30~12:00ごろ
会場:上福島公民館(群馬県玉村町上福島1001)
アクセス:JR高崎線新町駅から車で約20分
【問い合わせ先】
玉村町教育委員会生涯学習課文化財係☎0270-30-6180
公式HP:https://www.town.tamamura.lg.jp/docs/2023020200029/
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。