「助けられる状態なら助けに行く」体長10センチほどのウミガメから大量の”プラスチックごみ”
写真に映っているのは、プラスチックや発泡スチロール、ビニール袋の破片に釣り糸。大きさは1センチ未満のものから、大きいものはおよそ2センチある。 これらは、死んだ状態で見つかった体長10センチほどのウミガメの腸の中から、大量に出てきたものだ。
海洋保全などに取り組む団体は、プラスチックごみを見つけたら、一つでも小さくても拾うことが、海の生き物を守ることにつながると呼びかけている。 漁港に戻った1隻の船から運び出されたのは、残波岬の沖、海中30メートルから回収されたルアーや釣り糸だ。
沖縄沿海保全同友会 ダイバー 石塚茉尋さん 「崖下に、たくさんのサンゴの間にたまっていました。他の国から漂着してきたゴーストネットと呼ばれる大きな漁網が、サンゴにからまったり、かめや魚をからめてしまい、死んでしまうこともあります。そのような現場にも、時々潜っていると出会います」
海洋保全やウミガメの保護活動に取り組んでいる沖縄沿海保全同友会は、ビーチクリーン活動や、ボランティアダイバーによる海中に沈んだ海洋ごみの回収に取り組んでいる。
沖縄沿海保全同友会 バスティアン・カール代表理事 「このまま放置すると、生き物がからまって傷つくことがあります。また、ごみが少しずつ分解されることで、マイクロプラスチックが発生します。だから、回収することで環境をよくしていくことが、大事な作業の一つだと思います」
プラスチックが細かくなり、回収できないほど小さくなったマイクロプラスチックは、魚などの海の生き物が体内に取り込み、さらに、それを食べる人間にも影響をおよぼすことが心配されている。
海のごみがからみついたり、エサと間違えて口にした生き物は、命を失うこともある。
読谷(よみたん)村から恩納(おんな)村にまたがるビーチでは、2024年12月から2025年1月にかけて、大きさ10センチほどの、生後1年未満とみられるウミガメ2匹の死がいが見つかった。
沖縄沿海保全同友会 新井美和さん 「連絡をいただいて、助けられる状態なら助けに行きます。そうでなければ、できるかぎり死因が分かるように、解剖できるものはするようにしています」
体に損傷はなく、死因を調べるために解剖をしたところ、発泡スチロールのかけらや、たばこの包装に使われているプラスチックシートが詰まっていた。 沖縄沿海保全同友会 新井美和さん 「60個以上の小さなプラスチックが、小さな腸の中にぎゅっと詰まっていました。これは、小さな体では排出することができなかったのだなと思いました。異常なお腹の中だったことを目の当たりにしました」
沖縄沿海保全同友会 バスティアン・カール代表理事 「ごみを食べて死んでしまうという現実を目の当たりにすると、とても…悲しいです」 2025年1月9日には、首や前足に釣り糸がからまった状態のウミガメの死がいが大宜味村のビーチで見つかった。
沖縄沿海保全同友会 新井美和さん 「小さなごみを一つ拾うことが、もしかしたら次の一つの命を救うことにつながるかもしれません。だから、このことを多くの人に知っていただきたいという気持ちが強まりました」 ごみをポイ捨てしないことや、リサイクル・分別に加え、海の生き物を守るためにごみを見つけたら、小さくても一つでも多く拾い上げてほしいと呼びかけている。
毎月ビーチクリーン活動をしている沖縄沿海保全同友会は、2025年2月も読谷村のビーチで活動を予定している。
できるだけ多くの人に参加してもらい、海の環境について考えるきっかけにしてもらいたいとしている。