つら~い「痛風」は女性も要注意!原因と、今すぐできるセルフチェック&簡単ケア
「足の親指の付け根が急に腫れて激しく痛む」「歩くたびに関節がうずく」などの症状に心当たりはありませんか? その正体は「痛風」かもしれません。
かつては中高年男性に多いとされていた痛風ですが、最近では女性患者も増えています。
この記事では、痛風の原因や日常生活でできるセルフケアを紹介します。
痛風とは?
痛風とは、体内の尿酸濃度が高くなり、その尿酸が結晶化して関節に沈着することで起こる病気です。関節に沈着した尿酸結晶を白血球が取り除こうとする際に、激しい痛みが生じます。発作的に痛みが生じることから「痛風発作」と呼ばれ、数日痛みが続きます。
とくに足の親指の付け根に痛みが出ることが多く、発作時には靴を履くのも困難になるほど強烈な痛みを感じるのが特徴です。手足の関節やひざにも症状が出る場合があり、発作が繰り返されると慢性的な関節炎に進行する可能性もあります。
痛風の背景にあるのは、高尿酸血症です。尿酸値が7.0mg/dlを超えている場合、高尿酸血症と判断されます。高尿酸血症や痛風は男性に多いとされてきましたが、食生活の変化や女性ホルモンのバランスの変化により、女性にも増加傾向です。
とくに、更年期以降は女性ホルモンのエストロゲンが減少することで尿酸を排泄する力が弱まりやすく、注意が必要です。(※1)
痛風の原因
痛風の原因には食生活が大きく関係しています。続いて、痛風の原因について詳しく解説します。
1.プリン体の多い食材の摂りすぎ
痛風の原因には、プリン体の多い食材の摂りすぎが考えられます。プリン体とは細胞の核である核酸の主成分のことで、ほとんどの食材に含まれており、私たちの体内でもエネルギー代謝によって生成されています。
尿酸は体内でプリン体が分解されることで生成されます。通常、生成された尿酸は体外へ排出されますが、プリン体を多く含む食品を過剰に摂取すると、排出が追いつかず尿酸値が上昇しやすくなるのです。
プリン体を多く含む食材には、レバーや赤身肉、アジやサンマの干物、イワシ、白子、貝類などが挙げられます。これらの食材を日常的に摂っていると、痛風のリスクが高まります。
2.お酒の飲みすぎ
お酒の飲みすぎも痛風の原因のひとつです。アルコールには尿酸値を上げる作用があります。また、尿酸は尿として排出されますが、アルコールは尿を作り出す腎臓の機能低下を招いて尿酸を排出しにくくするため、結果的に尿酸値を上昇させます。
とくに、ビールはプリン体を多く含み、さらにアルコール自体も尿酸値を上げやすいため、二重のリスクを抱えているため注意が必要です。プリン体を含まないビールやほかの種類のお酒をよく飲むという場合でも、アルコール自体に尿酸値を上昇させるリスクがあるため、お酒の種類に限らず飲みすぎないようにしましょう。(※2)
早めに見つけて対策!痛風セルフチェック
痛風は発作が起きてから受診する人が多いですが、発作前から尿酸値は高くなっています。
以下のような項目に当てはまる場合は要注意です。
・足の親指や関節に痛みや違和感がある
・お酒を飲む機会が多い
・赤身肉やレバーなどをよく食べる
・水分をあまり摂らない
・尿酸値が高めと指摘されたことがある
これらに該当する場合は、尿酸値が高く、痛風発作が起きやすい可能性があります。早めのセルフケアで痛風を予防しましょう。
日常生活のなかでできる!痛風のセルフケア
痛風は生活習慣の見直しによって予防が期待できます。ここでは、毎日の生活に取り入れやすいセルフケアを紹介します。
1.食生活を見直す
痛風対策の基本は食生活の見直しです。プリン体は多くの食材に含まれているため、プリン体を含む食材を極端に避けると栄養バランスが崩れる可能性があります。そのため、プリン体を含む食品を極端に避ける必要はありませんが、プリン体を多く含む食材を頻繁に摂りすぎないよう注意が必要です。
プリン体の含有量が多い肉類やレバー、魚などを食べる際には量を意識し、野菜や海藻、きのこ類を取り入れて栄養バランスを整えましょう。
また、お酒の種類にかかわらず飲みすぎは控え、アルコールは1日あたり20g程度に抑えることも大切です。たとえばビールなら中瓶1本、日本酒なら1合程度が目安です。お酒を飲む習慣がある場合は、目安量を超えないように意識しましょう。(※3)
2.ビタミンCを意識して摂取する
尿酸を体外へ排出する作用があるビタミンCを意識して摂ることも、痛風対策に効果的です。柑橘類やキウイ、いちごといった果物のほか、パプリカやブロッコリー、芽キャベツなどの野菜類にも豊富に含まれています。
