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Ave Mujicaの新章開幕!熱狂と感動が交錯した4th LIVE『Adventus』レポート

SPICE

撮影:ハタサトシ、関口佳代

■2024.12.15 Ave Mujica 4th LIVE「Adventus」@東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ

2024年12月15日(日)、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで、Ave Mujica 4th LIVE「Adventus」が開催された。
Ave Mujicaは2023年2月に突如として登場したメディアミックスコンテンツ「BanG Dream!(バンドリ!)」発のガールズバンドの1つ。同年6月に東京・中野サンプラザホールで初ライブとなるAve Mujica 0th LIVE「Primo die in scaene」を開催して以降も、1st、2nd、3rdとマスカレード(Ave Mujicaのライブの呼称)を重ねてきた。そして、今回Ave MujicaをメインにしたTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』が2025年1月からの放送を直前に控えるタイミングでのライブであり、会場に足を運んだバンドリーマー(バンドリ!のファンの呼称)の熱気も普段よりもカオティックである。なにより、Roseliaをゲストアクトとして迎え、バンドリ!の中でも重低音を武器とする屈指の2バンドの競演だ。異様な期待感に包まれたライブ、もといマスカレードが開幕する。

まず前日、12月14日に同じ会場で開催された「Stille Nacht, Rosen Nacht」ではメインアクトを務め、計14曲を披露したRoseliaが登場。場内には「Sage der Rosen」の冒頭部分が流れるが、ドラムのカウントが入ると「Burning up」と歌い出すメンバーたち。そう、1曲目はまさかの「FIRE BIRD」。普段はライブ終盤に繰り出されることが多いRoseliaの代表的な楽曲からの幕開けとなった。しかも「Sage der Rosen」と思わせての「FIRE BIRD」であり、二重で不意打ちをくらったために観客も一瞬呆気にとられる。しかし、すぐさま「Lala、lalala」と声を張り上げて応戦。早くも会場全体でのグルーブを作り上げていく。

撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project

1曲から灼熱の渦を巻き起こすとMCパートに入る。湊友希那(CV:相羽あいな)は「今日は熱さを感じて帰ってほしい」と口にすると、宇田川あこ(CV:櫻川めぐ)が「『FIRE BIRD』で一気に温まっちゃった」とごもっともなことをいう。そして、友希那はこの日が今年最後のライブということに触れ、「悔いのないように、2024年の集大成をここにぶつける」「短い時間だけど私たちの本気、その目に焼き付けて」と宣戦布告して「Determination Symphony」「THE HISTORIC...」「PASSIONATE ANTHEM」を投下。

「Determination Symphony」「PASSIONATE ANTHEM」はAve Mujica 0th LIVE「Primo die in scaena」 にてAve Mujicaがカバーした曲だ。「PASSIONATE ANTHEM」では演奏する前に氷川紗夜(CV:工藤晴香)が7弦ギターに、今井リサ(CV:中島由貴)が5弦ベースに持ちかえていた。演奏内容も多弦ギター・ベースを使用したことで、サウンドはいつも以上にヘビー。特に間奏ではその重低音が猛威を振るい、よりサディスティックなRoseliaサウンドを放つ。なおかつ、“先輩バンド”としての威厳を感じさせる堂々としたプレイを見せた。

また、白金燐子(CV:志崎樺音)の繊細なキーボードの旋律からスタートした「THE HISTORIC...」は序盤の展開が静かだったからこそ、サビに入った時の爽快感はひとしお。間奏では友希那がメンバーの名前を呼んでほしいとリクエスト。観客に順番にメンバーの名前を大声で叫ばせる。“発声練習”の甲斐もあり、ラストのサビの「Are you ready?We are ready.」と歌うところでは、メンバーに負けずに観客の歌声も響き、そのユニゾンがなんとも心地良い。

本日最後の曲は「Floral Haven」。サビを歌う友希那のブレの一切ない伸びやかな歌声に、改めてその歌唱力の高さを感じる。また、今回披露された5曲の中でも白い照明が多用されていたからなのか、メンバーの姿がより鮮明に確認できた。満面の笑みでドラムを叩くあこ(櫻川)、微笑みながらもクールに鍵盤を弾く燐子(志崎)、挑発的な笑顔でうなるベースラインを奏でるリサ(中島)、名残惜しそうにピックを持つ右手を大胆に振り下ろす紗夜(工藤)。そして、今年最後ということで歌詞を一つ一つ大切に、どこか噛みしめるように吐き出す友希那(相羽)。各メンバーの思い思いの表情が目に焼き付いて離れない。

