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トランプ大統領の日米安保条約をめぐる発言を考える

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、3月10日の放送に政治ジャーナリストの角谷浩一が出演。「トランプ大統領の挑発」をテーマに解説を展開した。

鈴木純子(文化放送アナウンサー)「アメリカのトランプ大統領は3月6日、『アメリカは日本を防衛しなければならないが、日本は我々を守る義務はない』と述べ、日米安全保障条約はアメリカのみが義務を負っているとして不満を示しました。ホワイトハウスで記者団に語ったもので、2期目の就任後、公にこうした発言をしたのは初めてです」

角谷浩一「ビックリすることを言いますね。でも1期目にも言っている。そのときは政権の中でたしなめられて落ち着いたことになった。でもじつは安倍さんが日米首脳会談で飛んで行って、『考え直しましょう』ということで、ものすごく増額したんですね。トランプさんは外交を値段で決めようとするので感じ悪い、という人は多いと思う。それからアメリカにとって日米安保条約は不平等、みたいに言うけど、それはこっちの言い分だよ、と」

長野智子「本当ですよ」

角谷「日本人にとっては、とてもとんちんかんなやりとりをしているように思う。ここで1999年までさかのぼります。ソ連が崩壊して何が起きたかというと、99年にポーランド、チェコ、ハンガリー、それから2004年にスロバキア、ルーマニア、ブルガリア。2009年にアルバニア、クロアチア。つまりワルシャワ条約機構はソ連崩壊とともに崩れて、いわゆる東側の安全保障のグループは崩壊している。ところがNATO、北大西洋条約機構は最近、日本も入ろうか、みたいな」

長野「はい」

角谷「どうしてこんな極東の島まで北大西洋なの、という議論じゃないですか。つまりロシアやプーチン大統領から見れば、こっちは体制が変わってあれなのに、NATOはどんどん包囲網を強めていると。まして元ワルシャワ条約機構の人たちがどんどんNATO入りしていると」

長野「はい」

角谷「17年にはモンテネグロ、20年には北マケドニア、23年にはフィンランド。24年にはスウェーデン。どんどん増えて。NATOができたときには12ヶ国だったのがいまや32ヶ国まで。ヨーロッパはここが経済圏のように、入っていないと集団安全保障が維持できない、そういう気持ちになっている。そこにプーチンさんが危機感を持って『国境を捨てる、ウクライナまでそっちに入るなんて……』となる。そういうことはなかなか日本では伝わらないので、これは言っておきましょう」

長野「はい」

角谷「だからといってトランプさんが正しいわけではない、とも言っておきましょう。さて考えないといけないのは、ロシアからすれば包囲網が増えていると。マクロン大統領と米仏首脳会談が先日、ありましたね。マクロンさんといろいろやりあうけど、まとまったのかどうかわからないようにして帰りました。そのあとマクロンさんは5日の国民に対するテレビ演説で、フランスとドイツの核をヨーロッパの傘にしたらどうか、と」

長野「はい」

角谷「つまり日米関係でいう核の傘のもとにいま、日韓は安全保障を前提にやっている。トランプさんはいま、日本に『これやめないか』ぐらいの勢いで考えていて。ヨーロッパは『そっちはそっちでやったらいいのでは』という感じで言っているだろうと。日本は日米安保の改訂なんて言えば、国民や基地を抱える県の人は大喜びでしょうけど、一方で外務省、防衛相の人たちは『現状維持ですよ。ほかには考えられませんよ』ぐらいの気持ちだと思う」

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