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か弱い針子<メダカの赤ちゃん>が生まれた! 屋外ビオトープ育児奮闘記

サカナト

生まれた針子(提供:みのり)

先日、自宅に設置しているビオトープでメダカの赤ちゃんが生まれました。

屋内飼育でメダカの繁殖に成功したことはありますが、屋外では初。しかも私は、このビオトープを意図的にほとんどいじっていません。それにも関わらず、メダカの赤ちゃんたちは私の前に現れました。

筆者がビオトープを作ってからメダカの赤ちゃん誕生に至るまでの記録をご紹介します。

ビオトープに何かいる

突然でした。いつものように野外のコンテナビオトープを観察していたところ、数ミリレベルのとんでもなく小さな生き物が水面付近でウヨウヨしているのです。

その姿には見覚えがありました。間違いなくメダカの赤ちゃんです。非常に小さく、また細いため「針子」とも呼ばれます。

筆者は小学生くらいの時に屋内に置いていた水槽でメダカの繁殖をしたことがありました。その後何世代かにわたって繁殖し、メダカ一大一家を築き上げたこともあります。

しかし今回は「屋外」においてです。しかも冒頭に述べたように、私はこのビオトープをほぼ意図的に放置しています。というのもこのビオトープは飼育が目的ではなく、ある程度環境を整えることで様々な野生の生き物の憩いの場となることを目指していたからです。

筆者の湿地帯ビオトープ(提供:みのり)

このビオトープに入れていたメダカやヌマエビは、ある程度ビオトープの環境を整えるためのものに過ぎません。環境が整えば私が必要以上に手を入れずとも彼らは自立し、勝手に餌を食べて生き延びます。

鳥たちの水飲み場、水生昆虫の飛来場所や産卵場所となることを主な目的として作ったのが本ビオトープだったため、メダカはあくまでもその要素のひとつでした。欲を言えば「勝手に繁殖し増えていってくれたら嬉しいな」と思っていたくらいでした。

生き残るのは至難の業、しかし

しかし完全飼育と異なり、屋外のビオトープで針子たちが生き残るのは至難の業です。まず生んだ卵はすぐに他のメダカたちに食べられてしまいます。生まれた針子も小さすぎるため、すぐに食べられてしまいます。

メダカは日照時間の長さや水温で産卵の条件が決まります。その後、水草などに卵を絡ませるようにして産み付けます。

日当たりも良く、水草も植えていたため、これまでも条件的には十分卵を生んでいた可能性はありますが、恐らくそのほとんどは死んでしまったのでしょう。現に、昨年のビオトープで生まれたメダカは「0」でした。

それではなぜ今年は針子が生まれ、また生き残れたのでしょうか。

替えた水草が功を奏した?

思い当たる節があります。以前のビオトープは藍藻が縦横無尽に生え、もはや水底なんて見えないくらいの状態でした。

藍藻だらけのビオトープ(提供:みのり)

本来はここまで増える前に取り除くべきですが、正直に言うと作業を怠っていました。それでもメダカやエビは難なく生きていたため、そのままにしていましたが、本来は藍藻が多いということは水が汚れている証拠なので、すぐに替えるべきです。

しかし、さすがに増えすぎたなと感じ、春先に藍藻を全て除去。同時に、植えていた植物も全て交換しました。

本来はひとつの自然を作るためのビオトープのため、筆者が住んでいる地域の水系にのみ生えている植物を植えていましたが、やはり自然由来の植物を育成するのは困難で、その多くは1年以内に枯れてしまいました。

自然を増やすために作ったはずなのに、必要以上に野生から植物を採ってきてはすぐに枯らすだけの環境破壊になってしまいます。そこでしっかり流出対策を施し、ショップで買った丈夫な植物を植えました。

「ショップの植物=(この地域・場所における)外来種」のため、流出してしまうと環境破壊につながります。管理には十分気を使う必要があります。

新しく植えたのは菖蒲、マツモ、ホテイアオイです。

菖蒲、ホテイアオイ、マツモを入れたビオトープ
(提供:みのり)

特にホテイアオイは外来種として非常に厄介な植物のため、導入は慎重に行いました。しかし恐らくこのホテイアオイとマツモが、針子誕生のキッカケになったのです。

根や葉に巻き付けやすい

メダカを屋外飼育(ビオトープではなく)している方も、メダカの繁殖にホテイアオイやマツモ、それに似た人工根をよく用いると聞きます。これらの根はメダカの卵が非常に絡みやすく、また隠れ家になるのです。

ホテイアオイの根(提供:みのり)

恥ずかしながら、針子たちはいつの間にか誕生していたので、今回私はメダカの卵を一度も見る機会がありませんでした。

そのため憶測ではありますが、筆者が観察した針子たちはこのホテイアオイやマツモの傍をうろちょろしていたため、これらの植物が針子を守ってくれたのだと思います。

隔離ケースで育成を試みる

そうは言っても、大人メダカに見つかってパクリとされるのも時間の問題です。フロート式の隔離ケースを水面に浮かべ、針子を水ごと掬って中に隔離しました。

このサイズだと、直接網で掬うと傷つき死んでしまいます。

フロート式隔離ケース(提供:みのり)

針子は生まれて数日間はサケの稚魚と同じように卵嚢がついており、そこから栄養を吸収して成長します。

しかし、その後は自分から餌を得なければならず、餓死の危険性が高まります。そこでメダカの餌をさらに細かくすり潰したものを隔離ケースの中に撒いてみました。

しばらくすると針子たちは水面付近に集まりだしました。ピクピク動いているため、恐らく採食していると思われます。

採餌する針子(提供:みのり)

本来は放置前提のビオトープですが、久々の針子誕生でそれどころではありません。なんとかこの針子たちだけでも大人のメダカにしてみせようと、現在も育児奮闘中です。

数匹は敢えて隔離せずに残してみる

数日間観察して気づいたことがあります。

その後も時々針子たちは増えていきましたが、意外にも大人メダカたちは針子に見向きもしないのです。大人メダカが採食している時も、彼らは針子たちをガン無視しています。たまたまかもしれませんが、もしかしたらもう餌とは認識していないのかもしれません。

そこで数匹のみ隔離し、残った針子は敢えてそのままにしてみることにしました。餓死の恐れがあるため餌だけは毎日与え、他はビオトープの環境力に任せてみようと思ったのです。

本来このビオトープは放置する前提。その環境下でも針子たちは生き延びられるのか、今後の観察も楽しみです。

魚飼育のはじめてはたのしい

10年以上近く魚の飼育を行ってきましたが、何年経ってもはじめて飼育する魚にはワクワクします。

それがたとえ繁殖経験のあるメダカであっても、シチュエーションが異なるだけでワクワクが止まりません。またこのメダカたちが完全飼育下ではなかったという点もまたワクワクする要因かもしれません。

(サカナトライター:みのり)

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