ビタミンCは熱に弱く水に溶けやすい性質を持つため、できるだけ生で食べるのがおすすめです。加熱する場合は短時間で調理するほか、スープなどの汁ごと食べる料理にすると無駄なく摂取できます。ただし、じゃがいもなどのビタミンCは熱に強く、加熱調理をしても流れ出にくい性質があります。
日々の食事や間食にフルーツを取り入れる、野菜を使った副菜をプラスするなど、無理のない工夫を続けてビタミンCを摂りましょう。(※4)
3.有酸素運動をする
痛風の予防や改善には、適度な運動も効果的です。なかでも有酸素運動は、血行を促進して、尿酸の排出を促す効果が期待できます。代表的な有酸素運動としては、ウォーキングや軽いジョギング、水泳、サイクリングなどが挙げられます。
ポイントは「無理をせず、継続すること」です。運動はまとめてするのではなく、1回10分程度の運動を1日30分以上から60分程度するなど、小分けにしても効果が得られます。仕事や家事の合間にこまめに歩く、エレベーターの代わりに階段を使うなど、日常生活のなかで無理なく取り入れやすい方法で継続しましょう。
なお、激しい運動を行うとかえって尿酸値を上昇させてしまうことがあります。息が軽く弾む程度の軽い運動にとどめましょう。(※1)
4.こまめに水分補給をする
尿酸は尿として排泄されるため、十分な水分摂取を心がけることも大切です。1日に1.2〜1.5Lを目安に、こまめに水分補給をしましょう。
とくに、起床後や入浴後、就寝前はからだが脱水傾向になりやすいため、意識して水を飲むことが大切です。ただし、甘い清涼飲料水やお酒は逆効果になる場合があります。水やお茶などを飲むように心がけましょう。
痛風対策には漢方薬もおすすめ
痛風対策には心とからだのバランスを整え、不調の根本原因からアプローチする漢方薬を活用するのもおすすめです。肥満による尿酸値の上昇も痛風の原因となるため、漢方薬で肥満の改善を目指すことは痛風予防につながります。
そのため、痛風対策には、「関節の腫れや炎症を抑える」といった作用で痛みを和らげ、「脂質代謝を高め、脂肪燃焼を促進する」「自律神経を整えてストレス過食を防ぐ」などの働きのある漢方薬を選びましょう。
<痛風対策におすすめの漢方薬>
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
血流や水分代謝を促して余分な老廃物を排出し、脂質代謝を改善して脂肪の燃焼を促進します。おなかの脂肪が気になる人や便通が悪い人におすすめです。
・大柴胡湯(だいさいことう)
胸部(胆のう、膵臓、肝臓)の熱を取り除き、働きを整えることで脂肪代謝を促します。食欲旺盛で便秘気味の人におすすめです。
スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような、オンライン個別相談も話題です。あんしん漢方はAI(人工知能)を活用し、漢方のプロが効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれるオンライン漢方サービス。
スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談できますよ。お手頃価格で不調を改善したい人は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。
痛風は一度発作が起きると強い痛みで生活に大きな支障を与えますが、日頃の生活習慣を見直すことで予防や再発防止が可能です。食事の工夫や適度な運動など、できることはたくさんあります。
自分に合ったセルフケアを少しずつ取り入れ、健康的な日々を目指しましょう。
<参考文献>
※1 厚生労働省健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「高尿酸血症」
※2 厚生労働省健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「アルコールと高尿酸血症・痛風」
※3 厚生労働省「アルコール」
※4 公益社団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット「ビタミンCの働きと1日の摂取量」
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
(ハピママ*/あんしん漢方)