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岸根町 「琵琶橋」伝承に”若手”奮闘 「新たな名所に」案内板設置

タウンニュース

▲案内板の設置を見守る地域の関係者ら

岸根町に伝わる「琵琶橋」の伝承――。かつて江戸時代、旅人たちが足を止め、物語を紡いだ伝説の橋「琵琶橋」の跡地が整備され、このほど一般公開された。地域住民の長年の願いが叶い、3月21日には橋の遺構である石材と、往時の物語を今に伝える案内板がお披露目された。

公開されたのは、橋の遺構である5点の石材と、橋の歴史と伝説を記した案内板。石材には、「明和五年(1768年)」や「文化十三年(1816年)」などの年号とともに、当時の地域住民らの名前が刻まれている。これらは、2022年に地域の関係者らによって拓本が採られたことで判明している。

案内板には、室町時代の武将・太田道灌がこの地を訪れた際に詠んだ歌、「関東のみすま耕地のびわの橋」が紹介されている。また、橋の由来や、丸太橋から石橋への架け替えなど250年以上にわたる橋の歴史が記されており、訪れる人々に琵琶橋の物語を伝える役目を持つ。

歴史的遺産を後世に

琵琶橋は、かつて地域を流れていた「根川」という農業用水路に架けられていた小さな橋だ。江戸時代には、源頼朝や琵琶法師にまつわる数々の伝説が語り継がれ、旅人たちの間で広く知られていた。1980年代にその役割を終え、石材のみが残された状態だったが、この歴史的遺産を後世に残したいという地域住民の強い思いから、95年頃から整備活動を開始。しかし、遺構の残る土地の所有者が変わるなどして難航していた。

今回、中心となって案内板設置を主導したのは、代々この地に住み、「びわばし」を屋号とする株式会社ビルコ社長の岩田一清さん(44)と、同級生で不動産賃貸業を営む市川直樹さん(同)だ。「土地の所有権が移り、遺構が処分されてしまわれないよう、保存・伝承のために動きました。今の土地所有者様をはじめ、皆さんのご協力により完成し、ほっとしています」と岩田さんは語る。案内板の説明文を担当した市川さんは、祖父で地区連合町内会長などを務めた茂さんの草案を引き継いだ。「祖父の思いも踏まえながら作りました。地域のことを聞いて回って、自分のルーツを知ることもできた」と話す。(株)ビルコ会長の岩田清さんは「若い二人が地域のことに尽力し、こうして形になって嬉しい」と喜んでいた。

琵琶橋の跡地は、岸根交差点から徒歩約3分、新横浜駅からは徒歩約14分の場所に位置し、周辺には岸根高校もある。地域住民だけでなく、学生たちも訪れることが期待され、土地所有者の神戸哲志さんのもとには早速、学校関係者から見学の依頼が届いているという。監修を行った大倉精神文化研究所理事長の平井誠二さんは「岸根の皆さんは地域の歴史や文化を特に大切にしている方が多いと感じる。琵琶橋の存在を、次の世代に伝えていくことができるようになった」と語る。

琵琶橋の跡地は、地域の歴史と文化を伝える新たな拠点として、地域活性化のシンボルとなるだろう。

活動を主導した岩田さん(右)と市川さん

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