出演時間はわずか30分ほど。ただ、ワンマンライブでは見られないギュッと濃縮されたRoseliaを堪能でき、さらには “先輩バンド”としての表情も味わせる幸福な時間だった。

撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project

Roseliaが去った後も、場内には高温の余熱が残る中、本日のメインアクトであるAve Mujicaのマスカレードが始まる。「黒のバースデイ」のピアノの前奏が淡々と響き、オブリビオニス(CV:高尾奏音)、アモーリス(CV:米澤茜)、ティモリス(CV:岡田夢以)、モーティス(CV:渡瀬結月)、ドロリス(CV:佐々木李子)が順番に照明が落とされた真っ黒なステージに登場。立ち位置に着くとその瞬間だけメンバーに照明が当たるが、すぐに光は消えてしまう。加えて、メンバー全員がAve Mujica 0th LIVE「Primo die in scaene」を想起させるローブ姿だったため、イマイチ姿を把握できない。謎めいた雰囲気が早々に会場内を覆い、Ave Mujica色にステージを染める。そして、全員が揃ったところで「黒のバースデイ」が本格的に開始。

撮影:ハタサトシ、関口佳代  (C)BanG Dream! Project

アモーリス(米澤)の作り出す軽快なビートに身体を揺らすが、徐々に弦楽器陣の重低音も存在感を見せ、身体だけではなく頭も揺らしたくなる。スモークが焚かれ、赤や紫の照明が当たることによってステージ上が幻想的に映り、聴覚だけではなく視覚からも独創的なサウンドに厚みを持たせていく。2曲目は「ふたつの月 ~Deep Into The Forest~」。イントロからドロリス(佐々木)とモーティス(渡瀬)が背中合わせで力強いギターリフを弾く姿はあまりにカッコ良い。Ave MujicaのライブはMCがなく、いわゆる「盛り上がってますか!?」みたいな煽りもしない。それでも、メンバーがリズムに合わせながら身体を揺らして演奏する様子を見ると、知らず知らずのうちに同じように身体を動かしており、Ave Mujicaの観客を巻き込むカリスマ性を感じた。

2曲目を終えたところでメンバーが順番にセリフを口にする朗読パートへ。オブリビオニス(高尾)は「私たちと一緒に踊りましょう。うつろで退屈なこの世界に身をゆだねて」とより濃密なAve Mujicaの世界に誘ったところで「Choir ‘S' Choir」「神さま、バカ」が始まる。「Choir ‘S' Choir」の1番のAメロから早速手拍子が巻き起こり、一緒に踊り出す観客たち。「神さま、バカ」ではドロリス(佐々木)が声を震わせ、吐息を感じさせる繊細な歌い方を見せる。中でも最後の「神さま、バカ」という歌詞は、儚さがありながらも吐き捨てるように歌っていたのが印象的だった。

撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project

5曲目にいく前にここでオブリビオニス(高尾)のピアノソロが始まる。狂気の中にも優雅さを感じさせる旋律が、オブリビオニスの胸に潜む悲しみや怒りを具現化させていく。その鬼気としたプレイに先ほどまでは身体を揺らし、ペンライトを振っていた観客も静止して食い入るように見つめる。オブリビオニス(高尾)が演奏を止めた後にドロリス(佐々木)が「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」を歌い始める。オブリビオニス(高尾)のピアノソロで“静”の空気を作ったからこそ、スピード感のあるサビにさらに疾走感が生まれる。さらには、間奏中にドロリス(佐々木)が「Adventus、やれますか?」とまさかのアジテート。サプライズ過ぎる煽りに応えないバンドリーマーはいない。ラストのサビのペンライトの揺れは激しさを増していた。

