開店24周年を迎え、原点に戻った老舗の喫茶&バー【福岡市・薬院大通り】
薬院大通り近くに「回」がオープンしたのは2000年。店主の佐野俊彦さんはその前から大名でスタンドバー「BEM」(当時の店名はBemfeito)を営んでおり、すぐ近くに事務所を構えていた筆者は足繁く通っていました。その後、奥さんのいずみさんが中心となって「回」を開店してからもちょくちょく足を運び、お2人との付き合いは四半世紀以上になります。そんな旧くから馴染みの店がしばらく休業して大改装すると聞き、どんな風に変わるのか楽しみにしていました。
リニューアルオープンしたのは、今年の3月22日。当初の予定よりもだいぶ時間がかかりましたが、それだけ佐野夫妻の思いがこもった店に仕上がったようです。内装のコンセプトは"銭湯"で、「風呂上がりのようなほっこりした気分で、明日の活力になれば」といずみさん。壁面に貼られたタイルや番台をイメージしたオリジナルの什器にも、その思いが表れています。
そして、何よりも驚いたのが、厨房とカウンターまわりの大改装です。以前の店を知る人なら面積が広くなったのかと錯覚しそうですが、さにあらず。小バコを得意とするスゴ腕設計士の手によって、席数は変わらず充実した厨房機器がコンパクトにまとまっています。
テーブル席とゆったりしたソファーが置かれた2階の客室はそれほど変わっていませんが、上り下りがキツかった階段の傾斜が緩やかになり、シニア世代にも優しい造りに。階段の手すりや2階に飾られたオブジェ、ハンガースタンドなど、アイアン・アーティスト故寺田太郎氏の作品も健在でした。
オープン当初は喫茶&バーとしてスタートした「回」でしたが、その後福岡でいち早くスパイスカレーの提供をはじめたことから、カレー専門店と思われることもあったようです。しかし、今回のリニューアルにあたって原点に戻り、喫茶メニューには厳選した日本茶、台湾茶、紅茶や焼き菓子などが揃っています。
写真は香辛料をブレンドしたスパイシーな「チャイ」(700円)と、オーガニック素材を使った「さかたのおかし」に奥八女くま茶園の紅茶を合わせた「お菓子と紅茶のペアリングSET」(1350円)。他にも「無添加りんごジュース」(630円)や「台湾の穀物スムージ」などのソフトドリンクがあります。
夜はちょい呑みができるバーとして、多彩なドリンクとおつまみが充実。カウンターの前には、ウイスキーやジンなどのスピリッツに様々なスパイスを漬けたオリジナルリカーの「漬け込み酒」(各750円)がズラリと並んでいます。
写真は「おつまみ5種盛りちょい呑みSET」(1900円)で、ワンプレートに盛られたスパイシーな料理をつまみながらちょい呑みが楽しめますよ。
以前から定評のあったスパイスカレーはメニューを絞り、定番のスパイシーチキンカレーと日替わりの「ミニカレー」(750円)、写真の「あいがけカレープレート」(1450円)を提供中。日曜と月曜のみランチでも食べることができます。
リスタートして間もないため、現在はまだ手探りの部分もあるようですが、今後は「ギャラリーとしてアートの展示や小さなライブイベントも行っていきたい」と佐野夫妻。30周年に向けて、いろいろな仕掛けを目論んでいるようです。
回(KAI)
福岡市中央区薬院3−13−20 回 Kai
092-525-4027