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バス会社が米作りを始める!?そのワケとは?

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今日は、バス会社が米作りに乗り出した、というお話。

これは、埼玉県志木市に本社のある、高速バスや旅行業を手掛ける会社の取組みなのですが、いったいなぜ、バス会社が米作りを始めるのか。

社員1300人に一人60キロのお米を作る!!

株式会社平成エンタープライズ代表取締役の田倉貴弥社長にそのワケを聞きました。

株式会社平成エンタープライズ代表取締役 田倉貴弥さん

「令和の米騒動が急に始まりましたけど、それ全然ウチ関係ないんですよ。米騒動の前にお米農家やろうっていうことになったんですけど。

イチゴ農家から始めて、周りが田んぼなんで次は米だねって言ってまして。お米って誰でも食べますし、その分みなさん必要だし、ウチの従業員が1300人くらい居るんですけど、やっぱり自分たちが作ったお米を提供する、今、二町歩って6千坪ちょっとなんですけど、1300人分くらいのお米を作ると、一人5キロを皆さんにお配り出来たらいいねと。

でも、この土地はずっと増やし続けるんですよ。一応、一年間で55キロくらいが日本の一人の一年間の消費量らしいです。だからその消費量が全従業員分、賄えればお米買わないでいいよね、っていうのをちょっと言っちゃいましてね、がんばるんですけど。

社員の福利厚生と農業を元気にするっていうのと、排ガス、バス会社の一番悪いところを少しでも改善させたいという思いもあって、そういうのが全部リンクすると農業だねという話になっていく、いったんですよね、自分の中では。」

令和の米騒動を受けての策かと思いきや、それ以前からお米を作りたいと思い動き始めました。

初年度の今年は、一人につき5キロを目標に米作りを始め、3年後には、社員全員分の年間コメ消費を賄える量、一人60キロの収穫を目標にしています。お米の価格が上がったままの今、まさに福利厚生です!(さらにその先には、もちろん販売して収益とするという目標も。)

ちなみに、お米より前にイチゴ作りも始めていて、こちらは、観光バスの行き先で果物狩りは人気!それならば、その目的地も自分たちで作っちゃえばいいんじゃない?ということでスタートしたそう。

同時に、SDGsの時代、排ガスを出すバス事業だからこそ、地球に優しい事業も展開したいと考えました。

(田倉社長。私が持っているのはこちらで作っている「あまりん」という品種のイチゴ。すごく美味しかった!)

タダでもいいから使ってよ!おコメ作ってよ!

米作りをするのは同社の加須営業所付近。加須は埼玉で一番お米が取れる地域で、地域の農業も元気にできれば、と話していた田倉社長ですが、実際、田倉さんたちのコメ作りに、自分のウチの田んぼを貸すことにした、小山靖さんは、借りてもらって助かった、と話していました。

コメ作りの田んぼの元の持ち主 小山靖さん

「後継者がいないですから、あと今、小さな田んぼはあんまり借り手がいないんですね、機械が入りにくいもんですから。

ほっときますと、このように草ぼうぼうになってしまいまして、こうなると結構、火事の原因になったりとか、不法投棄ですか?缶、ビンとかね、家電なんかも捨てられちゃうんになりますし。

あとね、田んぼってのは使ってなくても水利費って言いまして、年間何千円とか何万円ってかかってしまいますから、だから結構、草だらけにしといてもお金は取られちゃうんですね。

やっぱりそれを誰かに(米を)作ってもらえれば、草刈とかも作業もないですから、タダでもいいからお米作って下さいってことで、昔は借りると、お米で一俵とか払ったんですけど、今そういうのはほとんど無くなって、タダでもいいから作ってよ使ってよってことで。逆に、お金あげるから作ってよって言う人もいますよね。」

小山さんのお父さんが、お米と梨を作っていましたが、小山さんは長男ですが農家を継ぎませんでした。そして、10年前くらいに、お父さんが作業ができなくなり、使わなくなった土地の草退治がものすごく大変!!だから借りてくれるのは、本当に助かるんです、と。

(こちらが小山さんが貸した田んぼ。この時は、田植えの準備、耕うん作業をしていました。)

田倉さんたちは、田んぼに使う土地を取得する中で「もう辞めるからウチの田んぼも引き取ってほしい」と声を掛けられることも多く、思っている以上に農業を辞めたい人が多いことが分かって、驚いたとも話していました。農家の高齢化、荒れっ放しの田畑を減らすといった、地域貢献にもなっているんですね。

バス会社じゃなくて、面白い会社って言われたいの!

良いことがたくさんの米作り開始。実は、田倉社長の狙いはもう一つありました。再び、田倉さんのお話です。

株式会社平成エンタープライズ代表取締役 田倉貴弥さん

「僕はちょっと本社の倉庫でLEDの水耕栽培のプラントを二月から作るんですよね。バスの車庫の倉庫が余っちゃったの。だから、バスの車庫の中に水耕栽培のプラントがあるみたいな感じ(笑)。

どんどん変質させて、もっと不思議にしないとね、人が集まらなくなってんの。バスのドライバーさんってなり手が少なくて、今バス会社大変っていう感じになってますよね。なので、色んなことをやって、面白い会社に就職したいなっていう、だから僕はね、バス会社って今は言われてるんだけど、面白い会社って言われたいの。で、その中にバスもあるし、農業もあるし、旅行業もあるし。

だから、就職するってどこ?面白い会社に。みたいな感じの会社に変えて、新卒さんとか採っていきたい。じゃないと、ドライバーさん不足は解消できないと思います。新しい人たちを採用したいっていう、人材不足の解消もあって、そこも一つあるんですよね、本音で言うと。」

実は、深刻な人手不足への対策でもあったのです。

お米も作るバスの運転手?不思議な会社だな~と面白がって、会社に興味を持ってもらえたら・・・ということです。まさに、バス会社がなんで米作りを?と思って、お話を聞きに行った私のように、ですね。

アイデアで、人手不足に挑む。実に頼もしい!まずは初めてのコメ作り、がんばってください!!

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:近堂かおり)

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