<海に生息する巨大な魚4選> 海を泳ぐ規格外の大きさと迫力はロマンそのもの!
海には多くの「巨大生物」が生息しています。
巨大生物──迫力とロマンが詰まった言葉ですね。彼らはいったい何を考えて生きているのか、どんな世界を見ているのか、興味は尽きません。
そこで、海にいる大きな魚を4種、厳選して紹介します。
深海の巨大生物<リュウグウノツカイ>
リュウグウノツカイは、全長9メートルに達することもある深海魚。長い体には鱗がなく、銀色に光り、真っ赤な背ビレとお腹から延びる触角のような感覚器を有しています。
また、トカゲのように尻尾を自分で切ることがあるのだとか。
リュウグウノツカイはなぜこの姿?
リュウグウノツカイは、なぜこんな不思議な姿をしているのでしょうか。
細長くて縦に扁平な体は、浮力変化に対応しやすく水の抵抗も少なくてすみます。水深200メートルから1000メートルを行き来するライフスタイルに適応した結果だと考えられます。
体が光るのは、グアニンの結晶が光を反射するからです。これは、光が届く比較的浅い海において、周囲に溶け込みやすい効果があると考えられます。
赤いヒレには、どんな意味があるのでしょうか。暗い深海では赤は周囲に溶け込みやすい、同種間での識別や求愛ディスプレイの機能がある、など諸説ありますが、はっきりしたことは未だ明らかになっていません。
大きな海洋生物といえば<ジンベエザメ>
全長20メートルの報告もあり、平均でも5.5メートルから12メートルある世界最大の魚がジンベエザメ。クジラ以外では最大の生物です。
水族館などでも人気があり有名な魚ですが、多くの人がこのように思っているのではないでしょうか?
「なんだかサメっぽくない……」と。
ジンベエザメは、サメのなかでもテンジクザメ目に分類される魚です。同じ科に属するトラフザメは、ジンベエザメに少し似ているかも?
プランクトン食のサメはほかにウバザメやメガマウスがいますが、どちらもネズミザメの仲間で、ジンベエザメの近縁ではありません。
1億年前のジュラ紀に、全長5~6メートルのプランクトン食のサメがいたそうですが、このサメもどうやらジンベエザメの先祖ではないといいます。ますます謎の存在ですね。
ジンベエザメはほかにも、「目の表面にウロコがある」「ヒレの一部が欠損しても再生する」など、数多くの不思議を秘めています。
実は最も大きな硬骨魚類<マンボウ>
体長3メートルを超え、体重も約3トンに達するマンボウは、硬骨魚では世界最大級、最重量の魚です。
波間に浮かんで日向ぼっこをすることで知られ、英語の名前はサンフィッシュ。和名「マンボウ」の由来は諸説ありますが、江戸時代の書物に「万宝」と記載されています。
これは、お守り袋の万宝にかたちが似ていることからだと考えられています。
マンボウはフグ目マンボウ科に属しています。そう、あのフグと同じ仲間に属しているんですね。
近年、まとめて「マンボウ」と呼ばれていた魚には、複数の種類がいることがわかりました。特に大きな個体は、厳密にはウシマンボウという魚だと考えられています。
インターネット上などでは、自らジャンプした着水の衝撃で死ぬ弱い生きものだという都市伝説が流布しましたが、これらは事実とは異なります。
また、3億個の卵を産むともされていましたが、新しい知見によると数千万個程度のようです。それでも十分にすごいですね。
なにかと誤解されがちな魚ですが、その愛らしい顔は水族館でも人気が高いです。
日光浴が好き!?<ウバザメ>
ウバザメは最大の個体は全長12メートルを超え、ジンベエザメに次ぐ大きな魚です。湾曲した骨が見えるほど大きく口を開く姿が特徴的です。
そしてジンベエザメ同様、プランクトン食。ヒゲクジラやマンタもそうですが、プランクトン食の動物は体が大きくなる傾向にあるのです。
たまに海岸に漂着する「グロブスター」と呼ばれる正体不明生物の多くは、クジラかウバザメの死骸と考えられます。特に、1977年に話題になったニューネッシーの正体は、ウバザメの可能性が高いとされています。
英語ではバスキングシャーク(日光浴するサメ)と呼ばれ、マンボウのように水面で目撃されることが多いのが由来です。日光浴中に簡単に捕らえられることから、日本では「バカザメ」と呼ばれていたことも……。
かと思えば、1000メートルの海底で数か月生活したという調査もあります。
通常は単独で行動していますが、2013年には約1400匹の大群が目撃されています。こんな巨大生物が約1400匹とは、想像することもできません。
人知を超越する海の巨大魚たち
海の大きな魚たちの名前や存在はよく知られていますが、その実態はまだまだ謎に満ちています。
ふと思い悩むとき、彼らの雄大な生き様を思い出してはいかがでしょうか。
(サカナトライター:浅川 千)