「なんで!?」効率で選ぶなら2本針。でも勝ったのは──1本針だった。
1本針でも釣れるんじゃね?
誰でも手軽に楽しめるキスのちょい投げ釣り。
ある日、フグにハリスを切られて、ふと思ったんです。
「1本針でも釣れるんじゃね?」……と。
ご存じのとおり、1本針でも問題なくキスは釣れるんです。
そこで質問です。
1本針と2本針では、どのくらい釣果に差が出ると思いますか?
【1本針vs2本針】検証してみた
TSURI HACK編集長のしみけん氏と共にやってきたのは淡路島のとある砂浜。
釣り具屋さんの情報では連日、シロギスの釣果が上がっているとのことでした。
ー 山根 ー
技量やタックルの影響を極力減らすために、前半と後半でタックルを入れ替えましょう!
ー しみけん ー
勝負ではなくて、あくまでも検証ということですね。
ー 山根 ー
そうですよー。アタリの出た距離とか共有していきましょうね!
ルール
市販されている同じサイズのキス仕掛けを2セット用意し、1セットの枝針をカットして1本針仕掛けとしました。
30分ずつそれぞれキスを狙い、釣れたキスの数を比較します。
オモリの重さと天秤の長さは統一、タックルの都合上、1本針はPE0.6号、2本針はPE0.8号としました。
キャスト数は手返しの良さもメリットになると判断し制限無しとしました。
いざ、勝負……
検証とはいえ、やはり釣り人。
「たくさん釣ってやろう」という熱い気持ちを胸に、勝負……いや、検証開始です!
よーい、スタート!
【前半戦】シロギス高活性
チャリコの猛攻
開始1投目。ほぼ2人同時に当たった!と声を発し、仕掛けを回収してみると……。
チャリコ(マダイの幼魚)が上がってきました。
ー しみけん ー
これは2対1ですか!?
ー 山根 ー
今日はシロギス釣りということで、キス以外はノーカンです!
ー しみけん ー
もしやチャリコだらけで検証にならんかもですねー。
ー 山根 ー
次はできるだけ遠くに投げてみましょ。
1本針にいきなりヒット
次のキャストで遠投してみると1本針を担当した僕にキスが掛かってきました!
やっぱり1本針でも問題なく釣れますね! すぐに針を外して次のキャストを行います。
ー しみけん ー
こっちも当たるんですけどね……。乗らんです。
ー 山根 ー
アオイソメの頭とってますか?
ー しみけん ー
えっ、イソメの頭って取るんですか?
ー 山根 ー
取った方がアタってから食い込みやすいですよ!
2本針にトラブル発生
アオイソメの頭を取った数投後、しみけん氏にもキスがヒット……。
しかし仕掛けはグチャグチャになって上がってきました。
ー しみけん ー
2本針仕掛けのデメリットが早速出てしまいましたー。
ー 山根 ー
手返しの良し悪しも検証項目なので、遠慮なく釣らせてもらいますよ!
前半戦の結果発表
30分の間に、1本針は5匹、2本針は2匹という結果になりました。
チャリコは一荷(2匹釣り)が何度かあったのに対してキスは単発で数が伸びなかった印象ですね。
1本針は手返しの良さを活かして、テンポ良く釣れた印象がありました。
【後半戦】一転、食い渋りに……
タックル&立ち位置交換
後半戦は僕が2本針、しみけん氏が1本針でスタート。
相変わらず、チャリコのアタリが頻発する中でキスのアタリを探す展開です。
1本針好調
最初の1匹目は1本針仕掛けにヒット!
ー しみけん ー
こっちのタックルの方が少し距離が出ている気がしますねー。
ー 山根 ー
遠ければ遠いほど、チャリコのアタリが減りますよね!
一荷の気配無し?
チャリコに苦戦しながらも2本針の僕もなんとかキスをキャッチ!
この後、一荷を狙ってみるも追加のアタリは無く、何度か途中でバレてしまったり……。
1本針好調続く
しみけん氏はコンスタントに3尾のキスを釣り上げ、ここまで1本針3匹対2本針1匹。
ー 山根 ー
このままでは個人戦で追いつかれる……いや、2本針は惨敗だ!
と焦った僕は、PE0.6号との飛距離差を埋める裏技を発動することに。
遠くへ飛ばすのも醍醐味
水に立ち込んでのフルキャスト!
ー 山根 ー
これで2匹釣りすれば、一気に差を埋められるぞ!
って、完全に勝負感覚になっておりますが、残り時間はわずかです。
立ちこんで遠くを狙ってみたものの、釣れたのはチャリコさん……。
ここで30分経過し検証終了——。
前後半合わせて、1本針6匹対2本針3匹という結果になりました。
ー 山根 ー
想像より顕著な差が出てビックリ、一旦竿を置いてこのような結果になった理由を考察してみましょう。
針数におけるメリット・デメリット
2本針は絡みやすい
キスの活性が高かった前半戦では、仕掛け絡みが無ければ2本針でももう少し釣れていたかもしれませんね。
2匹同時に釣れる魅力もありますが、絡みやすさはデメリットと言えるでしょう。
とくに、この日は風が強かったのも絡みが発生した原因だと感じました。
追い食いを狙ったバラシ
僕が2本針を担当した後半戦では、2匹掛けを狙うあまり、アタリがあってもすぐに回収せず粘ったことが、数を伸ばせなかった原因だったと感じます。
今日のように次々とキスが掛からない状況では、1匹ずつ丁寧に釣っていく方が良いのかもしれませんね。
1本針にもデメリットあり
ここまで見ると1本針の方が有利に思えますが、もちろんデメリットもあります。
最大の欠点は「餌を取られていないか不安になること」。
わずかなアタリでも、つい確認したくなってしまいます。
さらに、2匹同時に釣れる可能性がゼロである点。
ー 山根 ー
キスは群れていることが多く、今回こそ一荷はありませんでしたが、状況次第では2本針が圧勝する場面もあるはずです。
初心者の方は1本針でも良いかもしれませんね
今回は、キスのちょい投げ釣りにおいて、1本針と2本針でどのくらい釣果に差が出るのかを検証しました。
わずか1時間の結果なので断定はできませんが、活性があまり高くない状況では、1本針でも2本針に劣らず釣れることがあると分かりました。
ー 山根 ー
初心者の方や、仕掛けの絡みを直すのが苦手な方は、まず1本針から試してみるのも良いかもしれませんね。
撮影:山根央之