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見る、撮る、遊ぶ。レトロおもちゃが集合「出雲崎レトロミュージアム」

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見る、撮る、遊ぶ。レトロおもちゃが集合「出雲崎レトロミュージアム」

出雲崎町を散策中に発見した「出雲崎レトロミュージアム」。展示品に触れることができ、レトロゲームは実際にプレイできる「体験型」の博物館です。受付を済ませ、中を覗くとびっくり仰天。フロア一面に懐かしのおもちゃが置かれています。高山市でレトロ館を運営していたという館長の中野さんに、新潟に移住した理由やレトログッズにまつわるエピソードなどいろいろとお話を聞いてきました。

出雲崎レトロミュージアム

中野 賢一 Kenichi Nakano

1970年鹿児島県生まれ。名古屋市の家電量販店で勤務した後、起業。名古屋、台湾でIT関連の仕事に従事。その後、岐阜県高山市に移住し「高山昭和館」「飛騨高山レトロミュージアム」の運営に携わる。2023年に出雲崎町に転居。同年12月に「出雲崎町レトロミュージアム」をオープン。館長を務める。

雪が降っても風が強くても、室内で楽しめる博物館。

――中野さんのこれまでの経歴を教えてください。

中野さん:名古屋の家電量販店で、IT部門の統括責任者を任されていましたパソコンサポート事業、中古のパソコンリユース事業や家電のリサイクルをする事業を立ち上げましてね。そういう「古いものの修理」を自分で手がけていたんです。それから起業し、台湾や韓国でITの仕事をしながら名古屋と海外を行き来して暮らしていたんですけど、ちょっとしたご縁で岐阜県高山市に移住することになって。「高山昭和館」というレトロパークを運営することになったんですよ。

――なんと、高山でも今と同じようなお仕事をされていたとは。

中野さん:古い街並みが残っているエリアに「高山昭和館」はあります。展示品は昭和20年代から40年代のものなどが多くて、60代、70代の方が喜ばれる施設でした。「もう少し若い世代に楽しんでもらえる施設を作ろう」という思いもあり、新たに会社を立ち上げ、古い街並みの反対側に「飛騨高山レトロミュージアム」という施設を作ったんです。

――「飛騨高山レトロミュージアム」には、どんな展示品を置かれたんですか?

中野さん:旧車の「スバル360」や三輪の「ミゼット」があったりしてね。施設内で昔の学校給食を食べられたり、綿菓子を作れたりする体験型の昭和館です。年間10万人来場する施設なんですよ。

――えぇ~すごい。それで新潟にいらっしゃったのは?

中野さん:高山にいた頃に大病しまして。妻の実家がある柏崎市の方が医療施設が充実していると思い、引っ越してきました。新潟でしばらく療養していたんですけど、だいぶ回復してきたので、ダンボールにしまってあった私のコレクションを展示して、これまでと同じく博物館をはじめることにしたんです。

――ということは「出雲崎レトロミュージアム」にあるグッズは、館長の私物ですか?

中野さん:高山で携わったふたつの施設の展示品は全て引き渡しましたが、個人収集品は新潟へ持ってきました。「新潟は積雪が多いし、風も強いから館内で遊べる施設があったら子どもたちが喜ぶと思うよ。せっかくこれほどのコレクションがあるんだからやってみたら」という妻の言葉が後押しになりました。

おもちゃ屋、コレクターからも一目置かれる存在。

――あの、もしかして、館長は有名人なんじゃ……。

中野さん:あはは(笑)。ここをオープンしてから各地から「高山で昭和館をやっていた人だ」って何名もご挨拶に来てくれました。それにお客さまも全国からお越し頂いております。ありがたいことです。

――いつからレトログッズを収集されていたんですか?

中野さん:家電量販店に勤めていた頃ですね。パソコンのリユース事業に関わるようになって、Appleのマッキントッシュを集めたのがきっかけです。他のものもいろいろと集めはじめると、収集家や博物館関連の人と出会う機会が増えるんですよ。たくさん情報が入ってくるし、懐かしいものを譲ってもらうようになって。

――手放そうと思っているものを引き取ってもらいませんか? みたいな相談があるとか?

