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クリープハイプがFM802と再タッグ、リスナーと完成させた新曲「人と人と人と人」の制作秘話を語るーー大阪ステーションシティでの公開収録を徹底レポート

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FM802「ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-『大阪ステーションシティ Sound Scape』」特別公開収録/ゲスト:クリープハイプ 尾崎世界観

FM802「ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-『大阪ステーションシティ Sound Scape』」特別公開収録 2024.10.8(TUE)大阪・大阪ステーションシティ「時空の広場」

クリープハイプの尾崎世界観(Vo.Gt)がゲスト出演した、大阪のラジオ局・FM802の「ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-『大阪ステーションシティ Sound Scape』」の特別公開収録が10月8日(火)、大阪・大阪ステーションシティ「時空の広場」で開催された。

大阪駅で公開収録、リスナーと一緒に完成させた新曲を初披露

クリープハイプは今年8月から、開局35周年を迎えるFM802とタッグを組んだプロジェクトを始動。今年で開業150周年を迎える大阪駅構内にある大型複合施設・大阪ステーションシティとコラボレーションを実施し、同番組内で「大阪ステーションシティ Sound Scape」として尾崎世界観がレギュラーコーナーを担当。プロジェクトでは番組コーナーと連動して楽曲を制作。楽曲のインストゥルメンタルバージョンがFM802のラジオと、大阪ステーションシティ館内で先行公開され、その音源を聴いたリスナーからメッセージや言葉を受け取り、それらの言葉をもとにクリープハイプが楽曲を完成させるという、これまでにない制作が行われていた。

そんな制作にまつわるエピソードが聞けるかもと、公開収録の会場にはたくさんの聴衆が集まった。前方観覧エリアにはFM802の『ROCK KIDS 802 –OCHIKEN Goes ON!!-』を聴き、抽選で選ばれた50組100名のリスナーが。さらに、西日本を代表する巨大ターミナルということもあり、通勤や通学帰りに立ち寄った人もずらりと並び、今か今かと開始の時を待っていた。

公開収録の本番直前、司会進行を務めるFM802のDJ・落合健太郎がステージに登場。いつものスタジオを飛び出し、特設ステージでの収録ということもあってリスナーとの距離の近さに驚きつつも、「みんなの歓声を聞かせてほしい。そろそろ出発進行したいけど、みなさんの準備はいいですか?」と、駅の発車アナウンスのように呼びかけ、聴衆のテンションを高めていく。

たくさんの拍手と歓声に導かれるように、尾崎世界観がステージに登場。尾崎は会場をぐるりと見渡し、「すごいですね」と思わず感嘆の声を漏らす。「時空の広場」は大阪駅の真上にあり、駅のホームをまたがるように整備されている。大阪ステーションシティを象徴する大屋根など、巨大ターミナルらしい建造物を前に「こういうところが好きなんですよ。人が造った!という感じの建物を見ていると安心します」と興奮した面持ち。

続いて2人は時折聞こえる列車の音に耳を傾けつつ、8月から始まったコーナー「大阪ステーションシティ Sound Scape」を振り返る。コーナー内では、普段の音楽制作の様子や歌詞、小説の執筆など言葉への想いについてトークを展開。公開収録では、コーナーの中心でもあった大阪ステーションシティとのコラボレーション楽曲の話へと進んでいく。

まだ歌詞とメロディがついていない楽曲にリスナーの感性を加えて曲を完成させる……というプロジェクトの説明に、「感性と完成で、韻踏みましたね!」と鋭くツッコミを入れていく尾崎。コーナーでは想像以上にメッセージや言葉がたくさん集まったらしく「全く違った角度からのメッセージもありましたが、自分に近い感覚のメッセージも多くて嬉しかった」と、改めて感謝の気持ちを伝える。制作については「どこまでが自分の感覚で、どこまでがもらったメッセージの言葉かわからなくなるくらいしっくりきました。メッセージをもらったことを大事にしながら言葉を自分の中に入れつつ、自分らしく作ろうと思った」と、当時の制作を振り返った。

