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古民家暮らしに憧れている人必見!【古民家の選び方、買い方を徹底レクチャー】Vol.3 未補修古民家の 〝困った〟を解決!

田舎暮らしの本

古民家暮らしに憧れている人必見!【古民家の選び方、買い方を徹底レクチャー】Vol.3 未補修古民家の 〝困った〟を解決!

茅葺き屋根に黒光りした太い柱や梁。田舎暮らしを夢見る都会の人にとって、野趣あふれる古民家に住むことは憧れの一つです。しかし、古い建築物だけに選び方は注意すべき点も少なくありません。そこで今回は、古民家を利用したい人のために、「未補修古民家の〝困った〟」を徹底レポート。一緒に解決方法を学び、夢を叶える第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

買ってから困らないために。知っておきたいトラブル解決法

未補修の古民家を見て、その古さやボロさに驚く人も多いのが正直なところ。しかし、これは知識があれば乗り越えられる“壁”でもあります。ここでは、数々の“困った”をいくつかご紹介し、解決する方法を伝授していきます。 ※費用はあくまで目安です。

壁も床もボロボロ……。一棟丸ごと改修したらいくらに?

 古民家の補修費用は、建物の状態が比較的いい場合と、状態が悪い場合で大きく違ってくる。  建物の状態が比較的いい場合でも、さまざまなところに不具合は見つかるものだ。腐食部分の解体と手直し、畳の交換、建具の交換・調整、屋根の再塗装などで、110万〜150万円は見ておきたい。ここまではとりあえず住めるというレベルの工事だ。  
 続いて間取り変更でLDKをつくり、水回りを1カ所にまとめる工事が250万〜350万円。し尿と雑排水を浄化する合併浄化槽設置は 50万円前後。ここまでで計400万円くらい。  
 家屋を丸ごと補修する場合 は、腐った床下を取り除き、基 礎からつくり直す。設備面などその他の快適化工事を含めプラス200万〜300万円 は見ておきたい。このため、一 般的な古民家の改修費用の総額は、400万〜700万円 となる。大規模改修ではさらに工事費が膨らむこともある。

家が傾いている!

 古民家の構造体は経年劣 化などにより傾いている場合が多い。ゆがみや傾きはある程度までは許容範囲だが、ひどくなると建具の開閉など、日常生活に支障が 出る。  
 補修の方法はゆがみのあるところを、ジャッキで持ち上げ、モルタルなどで高さを調整し床を水平にする。 数カ所の手直しなら5万〜 10 万円程度ですむ。  
 床下の腐食がひどい場合は、建物全体をジャッキアップし、腐った部材を交換。ワイヤーで引っ張り柱を垂 直に直す。これは大がかりな工事となり、最低でも50万〜60万円。現代風の基礎につくり替えたりするとさらに高額になる。

雨漏り発見!

 古民家の屋根は茅、トタ ンなどの金属、瓦などさま ざまな素材が使われている。 雨漏りの多くは、屋根材の破損や経年劣化でできたすき間から雨水が染み込み下 地が腐食。建物の全体に影 響が及び、骨組みにまで腐食が来ているようなら、取 得をあきらめたほうがいい だろう。    屋根材や下地の一部の補 修であればそれほど手間もかからず、費用も5万〜 10万円程度ですむ。10 〜 20 年ごとに行う瓦やトタン屋根の塗り替えは 30万円前後、瓦屋根の葺き替えはやや費用がかさみ坪2万5000 円くらいから。茅葺き屋根 の葺き替えはかなり高価で、1000万円以上かかるこ とを覚悟したい。

まさか……水道がない??

 古民家は昔から井戸を利 用していたところが多く水道がないのは珍しいことではない。ただ、井戸も長く使われていなかったりすると、水質調査はもちろん、設備の交換も必要になる。  
 そこで、前面道路に上水道や簡易水道が通っているか、近くまで来ていれば、そこから給水を確保したい。引き込み費用は1メートル当たり2500円。舗装路を壊して復旧すると、1メートル当たり1万円となる。水道加入金は10〜40万円が主流だ。  
 井戸は掘削と井戸枠設置 で30万円から(掘削費用がかさむこともある)。水質検査、ポンプや除菌器・浄水器の設置が計 10 万円から。

排水は「自然浸透」?