中野さん:そういうときもありました。某昭和館の館長さんから「岐阜の商店街にあるおもちゃ屋さんが閉店するらしい」と聞き、店主さんも処分に困っているというので、丸ごとぜんぶ引き取りに行ったことがあります。

――改めて「出雲崎レトロミュージアム」のご紹介をお願いします。

中野さん:お子さんと親御さんが一緒にわいわいとレトロなおもちゃで楽しんでもらえたらいいなと思ってはじめた博物館です。展示してあるおもちゃには「絶対に触らせない」ようにしている施設が多いんですが、ここでは一部を除いて実物に触ることができます。ゲーム機だって操作できちゃう。もし壊れたら直せばいいだけです。

――中野さんは修理対応のノウハウがありますもんね。これまでのキャリアがつながってきました。

中野さん:引き取ってきたものだって、たいてい壊れていますから。修理の技術を生かして、不具合があっても部品を交換するなどして、なんとかして動かしています。

――博物館の場所に出雲崎を選ばれたのは?

中野さん:当初は柏崎の番人岬近くを候補にしていたんですけどね。ご覧の通り、ブリキのおもちゃがたくさんあるので、海水の影響で錆びてしまうんですよ。それで「もうちょっと内陸に行かないと」と物件探しをしてこの場所を見つけたんです。

――きっと価値ある品がたくさん置かれていると思うんですが、販売はされていますか?

中野さん:値札を付けて販売しているものもありますよ。それ以外のものを目当てにお越しになった方もいますね。エントランスにでっかいウルトラマンがありますよね。その隣に天井くらいの高さの鉄人28号のフィギュアを置いていたんですよ。それが「ここにしか存在しない」と、福島のコレクターさんが「なんとか売ってくれませんか」と来ましてね。うちにとっても大切なシンボルですからお断りしたんです。ところがスマホを見せて「長年、鉄人28号だけを集めているんです」「決して転売目的ではありません」と力説するので、最後は根負けしました。福島からの高速代、ガソリン代をかけてここまでやって来たんですからね。しかも2トントラックで(笑)

館長の趣味の部屋へ、ようこそ。

――中野さんが思うレトログッズの魅力を教えてください。

中野さん:福島からいらしたコレクターさんもそうですけど、普通は「鉄人28号だけ」「仮面ライダーだけ」と、ある分野だけを収集する方が多いんです。僕の場合は、ありとあらゆるジャンルを集めているので、何かに対してものすごく熱くなるって感じではありません(笑)。ただコレクションを眺めるのは好き。この博物館は、僕の「ちょっと大きめの趣味の部屋」でもあります。

――中でもいちばんのお気に入りはどれでしょう?

中野さん:やっぱりこれですね。今では見る機会も少なくなった駄菓子屋ゲーム。ここにはスペースがないから置いていないだけで、他にもまだまだ所持しています。小さい頃、母から10円玉を数枚もらって駄菓子屋さんに行くと、そこには必ずこういったゲーム機が置いてありました。あたりが出たらチロルチョコをもらったりして。当館にある駄菓子屋ゲームは、修理をして遊べるようにしたもの。当たりが出るとコインが出てくるので、昭和当時のように駄菓子と交換もできます。

――高山でふたつのレトロ博物館を運営されて、それから新潟に移り、中野さんの大切なコレクションを集めた「出雲崎レトロミュージアム」をオープンされました。新拠点はこれまでと何か違いはありますか?

中野さん:おもちゃって性別問わず、みんなが遊ぶものじゃないですか。僕もおもちゃが大好きです。でもレトロなおもちゃを実際に手にして遊んでもらうことは、これまでの博物館ではあまりできていなくて。ほとんどが展示品としてケースに収納されていたんですね。「出雲崎レトロミュージアム」では、ある程度自由に実物に触れて遊ぶことができます。それが今までとは違いますかね。子どもたちに「こういう場所を作れてよかったな」と思っています。オープンから間もなく1年ですが、大人の方にも懐かしさを感じていただけるように展示点数をどんどん増やしています。入館したお客さまの第一声は「うわー!」という、びっくりした声。その声がもっと大きくなるようにレトロ感を増していきたいと思います。

出雲崎レトロミュージアム

(開館日はインスタグラムにてご確認ください)

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