市民発の音楽イベント100回達成 小学生も足を止め聴き入る 四日市の諏訪公園で
ギターの音色に誘われ、足を止める人が次々と――。三重県四日市市諏訪栄町の諏訪公園にあるすわ公園交流館で毎月開催されている音楽イベント「交流館フォークジャンボリー」が12月7日、100回の節目を迎えた。
交流館の音楽イベントに一市民として出演していた相場浩二さん(64)=同交流館館長=が「歌や演奏のレベルを問わず、楽しみながら無料で発表や交流できる場があれば」と発案。2017年の初回から、コロナ禍での中断を乗り越え、延べ919組がステージに立ってきた。
ぽかぽか陽気のライブ日和
当日は小春日和となり、柔らかな日差しが差し込むウッドデッキのステージに、トップバッターのEIJIさん(68)が姿を見せた。昭和歌謡を得意とし、初期の頃からイベントを支える常連だ。
「節目のトップバッター、緊張しますね」と笑うが、堂々たる歌いっぷり。「石狩挽歌」(北原ミレイ)や「そして…めぐり逢い」(五木ひろし)、ラストの「そして、神戸」(内山田洋とクール・ファイブ)まで、往年のヒット曲を選び、場を温めた。
ぽかぽか陽気と音楽の旋律が、ゆっくりと人を集めていく。ベビーカーを押す家族連れや、若者の姿も見えた。
四日市に根差すアメリカ人ボーカリストDanさん
続いて登場したのは、アメリカ出身のDanさん(65)。1992年に来日して以後、30年以上を四日市で暮らす。これまではバンドとして出演してきたが、この日は初めてのソロ演奏。「ここの雰囲気がとても好き。100回目に出られて感謝しています。これからもっと上手くなりたい」と語る。後半に出演するブルースギタリスト・トビー前田さんを「ギターヒーロー」と慕っている。その表情は少年のように純粋だ。
女の子2人、音に引き寄せられて…
にぎわいはさらに広がり、たこ焼きのパックを手にした女の子2人が立ち止まった。四日市市立浜田小学校4年の太田紗和さんと安治川桃香さんだ。交流館にはよく遊びに来るという2人。今日は偶然通りかかり、音に引き寄せられたという。
「ライブ、とってもいい!」と、指でGOODマークを作って笑顔を見せた。
館長のバンドが会場を沸かす
昼過ぎには、相場館長がボーカル・ギターを務める即席バンド「James Band with エヂソン」が登場。リードギター、ベース、カホン、サックスという多彩な編成で、「悲しい色やね」(上田正樹)からスタート。途中、エレキギターの弦が切れ、アコースティックギターに持ち替えるというハプニングもあったが、「バーボン人生」(矢沢永吉)、「横浜ホンキートンクブルース」(原田芳雄)と情感たっぷりのブルースナンバーで観客を魅了した。
気付けば、ウッドデッキ前の椅子席のほか、噴水周りのベンチにも人が連なっていた。手拍子をしたり、からだを揺らしたり、思い思いに楽しんでいる。
観客との掛け合いも
イベントも終盤。ブルースのトビー前田さん(62)が登場すると、客席から歓声があがった。軽快なトークを交え、「沖縄ベイブルース」「生きてるうちが花なんだぜ」など、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの楽曲を次々と披露。観客との掛け合いの場面もあり、ボルテージが上がっていく。
その後には、地元ラジオ局CTY-FMで「山ちゃん」として親しまれるフォークソングの山本浩之さん、フィンガーピッキングの名手として知られる竹内いちろさんが続き、穏やかながらも確かな演奏で会場の耳を惹きつけた。
トリを務めたのはロッシーさん(62)。3年前の12月、初出演の際に披露したビートルズの「I Saw Her Standing There」を再び力強く歌い上げ、さらに昨年再結成した英バンド・オアシスの「Don’t Look Back in Anger」を初披露。伸びやかな歌声が夕暮れの公園に響き渡った。
「上手い、下手は関係ない」原点回帰し、101回へ
相場館長は「交流館勤務前に一般市民として企画したイベントが、皆さんの協力で100回を迎えた。感謝に堪えません」と語り、あらためて原点に立ち返る姿勢を見せた。「上手い、下手は関係ない。参加費もいらない。みんなで楽しい時間を過ごしましょう!」。
次の101回目は寒さが深まる年明け1月。市民が気軽に立てるこのステージは、今後も変わらず開かれ続ける。
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