北海道でもかつて似た地震…「これじゃあ避難通路にならない」”日本海側の津波”対策に遅れの現状
わずか数分のうちに津波が到達し、甚大な被害を引き起こした能登半島地震。
北海道の日本海沿岸でも、過去によく似た地震が発生していました。
最大震度7を観測した能登半島地震。
石川県では、この地震による死者の数が200人を超えています。
年明け早々、日本海沿岸で起きた大地震は、北海道民にも衝撃を与えました。
今回の地震では、激しい揺れで多くの建物が倒壊。
発生直後に津波が押し寄せ、甚大な被害をもたらしました。
北海道でも同じような地震が起こるリスクがあると指摘するのは、北海道大学で地震学が専門の、髙橋浩晃教授。
「松前町の沖合から石狩湾を通り、稚内まで活断層が存在している。地震のリスクはどこにでもある」と話します。
北海道の日本海側でも起こり得る大地震。
Sitakkeでは、【特集】秋冬の”じぶんごと”防災で、北海道で暮らす私たちの、こころと身体を守るための「防災の知恵」 を考えていきます。
今回は、津波から命を守るための対策や、災害への心構えを考えます。
津波までわずか1分…なのに対策には遅れが
今回の能登半島地震の特徴の一つが、津波の第1波が到達するまでの早さです。
石川県珠洲市では、地震発生からわずか1分後、七尾市では2分後と、短時間で津波が到達しました。
こうした日本海側で起きる地震の特徴は、陸の沿岸にとても近いところで起きることだといいます。
すると、津波も陸地の近くで発生することになり、押し寄せるまでの時間が非常に短くなってしまうのです。## 北海道の日本海側では…
日本海に面した後志の神恵内村です。
海沿いに集落があり、すぐ背後はがけに囲まれています。
津波避難路や緊急避難階段もあり、役場が避難ビルとなっています。
避難用通路の一部には屋根が取り付けられていますが、実際に利用しようとするとある問題が。
この季節、足元に雪が積もっていて、通路を歩くのは難しい状態になっているのです。
住民からも「滑って歩けない、これじゃあ避難通路にならない」との声が聞かれました。
大地震の発生確率が高いとされる太平洋側の道東沿岸では、避難ビルや津波タワー建設などの対策が進んできています。
その一方で日本海側では、対策が遅れているのが現状です。
能登半島も発生確率は低かった…確率はあくまで「目安」
国の地震調査研究推進本部が公表した、今後30年以内に大地震が発生する確率です。
50%を超える太平洋側と比べて日本海側では低い確率になっています。
今回の能登半島の発生確率は3%未満とされていました。
それだけに、高橋教授は、「確率はあくまで目安に過ぎない」と指摘します。
「日本海側にある海底活断層の地震の発生確率の評価というのは、なかなか難しい。本当に参考程度かなと考えている」ということです。
北海道でも似た地震が過去に あのときの教訓は
揺れが大きく、短時間で津波が到達した能登半島地震。
北海道でも、過去に同じような被害をもたらした地震が起きています。
1993年、奥尻島などを襲った「南西沖地震」です。
マグニチュード7.8、最大震度5。
最大29メートルに達する大津波と、その後の火災などで、死者・行方不明者はあわせて231人に上りました。
この時の津波も、2分から3分で到達していました。
奥尻町では、この地震を教訓にさまざまな対策を行いました。
●総延長約14キロ、高さ最大11メートルの防潮堤を整備
●避難路を42か所に整備
●港には漁業者が一時的に避難できる人工地盤
奥尻町では、今年5月に防災機能を備えた役場の新庁舎が完成します。
その一方で、他の防災施設は老朽化が進んでいます。
改修を検討しているそうですが、自治体だけの財政では厳しいとも話していました。
地震や津波はいつどこで起きるかわかりません。道内でも対策の強化が求められます。
【特集】秋冬の”じぶんごと”防災
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年1月10日)の情報に基づきます。