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潮干狩りで【採ったらアウトな生き物たち】 持ち帰ると密漁者になってしまう場合も

TSURINEWS

潮干狩りで採ってはいけない生物(提供:PhotoAC)

春になると家族連れでにぎわう潮干狩り。しかし、無意識のうちに「密漁」とされる行為に該当するケースがあるのをご存じでしょうか?この記事では、潮干狩りと密漁の違いをわかりやすく解説するとともに、「これってセーフ?アウト?」という事例を具体的に紹介していきます。

潮干狩りと密漁の違いとは?

潮干狩りは、干潮時に浜辺でアサリやハマグリなどの貝類を採取して楽しむレジャーです。

一方で「密漁」とは、水産資源保護法や漁業法に違反して魚介類などを採ること。レジャー目的であっても、無許可での採取や場所・生物によっては違法とされる場合があります。

ポイントは、「場所」「対象生物」「漁業権の有無」の3つ。たとえ家族で遊んでいただけでも、これらを守らないと密漁になるおそれがあります。

潮干狩りの様子(提供:TSURINEWSライター・永井航)

潮干狩りでも注意が必要な漁業権とは?

漁業権とは、ある海域で特定の魚介類を採る権利のこと。一般的には漁業協同組合などに与えられますが、種類によっては個人や法人に付与されるケースもあります。

潮干狩りの主役・アサリやハマグリ、マテガイなどは、地域によってこの「漁業権」の対象となっていることがあります。

つまり、漁業権が設定されている海岸で貝を掘る行為は、レジャーであっても無許可ではNG。潮干狩り場として正式に開放されている場所(有料の管理潮干狩り場など)以外では、事前に確認が必須です。

採取NGな“よく見かける海の生き物”たち

「海で見つけたから」といって何でも持ち帰ってよいわけではありません。以下のような生物は採取が禁止されていたり、採取に許可が必要だったりします。

「特定水産動植物」に指定

・アワビ :高値で取引されるため密漁が後を絶たず、法的に厳しく保護されている
・ナマコ:種類によっては高値で取引され、地域ごとに採取が厳しく制限されている
・シラスウナギ:ウナギ資源の減少により、稚魚の採捕は厳重に取り締まられている

「特定水産動植物」とは、密漁による資源減少が深刻な生き物を対象に、無許可の採取・所持・販売を禁じた特別な保護対象です。特定水産動植物としては、アワビ、ナマコ、シラスウナギなどが指定されており、違反すれば重い罰則があります。

ナマコ
(提供:PhotoAC)

その他制限のある生き物

・サザエ :一般海域では漁業権の対象であることが多い
・イセエビ:禁漁期間あり。サイズ制限がある地域も
・ウニ(種類による)禁止海域や漁協管理の対象になっていることも

上記の生き物は漁業権が設定されていることが多く「見つけたからちょっとだけ……」という気持ちで持ち帰ると、知らないうちに密漁になってしまう可能性があります。

イセエビ(提供:PhotoAC)

密漁にはどんな罰則がある?

もし密漁が発覚した場合、内容に応じて重い罰則が科される可能性があります。

たとえば、漁業権のある海岸で勝手に貝を採るなどの行為には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることがあります。

さらに、アワビやナマコ、シラスウナギなど、資源保護のために厳しく管理されている生物については、より重い罰則が用意されており、罰金の上限は3,000万円にも及びます。

これは、特定の水産生物が高値で取引され、密漁が後を絶たないことから、2020年の法改正で罰則が強化されたためです。

「ちょっとだけなら…」では済まされないリスクがあるため、潮干狩りや磯遊びでも、対象生物や場所に十分注意が必要です。

シラスウナギの稚魚(提供:PhotoAC)

安心して潮干狩りを楽しむには?

潮干狩りを安全かつ合法的に楽しむためには、事前の情報収集がとても重要です。まずおすすめしたいのは、自治体や漁協が管理している「潮干狩り場」を利用すること。これらの場所では漁業権の問題をクリアしており、決められた範囲内で安心して貝類を採取することができます。

また、訪れる海岸に案内板や注意書きが設置されている場合は、それらをしっかりと確認しましょう。そこには「採ってはいけない生物」や「持ち帰りの上限」、「道具の制限」などが書かれていることが多く、ルール違反を防ぐための大切な情報が詰まっています。

無料の海岸や観光地で潮干狩りをする場合も、事前にその場所が漁業権の対象となっていないか調べることが必要です。地域によっては、見た目には自由に貝掘りできそうでも、実は漁協が管理している場合があるため、注意が必要です。

見慣れない生き物は採取しない

そして、見慣れない生き物を見つけたときは、むやみに採取しないようにしましょう。知らずに獲ったものが法律で保護されている生物だった、というケースは少なくありません。少しでも不安があるときは、「持ち帰らない」という判断が、最も安全な選択になります。

このように、ルールを守りながら自然と向き合うことで、潮干狩りはもっと楽しく、思い出深い体験になります。

ルールを守って楽しい潮干狩りを

潮干狩りは家族みんなで楽しめる、春の定番レジャー。でも、ルールを知らなければ密漁になるリスクも…。「これはセーフ?アウト?」と迷ったら、持ち帰らない勇気も大切です。

自然の恵みに感謝しながら、次の世代にもこの体験を残していきましょう。

ルールを守って潮干狩りを楽しもう(提供:TSURINEWSライター・尾崎大祐)

参考資料

・水産庁HP 密漁を許さない ~水産庁の密漁対策~
・政府広報オンライン 自分で食べるだけなら・・・レジャー感覚でも「密漁」に!?知っておきたい遊漁のルール
・三重県HP イセエビの密漁が増えています

<藤田/TSURINEWS編集部>

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