場内のテンションが上がりに上がったタイミングで、TVアニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」最終回のAve Mujicaのマスカレード中の映像が流れる。ドロリスが「我、悲しみを恐れるなかれ」というセリフを口にすると映像が止まり、ローブを脱いだメンバーがステージ上に姿を現す。ドロリス(佐々木)の「...ようこそ。Ave Mujicaの世界へ」という言葉で「Ave Mujica」をぶっ放す。アニメ映像を絡めた粋過ぎる始まり方にさらなる熱気が発生。また、アモーリス(米澤)はドラムの椅子に足をかけるなど、先ほど以上に煽り方も大胆になっていた。

撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project

朗読パートを挟み、オブリビオニス(高尾)の口から次の曲「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」が告げられる。これまで以上に重みのある曲調で、サビ前のモーティス(渡瀬)のギターリフの響きも攻撃性を増す。ティモリス(岡田)も前に置かれた台に片足を乗せて前後に頭を揺らす。メンバー全員がその邪悪さを音と身体を使って存分に表現する。サビであるにもかかわらずこれだけ頭を振りたくなる曲も珍しい。ただ、その悪魔的な空気感を一転させたのが「Angles」。ドロリス(佐々木)の歌声とオブリビオニス(高尾)のピアノの音だけで始まり、2人はステージ上手に照らされた月明り、もとい白い照明を見上げながら曲を奏でる。天使の訪れを思わせる美しい旋律に、会場内が多幸感に包まれた。

ここまでの曲順を考えればすでに察している人も多いと思うが、今回のマスカレードのセットリストはリリース順。当然、次は最新ミニAlbum『ELEMENTS』の「Symbol I : △」が披露されるが、原曲とは異なりティモリス(岡田)のベースソロからのスタート。ライブアレンジという良い意味で予想を裏切ってくる。加えて、イントロの演奏中にはステージ上に火柱が上がり、高揚感がものすごい。また、小気味の良いジャジーなビートが特徴的な「Symbol II : Air」が流れると、先ほどまでは縦に身体を振っていた観客は横に身体を揺らす。ライブ会場を舞踏会に変えていく。

そして、朗読パートを挟み、ステージの真ん中に設置されたお立ち台にドロリス(佐々木)は座って「Symbol III : ▽」を歌い出す。ライブ終盤ではあるが透明感のある歌声は健在。メンバーに歩み寄りながら、ドロリスの美しさと儚さを動きを交えながら表現したかと思えば、「Symbol IV : Earth」では力強く歌い上げる。2番Bメロの「礎を持てば」の“キメ”も揃い、Ave Mujicaとしてのグルーブ感もしっかり示す。

本編ラストの曲となる「Ether」が始まると天井にはミラーボールが出現。ドロリス(佐々木)が各メンバーとアイコンタクトをとる演出も見られ、観客としてもついニヤニヤしてしまう。だが、それと同時に終わりが近づいていくことへの寂しさも覚える。喜怒哀楽がどっと押し寄せる中、最後は静かに佐々木がギターを1人で弾き、幕が下りた。

その後、場内ではTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』#1の先行上映が開始。もちろん、ネタバレは避けるが、Ave Mujicaのサウンドばりに1話の内容も重々しい。2話以降の展開にワクワク感とヒヤヒヤ感で胸の中がいっぱいでいると、急に幕が上がりステージ上が照らされる。するとそこにはマスクをとったAve Mujicaのメンバーの姿が。そして、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』のオープニングテーマ「KiLLKiSS」をドロップ。まさかのアンコールの始まり、#1を視聴してどこかメンタルブレイクしていた観客は急に精気を取り戻し、テンションはフルスロットルに。

メンバーの顔がモニターでアップになる度、その日の歓声の最高到達点をどんどん更新していく。また、メンバーの表情がはっきりとわかり、謎めいた先ほどまでの出で立ちとのギャップも相まって、盛り上がりの加速が止まらない。興奮と熱狂が入り乱れた「KiLLKiSS」は一瞬で終わり、本当の本当にマスカレードは終幕した。

Roselia 撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project

Ave Mujica 撮影:ハタサトシ、関口佳代 (C)BanG Dream! Project

Ave Mujicaの軌跡を辿り、新章の幕開けを告げたAve Mujica 4th LIVE「Adventus」。TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』に対する期待感と、Ave Mujicaの歴史的瞬間に立ち会えた優越感が胸に残る内容だった。

取材・文:望月悠木 撮影:ハタサトシ、関口佳代

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