「自分の言葉は使われているのか、どうなっているのか気にしている人もいるはず」と落合がリスナーの気持ちを代弁すると、「印税をよこせ!と言われるんじゃないかと、それだけが気になっていて……。裁判になったら歌詞が変わるかもしれません(笑)」と、冗談が飛び出すシーンも。

楽曲の制作状況を尋ねられると、「昨日、仕上がったばかりです」と公開収録のタイミングに合わせたように曲が完成したという。さらに12月4日(水)に発売予定のニューアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』の制作にまつわるエピソードとして「アルバム制作のなかでも、最後に歌入れをした」と、出来立てほやほや感を教えてくれた。

会場ではインストゥルメンタルバージョンを流すシーンもあり、たくさんの聴衆に囲まれながら聴く様子に「不思議ですね」とポツリ。落合が「聴いてみてどうでした?」と振り返ろうとするも、尾崎は「オチケンさんはどうだったんですか? DJとして(インストゥルメンタルバージョンを)紹介していて、変わった感じはありましたか?」と逆インタビュー。落合も長年DJとして活動するなかで、歌詞もメロディもない状態での曲紹介は初めてだったらしく「面白かったですよ。歌詞も歌もない状態で聴かせてくれるアーティストはなかなかいない。どこから歌い出しが始まるのか、色々気になりました」と答えると、”やっぱり”という表情で笑みを浮かべる。「歌い出しの予想が外れる。そういうズレも面白いですね。予想がつく部分を裏切れるのもうれしいし、当たっていてもうれしい。こういったズレが見えるのは必要な作業だと改めて感じました」と、今回の制作が自身にとっても新鮮だったと振り返った。

大阪への道中で決めた、新曲タイトルは「人と人と人と人」

さらにこの日は集まってくれた聴衆のため、サプライズで前日に完成したばかりの楽曲の一部を初披露。しかも楽曲のタイトルもこの日のイベントに向かう道中に決まったばかりで、メンバーもまだその情報を知らないという。待ちに待ったコラボ曲のタイトルは、歌詞に出てくるフレーズから取った「人と人と人と人」。バンドメンバーの4人、”街”や”季節””時”を連想させる言葉たちが綴られた楽曲に、リスナーは耳を澄まして聴き入っていた。

「『人と人と人と人』はバンドとしても今まで作ったことのないような曲。(著書のサイン会で)大阪駅にきたとき、改めて(街の)力を感じました。今日もこの会場には人が大勢いて、知らない人同士が集まっている。自分の感じる”街”の印象は、知らない人同士がいることで成り立っていること。出会いを大切にするという曲がよくあるけれど、まだ出会ってないことが大事だと思います。そうやって街自体が生きている、ということを歌いたかった。この場所が持っている力を感じる。大阪にライブをしにくると、当たり前のように力をもらっているし、感じている。大阪駅は(たくさんの人の)行き来を受け入れている場所だと感じて、この曲を作りました」と、曲に込めた想いを語ってくれた。

また、歌詞についても言及していく。“時間”や“季節”の移ろいを感じる言葉が綴られていたことについて「時間も季節も勝手に流れていくもの。良い時も悪い時も一定の流れがあって、自分が置かれている状況によって救われることもあるし、残酷だと思うこともある。その普遍的な流れを表現したいと思いました」

ほかにも「桜の橋」という言葉は大阪駅にある「桜橋口」からだったり、FM802の「ACCESS! キャンペーンソング」で制作した「栞」から連想させるものだったりと、大阪駅やFM802との関連性を匂わせる、尾崎らしい言葉のチョイスを見せてくれた。

落合が「リスナーの“感性”も加わって“完成”した新曲『人と人と人と人』……」と締めくくろうとしたところで、尾崎が「そのあとに“歓声”もあると最高だったんですけど……」と、会場を沸かしたところで公開収録の前半は終了。