 古民家は雑排水を、敷地内で処理し自然浸透させて いたところもある。しかし、自然浸透は目詰まりを起こしやすく、環境への悪影響もあり避けるべきだ。    下水道は近年、農村部でも普及し始めている。下水 道が前面道路に来ていれば、接続工事費用はそれほどか からないことが多い。ただし新規の加入負担金は 20万〜50万円が主で、100万円近くかかるケースもある。  
 下水道が引かれていない地域では、生活雑排水とし尿を浄化する合併浄化槽の設置が望ましい。一般的な5人槽の設置費用は70 万〜120万円だが、多くの自治体で助成金が出るため、実質35万〜65万円の負担となる。

風呂場が別棟、しかも薪。

 古民家の風呂は、薪を燃やして沸かす昔懐かしい五 右衛門風呂や木桶風呂だ。しかもその多くは屋外にある。さすがに都会の人は使いにくいと躊躇することが多いだろう。  
 また、過去に改修済みで屋内に浴室がある場合でも、設備が古いと給湯も含めてそのまま使えないケースもかなり目立つ。  
 浴室を屋内に新設するなら、眺めのいいところに配 置したいもの。ただしコストを考えるとトイレやキッチンなどほかの水回りに近いところにつくるべきだ。広さや設備によって変わってくるが、ユニットバス一 式の工事費用は30万〜50万円くらいから。

カマドはさすがに無理。

 そもそも古民家は農作業に都合のいいつくりになっていて、水回りはたいがい屋外か土間にある。炊事場も土間にあり、カマドで煮炊きをしていたわけだ。しかし、現代の暮らしでキッチンが土間にあるのは、なにかと不便である。また、過去に改修により屋内の板の間に台所があっても、水回りは傷みやすく補修は必要。給湯設備もたいがい交換となる。  改修では間取り変更でLDKをつくるときに、使いやすいシステムキッチンを設置するのが一般的だ。土間や壁、天井の改修、システムキッチンや給湯器の設置、配管工事などで100万〜120万円くらい。

ボットン便所だけはカンベン!

 古民家では汲み取り式トイレは珍しくない。風呂場と同じく屋外にあることが 多く、冬の寒さが厳しいことも考えれば、都会の人がそのまま使うのは、まず耐えられないだろう。  
 屋内に快適な水洗トイレを新設するには、下水道や合併浄化槽を利用する。工事費用は設備によって変わ ってくるが40万〜50万円くらいから。屋内にある既存のトイレを撤去して、水洗トイレに改修する場合はもっと安くなる。温水洗浄便座付きの便器は10万〜15万円。  
 コストダウンを考えるなら、水洗式に近いが汲み取り槽を使った簡易水洗トイレもある。設置費用は12万円から。

「田舎暮らし向き古民家」を見つける5つのポイント

 これまで3回にわたって古民家の選び方、買い方、直し方をレクチャーしてきました。古民家は柱や梁、囲炉裏、土蔵などに目を奪われがちですが、傷みは目に 見えない部分に隠れています。例えば、屋根材や土台など。できればプロ の判断を仰ぐのが無難ということを念頭に置きつつ、下の5つのポイントを押さえて古民家選びにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

▶見た目に惑わされない

 古民家は空き家になると、傷みが一気に加速する。特に雪国の建物は、 構造体に傷みが出やすい。空き家になって2年以内が狙い目だが、管理 状態などで大きく違ってくる。

▶空き家になって2 年以内が狙い目

ていねいに住んでいた家、定期的に管理をしてきた家は、築年数に関係 なく長持ちするものだ。内部を見学すれば素人でも判断できるので、しっ かりチェックしよう。

▶築年数より管理状態

ていねいに住んでいた家、定期的に管理をしてきた家は、築年数に関係なく長持ちするものだ。内部を見学すれば素人でも判断できるので、しっかりチェックしよう。

▶移住者の転売物件

移住者が転売する古民家は、リフォーム済みがほとんど。特に定住してい た建物なら、大きな欠陥は見つからないものだ。ただし、流通量は少ない ので、粘り強く探す必要がある。

▶地域住民の一員になる自覚を

古民家の大多数は、農村集落にある。そこでは住民同士が冠婚葬祭を 手伝ったり、清掃活動・道普請・堰普請といった共同作業が欠かせない。 移住者もその自覚を持とう。

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