夫婦に限らず“対人関係を崩してしまう”意外な原因
こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 もし、パートナーが「この人は自分のことをわかってくれてない」とコミュニケーションを拒絶していたら……とても悲しいことですよね。 今日は、「自分の役割を知る」ことで、そうしたすれ違いを未然に防ぐ秘訣についてです。
ぼくたちの「役割」は常に変わり続けている
ぼくたちは、夫婦に限らず、人と接するときには何かしらの「役割」を持っています。 たとえば、学生時代の友人といるときは「みんなを楽しませるおちゃらけ役」かもしれません。職場では「部下をまとめるしっかり者」だったり、趣味の場では「ビギナーとして教えを請う人」かもしれない。
こうした大きな役割をベースに、じつはもっともっと臨機応変に役割って変化しています。
子どもが生まれるまでの夫婦関係と、子どもが産まれてからの関係は大きく変わります。 子どもに対して「親」という役割が新たに産まれ、さらに夫婦の間でも「子どもの親」という関係が新たに産まれる。
さて、ここからめちゃくちゃ大切な部分です。夫婦関係に限らず、対人関係を崩してしまう大きな原因として「役割を変えようとしない」ことがあります。
わかりやすくイメージしてもらうとしたら。 ある会社で取締役だった男性が、定年後もいろんなところであたかも「取締役」のように振る舞ってしまう。これは本当によくある定年後の男性あるあるです。 また、40代パパ・ママに近いことでいうと「子どもが産まれても、産まれる前と変わらないパパ」だったり「子どもが思春期に入ったのに、小さい頃と同じ接し方をして嫌われる親」とか。
これらは「自分の役割に気づかず、変わろうとしないことで、関係性が崩れていく」よくある例です。
お互いの変化に敏感になる
この「役割」は家族間だけに影響するわけではありません。
仕事でトラブルを抱えているとか、友人関係でモメているとか、または体調が悪いなんてことも影響してくるでしょう。
職場の人間関係がうまくいってなくてストレスを抱えていたり。 家計の不安が大きくて、目の前のことに集中できなかったり。 SNSで誰かとモメてイライラしていたり。
そうしたことが、当然家族や夫婦の関係へも影響してきます。
たとえば職場で上司からパワハラにあい、毎日苦しい状況にあるとして。 それを「家族には関係ないから」と言わずに抱え込んでしまう人もいるでしょう。 でも、そうやって自分だけで抱え込んでしまうことで、家族はこれまでと同じ「役割」を求めてくることになります。
「ちゃんと家事やるっていったじゃん」 「今度の休みは子どもを連れて遊びに行くって言ったのに」 「なんで何回言っても、わかってくれない。覚えてない」
その結果、再び家庭内でもストレスが溜まってしまう。
こうしたときに、「お互いの変化を話し合っている夫婦」は柔軟にお互いの役割を変化させていくことができます。
「知っていれば気遣えたのに……」というのは、本当に多くの夫婦が抱えているもったいないすれ違いの一つです。
変化というストレスを共有し合う
「変化」というのはそれがどんなものであれ、ストレスになります。 「子どもが産まれた」は多くの家族にとってこの上ない喜びですが、一方で時間や自由がなくなる、お金がかかる、睡眠不足になるなど変化によるストレスも大きいわけです。
そしてあらゆる変化は、あらゆる関係に影響しているのです。
子どもが産まれたことは「会社」には関係ありませんが、働き方を大きく左右します。 仕事のトラブルは「家族」には関係ありませんが、家族関係を変えることもあります。
だからこそ、自分がどんな「変化」をしていて、それによってどんな「役割」を果たせばいいかを知る必要があるのです。
パートナーが仕事で辛い、繁忙期で大変。そんな時期は自分が「家庭のことをしっかり担う」という役割がいいかもしれません。 逆に自分が忙しいときは、パートナーにその「役割」を担ってもらう。これが家事シェアです。
仕事だけじゃありません。病気や怪我、新しいチャレンジをしているとき、家族や親戚の変化。色んなことがあります。
そうした日々の変化を夫婦で共有しあっているからこそ、本当に必要な「助け合い」をすることができるようになるのだと思います。
三木智有/家事シェア研究家