2024年の今年、クリープハイプは現メンバーでの活動を開始して15周年を迎える。聴衆から称賛の拍手が沸き起こるも、尾崎は「150周年の大阪駅を前に恥ずかしいですが……」と恐縮しきり。落合から最近のバンドの活動状況を尋ねられると「レコーディングが終わったところですが、新曲のタイトルをお客さん経由で知ることでバンドの関係性が悪化するかもしれないことだけが懸念点です(笑)」とドキっとする発言も。

「モヤモヤや悔しさは、何かになる可能性がある」

リスナーからの質問コーナーでは「覚えられない言葉や意味はありますか? 私は名前を覚えるのが苦手です」の問いかけには「覚えられないものは捨ててしまうから、覚えられないという印象すら残らない。昔は記憶力が良いと言われていたけれど、最近はだんだんと不安になってきました。容量がいっぱいになったのかも。スマホの写真みたいに脳の中も選んで消せたらいいのに。どうでも良いことばかり覚えているので」と回答。

「言葉と音楽を繋げるときに意識していることは?」の質問には、「音がほとんど持っていくのでそれを意識しています。言葉にどれだけこだわっても最終的には音にくるまれてしまうので、その上で一番強い言葉を使う」と、シンガーソングライターとしてのこだわりを見せてくれた。

音楽だけでなく、小説家、クリエイターとしての表情が見える質問も。「休日に寝すぎてしまい、一日を有意義に過ごせなかったと後悔してしまう。日常生活を送るうえで後悔することはありますか?」の問いには「そういうことを時間が経ってから作品にして仕事の一環にできるから恵まれているなと思います」と自身の原動力になっていると語ってくれた。落合は「(クリープハイプの)作品を聴いていると、気持ちがリンクすることが多い」と、腑に落ちる答えだと納得しきり。尾崎は「モヤモヤや悔しさ(その感情)は何かになる可能性があると思う」と、改めて自身が綴る言葉や音楽へのこだわりを見せてくれた。

この日の公開収録は学校帰りの学生も多かったからか、学校生活にまつわる質問も多かった。「テスト期間中、徹夜勉強に身が入らない。集中力をキープするコツを教えてほしい」の問いには「自分も3~5分作業したら別のことをして、を何回も繰り返してしまいます。曲作りや執筆をしているときも、ダメだと思ったらすぐに止める」と即答。「細切れにしちゃうと、気持ちがバラバラにならない?」と落合が驚くも、「その分見直すこともできるし、音楽制作は少しずつでも形になるからそれが癖になっているんだと思います」とを振り返る。

今後の予定は11月16日(土)に横浜・Kアリーナ横浜での15周年記念公演、12月4日(水)には3年振りとなるニューアルバム『こんなところに居たのかやっと見つけたよ』をリリース。さらに来年2月からはバンド史上最大規模のツアーも決定している。大阪では、FM802の年末恒例となっているロック大忘年会『FM802 RADIO CRAZY 2024』への出演も決定するなど、予定は盛りだくさん。尾崎は「去年は体調が悪くて悔しい思いをしたので、今年は絶対に最高のライブをしたいです。当たり前のように毎年出させてもらっていますが、本当にすごいことだと思います」と意気込みを語ると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

最後にこの日の公開収録を振り返り、尾崎は「会場の夜の雰囲気が良いですね。新曲はまさにこんな“平日の夜”をイメージして書きました」と、新曲に込めた世界観をさらに立体的に見せるようなメッセージを残してくれた。最後はリスナーと一緒に番組特製フラッグを手に記念撮影。「大阪ステーションシティ最高!……なんか選挙みたいですね(笑)」と笑いつつ会場を後にした。

なお、この日の公開収録の模様はFM802『ROCK KIDS 802 –OCHIKEN Goes ON!!-』で2週にわたってオンエア(10月10日(木)、17日(木))。ラジオアプリ「radiko」のタイムフリーでも試聴することができるのでぜひチェックしよう。

取材・文=黒田奈保子 写真=FM802提供(撮影:渡邉一生)

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