「自分軸で生きる」ためには、「賞賛」を真に受けすぎないこと
世界16か国で合計約2,000回講演した環境活動家の谷口たかひささんは、毎日無数に繰り返す判断を、どちらを選べば自分のことを好きでいられるかで決めているそう。それは、人生でもっとも大切なのは「自分を好きでいる」 ことだという信念があるから。書籍『自分に嫌われない生き方』(KADOKAWA)は、谷口さんが世界を訪問して分かった「豊かに生きる人々の価値観」をまとめたもの。「成功」ではなく「幸せ」をつかむために必要な「自分に嫌われないこと」について、本のなかのいくつかのエピソードをもとに考えてみませんか?
※本記事は谷口たかひさ著の書籍「自分に嫌われない生き方」から一部抜粋・編集しました。
どうやったらブレないで、自分軸で生きていくことができますか?
最近、この質問を本当にたくさん頂きます。
コロナや戦争、増税にインフレ、増えない収入と、カオスな時代である今、自分の心のあり方を見つめ直す人が増えているのでしょう。
まず、起きている出来事をすべて、「自分事」としてとらえられる、自分に矢印を向け続けることが大事でしょう。
「自分のせいだ」と思うこと、そう思わないことでも、「自分にできること」を考えて行動し続ける人。
これは勇気がいることですが、矢印を自分に向けられた人は、充実感に満ちあふれ、人として成長し続けるでしょう。
また、「批判や失望を気にしないこと」ことも大事でしょう。
確かに、「批判」や「失望」をイチイチ気にしていたのでは、「自分軸」を持ってブレずに生きていくことは難しいように思えます。
だけど、本当にそれだけでいいのでしょうか?
僕はそれよりもさらに、「賞賛」や「期待」も真に受けすぎないことが大切だと思っています。
そして、そのことのほうが難しい。
京都の講演のとき、僕のお母さんが来て、こんなことを言ってくれました。
「あんたがやっていることをいつも周りの人に話してきたけど、あんまり相手にしてくれへん人も多かった。けどあんたが国連に呼ばれてスピーチした途端に、一気にスゴいなぁって騒ぐ人が増えたで。あんたは何も変わってへんのに、 人って勝手やなぁ」
さすがオカン。的を射ている。
人は本当に身勝手な生きもので、「批判」も「賞賛」も、「失望」も「期待」も好き放題します。
そしてあたりまえですが、そのどちらにも一切責任を取りません。
一方で、人は「賞賛」されたり「期待」されたりすると、たまらなく嬉しいものです。そのことを利用したビジネスもいくらでもあります。
もちろん、喜ぶのが悪いというわけではないです。
「批判」や「失望」に不愉快になるのと同じで、「賞賛」や「期待」に嬉しい気持ちにはなるでしょう。
だけど「賞賛」そのものが目的になったり、過度な「期待」に応えたりしようとすると、「自分軸」を失ってしまいます(これは子どももそのようです)。
人の身勝手な「賞賛」や、過度な「期待」に応えることを目指して生きることは、不安定この上ないと思います。
また「期待」には、「自分がやりたくないことや、やりたくてもやれなかったことを、他の人にやってもらおうとする」という側面があります。
他の人の人生を生きなくていい。
親や先生、友達や恋人からの過度な「期待」に応えようとして、心が壊れてしまった人をいくらでも見てきました。
僕のお母さんは「元気でいてくれさえすればそれでいい」と言い続けてくれました。
生まれてくる前は、「健康に生まれてきてくれさえすれば」と誰もが願うのに、いざ生まれてきて、成長するにつれ求めるものばかり増やしてしまう──
付き合い始める前は、「隣で笑っていてくれさえすれば」と誰もが願うのに、いざ付き合い始めると、求めるものばかり増やしてしまう──
「批判」や「失望」だけではなく、「賞賛」や「期待」も真に受けすぎないように心がけましょう。
他の人の人生を生きなくていい。
あなたの人生はあなたのもの。